エピペンに代わる点鼻薬をFDAが承認
アナフィラキシーの症状を一時的に緩和する注射薬「エピペン」の代替となり得る点鼻薬「Neffy」を、アメリカの食品医薬品局(FDA)が承認しました。注射以外の手段でエピネフリン投与を行う製品をFDAが承認したのはこれが初めてです。
ARS Pharmaceuticals Receives FDA Approval of neffy® (epinephrine nasal spray), the First and Only Needle-Free Treatment for Type I Allergic Reactions, Including Anaphylaxis - ARS Pharmaceuticals
FDA Approves First Nasal Spray for Treatment of Anaphylaxis | FDA
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-nasal-spray-treatment-anaphylaxis
US FDA approves nasal spray alternative to EpiPen for allergic reactions | Reuters
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/us-fda-approves-first-nasal-spray-allergic-reactions-2024-08-09/
アナフィラキシーはアレルギー反応によって消化器や呼吸器に強い症状をもたらす状態で、症状が現れた際は一般的にエピペンという症状を緩和する注射薬を直ちに注射する必要があります。
製薬会社のARSファーマシューティカルズは、このエピペンに代わる薬として、点鼻薬の「Neffy」を開発しました。Neffyはエピペンと同じくエピネフリンを投与するための製品で、注射ではなく鼻から投与できることが特徴です。針を使わないことで、エピネフリンの投与が容易になることが期待されています。
また、注射器と比べてかさばらないため、薬を持ち運ぶ人々にとっても負担の軽減になる可能性があるとのことです。
175人を対象に行われた事前の研究では、既存のエピペンとNeffyの間で血中エピネフリン濃度が同等であることが示されています。
この製品について、FDA医薬品評価研究センターのケリー・ストーン医学博士は「一部の人々、特に小児は注射を恐れ、治療を遅らせたり、避けたりすることがあります。本日の承認により、アナフィラキシー治療用エピネフリン製剤として初めて、注射による投与が不要となりました」と話しています。
FDAはプレスリリースを通じて「この承認は、エピネフリン投与における35年以上ぶりの重要な革新であり、重度のアレルギー反応を抱えている患者や家族にとって最初で唯一の無針治療の選択肢となります」と述べました。
Neffyは、FDAの承認後8週間以内にアメリカで発売される予定です。体重30kg以上の小児および成人患者への使用が承認されていて、患者は2回分を199ドル(約2万9000円)で購入することができます。
FDAの承認を受け、ARSファーマシューティカルズの株価は一時13%以上上昇しました。