出川哲朗

写真拡大

 7月26日(日本時間の27日)に開幕するパリ五輪。日本テレビは櫻井翔、テレビ朝日は松岡修造、TBSはQちゃんこと高橋尚子、フジテレビは卓球の石川佳純など、各局ともキャスターに力を入れているが、異彩を放つのがテレビ東京だ。応援隊長に就任したのは、あのリアクション芸人の出川哲朗(60)である。業界からは早くも「ヤバいよヤバいよ」と心配する声が上がっている。

 ***

【写真をみる】「えっ、女優さんかと思った!」 フジに起用された石川佳純、“いつもと違う姿”が美しすぎる

 もちろんテレ東だって出川だけに任せるわけではない。メインキャスターには2021年の東京五輪・卓球混合ダブルスの金メダリスト・水谷隼(35)、フィールドキャスターには2016年のリオデジャネイロ五輪・バドミントン女子ダブルスの金メダリスト・高橋礼華(34)がいる。民放ディレクターは言う。

出川哲朗

「テレ東が中継する卓球男女シングルス、バドミントン男女シングルスのための人選でしょう。ただし、テレ東は他にもバレーボール女子やサッカー男子、陸上の競歩混合リレーといった競技も中継する。これらはどうなるのでしょうね」

 それこそ、わざわざパリにまで出向く出川の出番ではないのだろうか。彼は13日にテレ東で放送された冠番組「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」の中で、ゲストのお笑いコンビ・オードリーの春日俊彰に、応援隊長に就任した思いをバイクに乗りながら無線でこう語っていた。

出川:テレ東さんを代表して、応援隊長となって、日本を応援しにパリに行くのよ、春日。

春日:あぁ、イイッすねえ。

出川:だって、いつもね、さっきもね、(バイクで到着する自分たちを)みんなが待っててくれて、俺らを応援してくれるわけじゃないですか。俺が応援する番なのよ、今度は。

春日:春日の分まで……。

 テレ東はなぜ、出川を起用したのだろう。

テレ東の出川頼み

「テレ東と出川の蜜月ぶり、テレ東の出川頼みは、業界では有名です。彼は野球好きで、プロ野球ではヤクルトのファンとしても知られている。テレ東でも『芸能界オールスター草野球』や『プロ野球順位予想』といった特番でメインMCを務めているほどですから、スポーツとの馴染みもあるということで起用されたのでしょう。もっとも、スポーツ全般に詳しいわけではありません。テレ東が中継する競技をどう紹介していくのか、不安があります」

 テレ東のパリ五輪の公式ページで出川は《現地パリでは特設スタジオを飛び出し、競技会場で直接取材する予定で、「選手たちにはパリで大暴れして欲しい!」とエールを送ります》と語っている。出川が直接取材? 想像するだけで面白そうだ。

「まずはスタッフが競技のルールや日本人選手などの資料を用意して、出川と打ち合わせをすると思います。日本人選手以外にも、他国のライバル選手や有力選手の情報も知っておかなくてはいけない。出川が日本人選手を取材・紹介する役割を担うとなれば、スタッフとの入念な情報共有が重要でしょう」

 出川といえば、滑舌があまり良くなく、加えて耳も遠いので、聞き間違えが少なくない。失礼ながら、何かやらかさないか心配という声も……。

「『がんばれ! がんばれ!』と応援するだけなら、競技や選手の基本情報、そして出川が気になることを彼の言葉でまとめる作業、彼のキャラを活かした応援の仕方などをスタッフと打ち合わせればいいと思います」

 ただ、それでは出川らしくない番組になりそうだが。

「ヘイ、カール!」

「テレ東ですから他局とは違った演出をするかもしれません。出川らしさを出したバラエティのノリを強く出してくる可能性もあります」

 もっとも、今回はバラエティ番組ではない。

「オリンピックをはじめスポーツの国際大会などでは、過度な笑いやトンチンカンな笑いは御法度です。競技会場での選手への直接取材は、インタビューが許される境界線の見極めが極めて難しいものです」

 1991年、日テレが中継した世界陸上東京大会では長嶋茂雄氏がリポーターを務め、100メートル走で9秒86の世界新記録を更新したカール・ルイスに、客席から「ヘイ、カール!」と呼び止めて握手したシーンは伝説となっている。実は二人には以前から交流があったことが後に判明するのだが、当時はカール・ルイスに対して失礼という声も上がった。

「選手はもちろん関係者、そして視聴者がNGと感じる行為をしないよう、細心の注意が必要です。その辺りをテレ東スタッフや出川本人に見極めることができるのか、少し不安ですね」

 笑えるハプニングならまだいいが……。

「選手を巻き込んだりすることになれば笑いにはなりません。それがトラブルに発展する危険性も高まります。出川の現地取材には、それなりのリスクが伴います。もちろん、彼の五輪取材を楽しみにしている視聴者も多くいると思います。それだけにどの局よりも、演出の腕が試される五輪中継になると思います」

デイリー新潮編集部