国際移住機関「2024年版世界移住報告書」によると、移民受け入れ数はアメリカが世界首位、次いでドイツ、サウジアラビアの順。2020年時点での移民数は、アメリカが4343万人で人口に占める移民の割合は13.1%、ドイツは1422万人で同17%だ。ドイツ出身のサンドラ・ヘフェリンさんは「近年、ドイツでは移民による凶悪犯罪が増え、これまでとはスケールの違う問題が起きている」という――。

■「ただその国に住んでいるだけ」の移民家族と共存できるか

様々な国にルーツを持つ人が住んでいるドイツでは近年「Parallelgesellschaft」(和訳「並存社会」)が問題になっています。「並存社会」とは移民やその家族が社会と「共存」することなく、その国の文化や社会と交わりがないまま「ただ存在しているだけの状態」を指します。

日本とは違い移民が多いヨーロッパでは「異文化背景を持つ人々」が移民先の国の社会通念を受け入れないまま、何代にもわたり独自の価値観で生活をした結果、一部の人達が孤立を深め犯罪に走っているのです。ドイツで社会問題化しているのが「マラミエ・クルド人の大家族」による犯罪です。

有名なものとして、2017年に発生し日本でも報じられた「ベルリンのボーデ博物館の巨大金貨盗難事件」があります。当時、重さが100キロで400万ドル、当時の換算レートで日本円にして約4.4億円の巨大な金貨が盗まれました。

裁判では「ボーデ博物館の巨大金貨盗難事件」の実行犯の4人のうち3人がRemmo氏族に属する当時20歳のアーメッド(Ahmed)、彼の4歳年上の兄ウェイチ(Wayci)および彼らの従兄弟で22歳のウィッサム(Wissam R.)氏だということが明らかになっています。金貨は現在も見つかっていません。

写真=iStock.com/Reinhard Krull
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Reinhard Krull

■クルド人だけでも約200万人、相次ぐ「大家族ぐるみ」の犯罪

ドイツで「組織的な犯罪をしている大家族」には前述のRemmo氏族のほか、Abou-Chaker氏族、Al-Zein氏族、Omeirat氏族、Miri氏族などがいます(※1)。後者のMiri氏族は昨年ベルリンで貸金庫を破壊し、84億3241万分の現金や貴重品を奪う事件を起こしています。

それぞれの「家族」が主に男性陣を動員し、犯罪に手を染めていますが、その内容は「警察官のふりをしてドイツの高齢者からお金を騙しとる詐欺」、資金洗浄(マネー・ロンダリング)、拳銃の不法所持、強盗、窃盗、恐喝、見かじめ、暴行、性犯罪、傷害罪、器物損害、覚せい剤や麻薬の密入、売春のあっせんなど多岐にわたります。

彼らのルーツはシリアやイラクとも近いトルコの南東アナトリア地方にあるマルディン県です。その多くが20世紀にレバノンに渡っています。1975年にレバノンで内戦が起きると、彼らは東ドイツを経由して当時の西ドイツにやってきました。彼らは「子沢山」であるため、夫婦に子供が15人いることも珍しくありません。また若くして子供を持つ傾向があるため、約半世紀が経った今、二世、三世、四世の彼らもドイツで生活をしています。ドイツの連邦刑事庁によると約200万人のマラミエ・クルド人(※2)がドイツに住んでいます。大家族には叔父、叔母、いとこ、はとこ等も含まれるため、ひとつのファミリーが「何千人という規模」であることが珍しくありません。

■強盗事件を起こし、裁判所の窓から逃亡しようとしたモハメッド

これらの「大家族」による犯罪は数が多く、一つひとつ挙げていくとキリがないので、ここではドイツの街に「激震が走った2日間」について取り上げることにします。ことは数年前にドイツ北部の街ハーメルンで起きました。ここでは大ファミリーの名前をSとします。

ある男がハーメルンから11キロ離れたエルツェン(Aerzen)という村のガソリンスタンドに現れ、「金を出せ」とレジの人を威嚇。男はガソリンスタンドから現金とタバコを奪い、車で逃走。通報を受け、警察は2時間後にゲーム・センターにいた20代のモハメッド(Mohamed S.)氏を逮捕します。警察はパトカーの後部座席にモハメッドを乗せ、ハーメルンの警察署に向かいます。

ところが、パトカーが警察署の前に到着し、署の「自動の巻き上げドア」が開くのを待っている間、パトカーの後部座席にいたモハメッドが勝手に窓を開け、弟イブラヒム(Ibrahim S.)氏の名前を叫びました。そして瞬く間に弟イブラヒムがやってきました。弟は警察署の前で兄の到着を待ち構えていたのです。

写真=iStock.com/folgt
ドイツのハーメルン市 ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/folgt

■逮捕された兄を警察署で待ち構えていた弟が助けようとした

するとイブラヒムは外側からパトカーのドアをこじ開け、後部座席にいる兄モハメッドをパトカーの中から引っ張り出そうとしました。同じく後部座席に座っていた警察官が二人の間に入り、モハメッドの首根っこをつかみ逃亡を防止します。署の前の騒ぎを聞きつけ、警察署の中から警察官が数人応援に駆け付け、モハメッドとイブラヒムの兄弟は警察署の地下にある独房に入れられました。

この兄弟が警察に捕まるのは初めてではありません。兄のモハメッドは過去にも麻薬の売買、暴行、窃盗、恐喝などで捕まった「犯罪の総合商社」のような人です。ドイツ市民の刑罰歴が記録されている連邦司法事務所の公的な登録簿にはモハメッドについて15点もの登録がありました。弟のイブラヒムにいたっては、麻薬の売人を奪略し、10代の女性にわいせつ行為をしたことによる逮捕歴がありました。管轄の警察署の記録には「イブラヒムは武器を好み暴力的」と記載されています。

次の日、弟のイブラヒムは警察署から釈放されますが、前日にガソリンスタンド強盗をした兄モハメッドは身体の前で手を束縛された状態で司法警察員とともに近場の簡易裁判所に向かいます。裁判所の7階で女性裁判官が「モハメッドが保釈されるか、それとも勾留されるか」を決めることになっていました。

■兄弟ともに麻薬の売買、暴行、窃盗、恐喝などで逮捕歴アリ

ところが司法警察員がモハメッドとともに裁判所に到着すると、大家族(モハメッドとイブラヒムの家族)のメンバーが約10人、裁判所の前に集まっていました。裁判所が呼んだわけでもないのに家族が10人もそこに集まっていたこと、かつ彼らがアグレッシブな態度で目立っていたことから、司法警察員は「家族がモハメッドを暴力的な手段で解放しようとしているのではないか」と危機感を抱きます。何せ前日に弟イブラヒムが兄を解放しようとパトカーのドアを勝手に開けたという悪しき前例があるのです。不安を感じた司法警察員は応援を呼び、7人の刑務官が駆けつけました。

この日、女性裁判官はモハメッドに再犯の恐れがあるとして保釈を却下。女性裁判官、日記方、司法警察員、手錠をしたままのモハメッドとその弁護士が同じ部屋にいる中、モハメッドは「弁護士と二人だけで話をしたい」と言い、許可されました。弁護士とモハメッドは裁判所の廊下の窓の横で話をし始めます。その時です。信じられないことにモハメッドは手錠を右手から外すことに成功、勝手に裁判所の窓を開け、窓から逃亡。本(※3)によると、モハメッドが手錠を外し窓の外に出るまで「あっという間」だったとのこと。

■モハメッドは裁判所の窓から逃げようとして7階から転落した

隣にいた弁護士、そして廊下の少し離れたところにいた関係者たちは慌てました。スポーツが得意で身体能力の高いモハメッドは手足を広げ、しばらくは隣接する建物の壁との間でバランスを取っていましたが、途中でバランスを崩し転落。前述通り裁判所の7階にいたため、7階の高さから転落したということになります。

司法警察員らの間で大騒ぎになり、救急車が呼ばれました。裁判所の前に集まっていた大家族らの耳にもモハメッドの転落のことが伝わり、現場に来ていた容疑者の母親カドラ(Khadra S.)が「息子モハメッドはドイツの警察に窓から突き落とされた!」と叫びます。彼がドイツの警察に窓から突き落とされた事実はありません。つまりデマであるわけですが、困ったことに瞬く間にこの間違った情報が大家族の間で広がってしまい、大家族は「ドイツの警察」に対して怒りを爆発させました。

■弟が石を投げ、裁判所に40人集まった大家族は暴徒化

家族とともに裁判所の前に来ていたモハメッドの弟イブラヒムはこの時、裁判所の前で警察官に向けて巨大な石を投げました。スカーフを被った大家族のある女性は別の警察官の顔に唾を吐きました。救急車を待っている間、現場にいた刑務官が応急手当をしようと倒れているモハメッドの顔に自らの顔を近づけたところ、大家族のある男性が刑務官の首根っこをつかみ「モハメッドに近づくな。お前が一言でもしゃべれば、ぶっ殺してやる」と言い、続けて「売女の息子野郎」と暴言を吐きました。

モハメッドが裁判所に到着したころには約10人だった大家族のメンバーがいつの間に40人ほどに増えていました。そんな中で救急車が到着。すると今度は大家族の暴力が救急隊に向かいました。救急隊が現場でモハメッドの救助に当たっている間、大家族の数人が救急隊員をめがけ土塊や石を投げつけました。ちなみに石は裁判所の前の石敷きから大家族が勝手に外したものです。

暴動のなか、大家族は大声で「モハメッドが死んだら許さない。(モハメッドの保釈を許さなかった)女性裁判官に死を! ドイツの警察官に死を!」という物騒な内容のことを大勢で叫び続けます。大家族のある女性はこの日、ハーメルンの地元の新聞社に携帯で電話をし「今すぐお宅の社員がこっちに来て取材をしないと、編集部の入っている建物をぶっ壊す!」と叫んだため、地元紙はこれを「テロ予告」と解釈し警察に通報しています。

■ハーメルンの病院の前でクルド人の家族が大乱闘

窓から逃亡を図ろうとして転落したモハメッドが救急車でハーメルンの病院に運ばれました。それに合わせて裁判所の前に集まっていた約40人の大家族は病院の前に移動します。しかし大家族のアグレッシブな言動は病院の前に到着した後も続き、さらに10人ほどの大家族のメンバーが新たに現場に加わり、合計約50人となったこともあり、病院側は「大家族が勝手に病院の中に入り暴動を起こすのではないか」と懸念し、大家族に病院内に入ることを禁じます。

この時、大家族とは無関係の高齢の女性が病院から担架で救急車に運ばれました。すると、病院前でそれを目撃した前述のモハメッドとイブラヒム兄弟の母親であるカドラが「ドイツの売女。死んでしまえばよいのに。あんな女、燃やしてしまえ!」と叫び、その場にいた警察官がこの発言についてメモを取ると、カドラはその警察官にも「お前もあわせて殺してやる」と暴言を吐きました。

■兄弟の母親は、息子の死に「刺し殺してやる!」と絶叫

この母親のカドラ氏は1988年にレバノンからドイツに来て、当時は3人の子供がいましたが、ドイツで更に5人子供を産み、そのうちの2人が今回犯罪を起こしたモハメッドとイブラヒムです。母親のカドラ自身にも複数の前科があります。数年前には娘たちと一緒にドイツのショッピングセンターで靴を5足万引きしたとして4カ月の懲罰刑を受けました。娘たちもまた窃盗を繰り返しており、人口が5万7000人程度のハーメルンでは、モハメッドを担当した女性裁判官が姉妹のケースも担当しています。大家族はいわば警察と裁判所の「常連さん」なのです。

救急車で病院に運ばれたモハメッドですが、残念ながら到着して数分後に病院内で死亡が確認されました。警察官および医者が病院前で大家族に対してモハメッドの死亡を伝えると、大家族は悲しみと怒りのあまり更にヒートアップ。医者が家族に対してモハメッドの死因について詳細を説明しようとしたところ、母親カドラが突然女性警察官の顔面を殴り、その際女性警察官のパールのネックレスが破壊されました。この時、カドラは女性警察官に対して「刺し殺してやる!」と叫び、他の警察官が数人で仲裁に入っています。

ある警察官は後の報告書に「この日の事態はKriegsschlacht(和訳「戦時中の戦闘」)のようだった」と書いています。大家族は警察官を叩いたり、蹴ったり、警察官に対して催涙スプレーを使いました。警察官もこれに対抗すべく催涙スプレーを使っていましたが、突然、一人の警察官が顔から血を流しその場に倒れこみました。大家族の誰かが投げたと思われる大きな石が顔に当たったためです。

■警察官に石を投げ、モハメッドの運ばれた病院は封鎖

警察官はそのことにより鼻の骨を骨折してしまいました。血を流して倒れている警察官を他の警察官と救急医が病院の中に運び、男性は手当てを受けます。しかしその間、まだ病院前に集まっていた大家族が今度は病院の建物に向けて石を投げ始めました。こうして病院の下の階の窓ガラスのほとんどが割れてしまいました。病院の中の待合室で自分の番を待っていた患者らは恐怖からパニックに陥り、テーブルの下に隠れたり地面に伏せたりする人がいました。ちなみにこの時に破壊された病院の窓の損害は19161ユーロ(約330万円)です。

事態の収拾が全くつかなくなったので、たまたま比較的近い街のハノーヴァーにいた拘束部隊が緊急でハーメルンに呼ばれます。この部隊が病院の前に立ち、誰も病院の中に入れないようにしました。つまり病院は数時間にわたり閉鎖されたのです。病院内の人は誰も外に出ることができず、外部の人は誰も病院の中に入れない状態が数時間続きました。たまたま家族や知人の見舞いに訪れていた訪問者は数時間にわたり病院内にとどまることを余儀なくされました。

■「ハーメルン窓外放出事件」という名で事件は有名に

この一連の大騒動を受け、翌日から警察は捜査班を立ち上げます。その名もErmittlungsgruppe Fenster、日本語に訳すと「捜査班 窓」です。なぜ「窓」なのかというと、この大騒動はガソリンスタンドで強盗をしたモハメッドが裁判所の7階の「窓」から逃亡を試みたことが発端だからです。「ハーメルンの窓外放出事件」(ドイツ語:Der Fenstersturz von Hameln)とも呼ばれるこの事件は「大家族による犯罪がドイツの司法や警察の手に負えないものである」ことを浮き彫りにしました。

それというのも大家族の一人がドイツの法に触れる行為で警察に捕まると、大家族が何十人、時には何百人もの家族を動員し現場に向かい暴動を起こすからです。言ってみればこれは「それまでドイツにはなかったタイプの犯罪」です。しかもドイツの警察はそうでなくても慢性的な人手不足です。

■ドイツの法律は「家族ぐるみの犯罪」を想定してなかった

ドイツの法律では「犯罪を起こすことを目的に組織を作り自主的にグループに加わること」は捜査対象となりますが、そこに「家族」は含まれません。このことがドイツの警察の捜査を難しくしているのです。例えば犯罪が疑われる時、それが犯罪目的で作られたグループの事務所や居住地であれば、警察が疑わしい人の携帯電話や住居を盗聴することについて検察庁が許可を出しますが、これが「家族」の場合は法律の壁があり、なかなか許可が出ないのです。ドイツの法律は「家族が一体となって犯罪に走る」ようなケースを想定していませんでした。「大家族による犯罪」はドイツの司法のいわば「想定外」だったのです。そしてこのことが大家族による犯罪の抜け穴になっているのです。

ドイツでは長年、こういった凶悪犯罪が大家族によるものだということが知られていませんでした。その背景には、同じ大家族であっても、例えば父親はレバノン国籍、叔父はトルコ国籍、息子がドイツ国籍で、いとこは国籍不明者といった具合に「それぞれの国籍が違う」ケースが多々見られたため、国籍別のデータは把握できても、彼らが実は同じ民族で同じ大家族に属することを長年ドイツの警察や司法関係者が把握できていなかった、という点が挙げられます。

ドイツでは「差別につながるのではないか」という懸念から犯罪の統計について民族別のデータを記録しておらず、またドイツのメディアも民族に触れることには慎重な姿勢でした。しかし近年、無視できない規模の犯罪が数多く起きるようになってから、ドイツのメディアも「大家族の苗字」や「民族的な背景」について報じるようになりました。もちろん「大家族の中で犯罪に関わっていない人も多くいること」は知っておかなければいけません。しかし「差別につながるのではないか」という懸念から様々な対策をしてこなかった結果がこのありさまなのですから、ドイツでは今「問題を直視しよう」という動きが強まっています。

■法律があっても家族の「名誉」が何より大事という価値観

ハーメルンの大乱闘という事件は彼らの「価値観」をよく表しているものだと言えるでしょう。逮捕された兄を勝手にパトカーから引っ張り出そうとした弟も、家族が逮捕されたと聞きつけるやいなや裁判所に押しかけた大家族も、怪我を負った家族の情報を受け病院に大勢で押しかけたことも、そして行った先々でアグレッシブな行動をとったことにも、彼らなりの言い分があります。

それは「家族の名誉が大事だから、家族の誰かが攻撃されたら、皆で助けに行く」というものです。しかしそれはあくまでも彼らの考え方であり、法治国家であるドイツの一般的な考え方とは相容れないものです。ハーメルンの件について、そもそもモハメッドがなぜ逮捕されたのかといえば、ガソリンスタンドを襲撃したからです。しかし大家族の論理では「逮捕はドイツの国家による攻撃」という解釈なのです。

■大家族にはイスラム教徒が多いが、宗教対立とはくくれない

大家族の多くはイスラム教徒です。もともとキリスト教徒が多く、キリスト教的な価値観がスタンダードだとされているドイツで、大家族は宗教的にマイノリティーであり、そのことが対立を生んでいるという見方も一部にあるものの、専門家によると核となる原因は別のところにあります。

かねてより不遇な立場におかれトルコにいた頃もレバノンにいた頃も常に「国家や権力」への不信感を抱き続けてきたマラミエ・クルド人にとって「家族の結束」が何よりも大事であり、家族独自のルールのもと生活してきました。残念ながら彼らはドイツに来た後も「ドイツの法律や社会秩序よりも、自分たち家族の結束、家族の名誉のほうが大事」と考える傾向があります。

そういった中で、大家族の一部はドイツの警察官や司法関係者への暴言を当たり前だと思っているフシがあるのです。これはもはや「話し合いで何とかなる」次元のことではないため、ドイツでは政治家をはじめ司法関係者や警察関係者、そして、もちろん一般市民が頭を悩ませているのです。

人の「価値観」を変えるというのは簡単なことではないため、問題の解決へのハードルは高く、これからも長い道のりが予想されます。今ドイツは「問題を直視する」という第一歩を踏み出したばかりなのです。

(※1)別の苗字との混同を避けるため、本記事では氏族の苗字をカタカナではなくローマ字で記載しています。
(※2)クルド人は昔から中東の様々な地域に住んでいます。ドイツで問題になっている「大家族」はトルコの南東アナトリア地方のマルディン県にルーツがあり、ドイツのメディアではMhalllami-KurdenまたはMhallamiye-Kurdenという書き方がされています。本記事ではその直訳である「マラミエ・クルド人」を使っています。
(※3)参考文献:書籍Die Macht der Clans - Arabische Großfamilien und ihre kriminellen Imperien(Deutsche Verlags-Anstalt, Thomas HEISE, Claas MEYER-HEUER)

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サンドラ・ヘフェリン(さんどら・へふぇりん)
著述家・コラムニスト
ドイツ・ミュンヘン出身。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフ」にまつわる問題に興味を持ち、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)、『なぜ外国人女性は前髪を作らないのか』(中央公論新社)、『ほんとうの多様性についての話をしよう』(旬報社)など。新刊に『ドイツの女性はヒールを履かない〜無理しない、ストレスから自由になる生き方』(自由国民社)がある。ホームページ「ハーフを考えよう!」
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(著述家・コラムニスト サンドラ・ヘフェリン)