91年の札幌2歳Sを制したニシノフラワー(91年7月撮影、ユーザー提供:西野花子さん)

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 世代最初の中距離重賞とあって、クラシックの登竜門とされる札幌2歳ステークス(2歳・GIII・芝1800m)だが、96年までは1200mだった。しかし、当時の勝ち馬にはビワハイジ、ニシノフラワー、スカーレットブーケなど名牝がズラリと並ぶのだ。

 後にGIを勝った馬は2頭いる。まずは91年のニシノフラワーだ。ダ1000mの新馬を圧勝しての参戦。初芝ということも影響したのか、単勝10.4倍の4番人気に留まったが、レースは好位から抜け出して3馬身半差の圧勝。一気にクラシック候補に浮上すると、年末には無傷の4連勝で阪神3歳牝馬Sを制覇。3歳時には桜花賞とスプリンターズSを制し、JRA賞の最優秀4歳牝馬と最優秀スプリンターを受賞した。

 続いては95年のビワハイジである。デビュー戦に続いて武豊騎手とコンビを組み、番手から後続を突き放し、3馬身半差で勝利。続く阪神3歳牝馬Sでは角田晃一騎手に乗り替わったが、エアグルーヴを半馬身抑え、無敗でのGI制覇を成し遂げた。そして母としてはブエナビスタを筆頭にジョワドヴィーヴル、アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラ、サングレアル、トーセンレーヴと6頭の重賞勝ち馬を輩出。競走馬としても素晴らしかったが、名繁殖牝馬として、より広く知られている。

 最後にGI馬ではないが、スカーレットブーケを取り上げたい。90年の札幌3歳Sの覇者で、重賞は4勝。GIでも桜花賞が4着、オークスが5着、エリザベス女王杯で3着と健闘した。さらに繁殖牝馬としてダイワメジャー、ダイワスカーレットという超大物2頭を輩出。他にもダイワルージュ、スリリングサンデー、スカーレットメールなどの活躍馬を送り、孫世代からもダイワファルコンが出た。平成を代表する名繁殖牝馬といえるだろう。

 芝1800mとなってからは牡馬優勢の札幌2歳Sだが、このレースから再び名牝、そして名繁殖牝馬が登場することを楽しみにしたい。