有村架純

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夏を代表する話題作

「ストーリーが重過ぎる」という理由でかえって注目を集めている“月9”ことフジテレビ系連続ドラマ「海のはじまり」(月曜午後9時)。Snow Manの目黒蓮が主人公の夏、有村架純がその恋人の弥生を情感たっぷりに演じており、この夏を代表する話題作となっている。ゆっくりとしたテンポや胸にしみこむ台詞の数々に評価が高まる一方、12日に放送された第7話は弥生ら登場人物の心を傷つける台詞が数多く登場するなど、かなりの“鬼脚本”となった。(※以下、ネタバレを含みます)

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 第7話の中で、特にキツかったのは夏の昔の恋人だった水季(古川琴音)の墓参りに、夏と弥生が訪れたシーン。海が見渡せる高台の墓に到着すると水季が働いていた図書館の同僚である津野(池松壮亮)が墓前にいた。がんを患う水季とその娘の海(泉谷星奈)の暮らしを何かと手助けしていたのが津野だった。

有村架純

 悲しそうな表情の津野を見ながら夏は弥生に「津野さん、葬式の後、1回も水季のところ来なくて」と明かす。死を迎えるまでの水季と海の生活を知っていた津野について、夏が「羨ましかった。何も知らなかったから。よく知ってるから余計につらいって。自分が悲しいと思ってることなんて、たいしたことない気がして」と、水季と津野の親密な関係に言及すると、弥生は表情を曇らせるほかなかった。

 放送ライターがこう話す。

「この夏の台詞に対しては、『弥生に無神経すぎる』『今の彼女の前でいう言葉?』『弥生ちゃんに対して配慮が足りない』などの非難がネット上に殺到しました。夏は、津野が水季と海の過去を知り尽くしていることを羨ましい、と思ったのでしょうが、視聴者の多くは『元カノへの未練の表れ』と捉えたようです。夏のこの思わぬ言葉が、弥生の心に波紋を広げたのは間違いありません。ラストでは、津野が弥生に『南雲さん(水季)みたいに1人で決めないでください』と心配する様子が描かれましたが、今後、弥生と津野の“急接近”もありえるかもしれません」

 過去に中絶の経験がある弥生は、ずっと罪悪感を抱き続けていて、その姿に多くの視聴者が感情移入をしているようだ。第7話では、ほかにもツラいシーンが多く、“鬼脚本”と呼びたくなるほどだった。例えば、ドラマ冒頭に登場した水季の祭壇。水季の遺骨が入った骨箱を抱いている海に夏が「水季、なんか言ってる?」と聞くと、海は「しゃべれないよ。骨だもん」「骨になったら痛くない?」と返すシーン。子役にこんな悲しい台詞を言わせるとは……。

視聴率はアップ

 まだある。何かと海の世話をしてくれる津野について、水季は同僚に「いまだに気持ち利用しています。最低です」と落ち込むシーン。自分に好意を寄せているように見える津野の気持ちを利用して、親子2人暮らしの負担を軽減しようとしている水季の計算が透けて見えてしまうのだ。

 その津野は、水季と海が暮らすアパートで偶然、「人工妊娠中絶に対する同意書」を見つけ、水季に「堕ろせ、って言われたの? 逃げたの?」と迫った。すると、水季は「待って、妄想頑張りすぎです」とピシャリ。さらに、「そいつは知ってるの」と問う津野に、水季は「知らない人のこと、そいつ呼ばわり」「津野さんだって何も知らないでしょ。海の父親(=夏)のこと、知らないのに悪く言わないでください」と怒りをむき出しにした。

 さらには、水季が母親の朱音(大竹しのぶ)に「海のこと、不安なことがなくなったら急に怖くなっちゃった。死ぬの、急に怖くなっちゃった」と泣きじゃくるシーンは、あまりにも悲しい。水季の死後、部屋を訪れた津野が遺品を片付けようとすると、朱音は「触らないで。家族でやるんで。大丈夫です」と突き放す。これでは、家族のように水季親子の面倒を見てきた津野の立場がなくなり気の毒ですらある。

 ただ、これらの“鬼台詞”は今後のドラマの展開にとって大事な伏線になっていくだろう。

「ラスト近くのシーンで『真逆な人、選んでるの、なんか腹立ってたんですけど。ちょっと(水季と)似てるんですね』(津野)、『似ていないと思いますけど』(弥生)、『知らない人のこと分かんないでしょ』(津野)というやりとりがありましたが、これは前段に登場した『津野さんだって何も知らないでしょ。海の父親のこと』という水季の台詞の“回収”になっています。朱音の『家族でやるんで』という台詞も、実の家族ではない弥生と津野の“疎外感”を改めて示す言葉でした。確かに視聴者をハラハラさせる鬼脚本ではありましたが、そこには確かな狙いが込められています」(前出の放送ライター)

 同ドラマの世帯平均視聴率は初回8.0%、第2話8.1%。第3話7.1%。第4話7.7%、第5話7.2%。第6話6.1%と推移。今回の第7話は前回から0.7ポイントアップの6.8%だった(ビデオリサーチ調べ。関東地区)。最終回に向けてV字回復となるのだろうか。

デイリー新潮編集部