100歳まで生きたいならやるべき「4つのこと」とは?
100歳を超える長寿の人はセンテナリアン(百寿者)と呼ばれ、2000年の時点では15万1000人だった全世界のセンテナリアンの数は、2021年には57万3000人まで増加しました。センテナリアンになれるかどうかには遺伝的要因も関連してきますが、修正可能な要因も60%以上を占めているとのことで、オーストラリアの研究チームが「センテナリアンになりたいならやるべき4つのこと」を発表しています。
https://link.springer.com/article/10.1007/s11357-024-01247-4
We reviewed the health habits of centenarians. These 4 things could lead to a longer life
https://theconversation.com/we-reviewed-the-health-habits-of-centenarians-these-4-things-could-lead-to-a-longer-life-235100
研究チームは、センテナリアンや95〜99歳の「ニアセンテナリアン」を対象にした2000年以降の観察研究をレビューし、どのような要因がセンテナリアンになるために重要なのかを調査しました。その結果、以下の4つの要因がセンテナリアンになれるかどうかに関わっていたとのこと。
◆1:塩分の低いバランスの取れた食事をとる
センテナリアンやニアセンテナリアンの人々は、一般的にバランスが取れており食材が多様な食事をとっていました。平均するとエネルギー摂取量の57〜65%を炭水化物から、12〜32%をタンパク質から、27〜31%を脂肪から摂取していたことがわかりました。
長寿の人々の食事にはコメやコムギなどの主食・果物・野菜といったものに加えて、タンパク質が豊富な鶏肉・魚・豆類なども多く含まれていました。一方、赤身肉の摂取量は適度に抑えられていました。こうした栄養バランスがよくて食材が豊富な食事パターンは、地中海式ダイエットと同様に身体機能障害や死亡リスクの低下に関連しているとのことです。
また、研究チームがレビューした研究の中で、1日の平均ナトリウム摂取量を測定した研究は1つだけでしたが、それによるとセンテナリアンの平均ナトリウム摂取量は1日あたり1.6gでした。これは、世界保健機関(WHO)が推奨する1日あたりのナトリウム摂取量2g(塩分に換算すると約5g)の範囲内となっています。
研究チームは、「これらの調査結果は、食事に全粒穀物・根菜類・豆類・果物・野菜を多く取り入れると共に、赤身肉の摂取を最小限に抑え、鶏肉・魚・植物性タンパク質を選び、食塩に注意するべきであると示唆しています」と述べました。
◆2:薬の服用量を減らす
センテナリアンも慢性疾患を持っていないわけではなく、レビューに含まれた人の半数以上が高血圧や認知症といった一般的な問題を経験していましたが、一般的な成人よりもはるかに発症が遅いとのこと。さらに、服用する薬の数は平均4.6種類であり、非センテナリアンの平均である6.7種類より大幅に少ないことがわかりました。
「服用する薬の量が少ない」という事実は、単にセンテナリアンの健康状態が良好なため、薬が必要ないというだけかもしれません。しかし、6種類以上の薬を服用するポリファーマシー(多剤併用)は高齢者によくみられますが、不適切なポリファーマシーは有害な薬物相互作用を起こしやすく、転倒・認知障害・入院といった有害事象のリスク増加と関連しているとのことです。
研究チームは、「処方される薬の種類や数は、患者がコントロールできるものではないかもしれません。しかし、医師は必要な場合にのみ薬を処方し、利点と危険性について患者に十分な説明を行い、治療計画を定期的にレビューすることが重要です」とアドバイスしました。
◆3:よい睡眠をとる
睡眠の質と量は免疫系・ストレスホルモン・肥満・高血圧・糖尿病といった心血管代謝機能に影響を及ぼし、質のいい睡眠をとると健康や慢性疾患のリスクが減少します。今回のレビューでは、センテナリアンの68%が自分の睡眠の質に満足していたとのことで、これは13カ国の成人を対象にした2020年の調査で示された29〜67%という満足度の範囲を上回っています。
研究チームは、「最適な睡眠時間は1晩あたり7〜8時間です。いい睡眠を得るためのヒントとしては、規則正しい睡眠習慣を保つこと、安眠できる環境を整えること、定期的に運動すること、ストレスを管理することなどが挙げられます」と述べました。
◆4:自然の多い場所に住む
センテナリアンの居住地にも明確な傾向がみられたそうで、今回のレビュー対象となったセンテナリアンとニアセンテナリアンの75%以上が農村部に住んでいました。これは日本の沖縄やイタリアのサルデーニャ島、コスタリカのニコヤ半島、ギリシャのイカリア島といった長寿者の多い地域「ブルーゾーン」にみられるパターンです。
これまでの研究では、自然との触れ合いが健康やメンタルヘルスにいい影響をもたらすことがわかっており、ストレス・うつ病・高血圧・2型糖尿病・心臓病などのリスクを低下させるとのことです。
これら4つの他にも、「喫煙しないこと」「アルコールを避ける、あるいは適度な量に抑えること」「身体活動を維持すること」「社会的なつながりを維持すること」などが、センテナリアンに到達するために重要であると今回の研究では示唆されています。
研究チームは、「前向きなライフスタイルの変更と、より健康的な習慣を早くから取り入れることができれば、健康で長生きするためのいい環境が整います。センテナリアンになることは、生涯にわたる努力なのです」と述べました。