トヨタが新型「アクア」発表! 新たな「小さな高級車“ラフィネ”」も追加された「大人気コンパクトカー」の優位点とは

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オシャレで上質な「アクア」のインパネまわり

 トヨタのコンパクトカー「アクア」は、極めて優れた燃費性能と、低く構えた流麗なスタイリングを特徴とするハイブリッド専用モデルです。
 
 2021年に登場した現行型(2代目)はバッテリー性能を向上させ、電気での走行領域が拡大するなど更なる進化を遂げていますが、いっぽうで快適性や使い勝手も向上しているといいます。実際に使ってみた印象について紹介します。

「小さな高級車“ラフィネ”」も追加! トヨタ「アクア」の“優位点”とは[写真は2024年夏登場予定の特別仕様車「Z“Raffine”」]

 トヨタ最小ボディのハイブリッド専用モデルとして、初代アクアは2011年に誕生しました。

【画像】めちゃカッコいい! トヨタ「新型アクア」の内外装を画像で見る(30枚以上)

 当時は低燃費世界一のモデルでありながら、デザインのよさや走りの楽しさでもファンを獲得し、2021年5月までの世界累計販売台数は約187万台。

 この膨大な販売台数をCO2排出量に換算すると、同クラスのガソリン車と比べて累計約1240万トンのCO2をアクアによって削減した計算となるそうで、カーボンニュートラル実現への第一歩に大きく貢献したといえます。

 2021年に登場した現行の2代目アクアは、Xグレードで34.6km/L(WLTCモード)の低燃費によってその使命を受け継ぎながら、より幅広いユーザーのもとへ届けるために、快適性や使い勝手が進化したのが特徴。

 子育て世代やママと子供のセカンドカーとしても乗りやすくなっているといいますが、さてその実力はいかに。

 今回は試乗記ではなく“使用記”をお届けしようと思います。

 上級グレード「Z」の運転席に座ってみると、まず目に入るのはインパネの中央に置かれた10.5インチの大型ディスプレイオーディオ。

 これはトヨタのコンパクトカーとして初採用されたもので、オーディオ操作だけでなくナビやバックガイドモニター、スマホとの連携、コネクテッド機能といった操作が集約され、視認性と操作性のアップを実現しています。

 声での操作にも対応しているので、スマホ連携によってディスプレイに表示されたアプリは、運転中にも操作可能となるのが便利です。

 ディスプレイの下には、ツマミが大きめで風向きが変えやすいエアコンアウトレットと、ダイヤル+スイッチで操作しやすいエアコン機能などが配置され、その下には小ぶりでサッと操作できる先進的なシフトレバーがあります。

 センターパネルはここまでで、運転席と助手席を区切っているセンターコンソールとの間の空間があいているため、とてもクリーンでスッキリとした印象。

 でも、インパネのパッド部分が浮かび上がっているようなデザインとなっていたり、ストライプ柄のツートーンとなっているシートなど、オシャレさもしっかり感じさせます。

コンパクトながら使い勝手に優れた「アクア」の内装

 収納スペースは一見すると少ないかなと思わせますが、そんなことはありません。

 まずインパネのパッド部分は助手席アッパーボックスとなっていて、隠して収納したい小物が入ります。

トヨタ 2代目「アクア Z」[写真は2021年登場時のモデル]

 先代では薄型のボックスティッシュがギリギリ入るけどちょっと潰れる、くらいの広さでしたが、今回はすっぽり収まる容量が確保されています。

 その下の助手席グローブボックスはダンパーが付いているので、スーッと開くのが上質。ここにも女性のメイクポーチやスケジュール手帳、長財布くらいは入ります。

 センターコンソールはスライド式のスマホトレイとカップホルダーが2個あり、スマホトレイを開けるとUSBが2つ備わっています。

 余ったコードをトレイの下に隠しながら充電できるので、使用中の見た目もスッキリとしていいですね。カップホルダーは小物入れとしても使えるので、ガムやリップなどを入れておくのにも使いやすいです。

 その後方にはアームレスト付きのセンターコンソールボックスがあるのですが、昔ならCDをここに入れていた人も多いところで、今はタブレットも入る深さを確保しているのが秀逸。

 もちろんゲーム機なども入るので、移動中の子どもが飽きないよう持ち歩いている人なら、停車中は盗難防止のためにここに入れて外から見えないようにしておくこともできます。

 オプションを活用すると、助手席にはさらに収納スペースをプラスすることができます。

 まず、置き靴や折り畳み傘などの収納場所として便利な助手席シートアンダーボックストレイ。座面の下を引き出すと出し入れできるようになっています。Z、G、Xにメーカーパッケージオプションです。

 そして後席の人が使える収納として、助手席シートバックポケットがあります。雑誌やパンフレットなどもすっぽりと入る深さがあり、エコバッグを常備しておくのもいいですね。こちらは全車にメーカーオプションとなっています。

 また、ひとりで乗る時には助手席に荷物を置いて使う人も多いと思いますが、「ヴィッツ」から登場してファンが多いのが、買い物アシストシートです。

 座面の前端を引き上げると、ブレーキを踏んだ時などに荷物が落下するのを防いでくれる優れモノ。2箇所のくぼみがあり、傘を立てかけたりフックとしても活用でき、運転中のプチストレスを軽減してくれるのです。Z、G、Xにメーカーパッケージオプションとなっています。

アクア」の後席や荷室は見た目以上に広くて使いやすい!

 後席に座ってみると、頭上のゆとりがしっかり確保されており、ドアがルーフぎりぎりまで開くので、乗り降りもスムーズ。これならチャイルドシートに子どもを乗せる時にも、頭をぶつけにくいはずです。

 足元スペースにも余裕があるので、ファミリーカーとして使いやすくなっていることを実感します。

トヨタ 2代目「アクア Z」[写真は2021年登場時のモデル]

 ただ後席用の収納としては、センターアームレストを引き出すとカップホルダーが2個のみなので、ちょっと少ない印象です。

 これはZグレードだとセンターコンソールが装備されているためで、XとGR SPORTにはリヤコンソールがあり、小物がおけるコンソールトレイと、カップホルダー2個が備わります。

 その代わり、Xではリヤセンターアームレストはオプションとなるので、使う人数やライフスタイルに合わせてチョイスしたいところ。

 でも、全車にAC100V/1500Wまでのアクセサリーコンセントが全車標準装備となり、非常時給電システムが利用できるのがアクアの強みです。災害などの際に、ガソリン満タン状態であれば400Wを約5日間使えるので、万が一の備えにもなりますね。

 さて、アクアの荷室をチェックしてみると、見た目以上の大容量。A型ベビーカーが横積みできるかどうか、気になる子育てファミリーも多いと思います。

 荷室のゲートは先代より開口部が広がり、中に入るとさらに横幅が広くなって最大1153mmにもなっているので、海外製のタイヤが太いバギータイプは要チェックですが、日本製の比較的コンパクトなベビーカーなら横積みが可能。

 奥行きは656mm、高さは824mmとなるので、スーツケースなどもシートを倒さずに積みやすくなっています。

 後席は6:4分割の前倒し式。軽く簡単な操作なので、荷物に合わせてフレキシブルに使いやすく、E-Fourモデルなら拡大したスペースがほぼフラットになるデッキボードも付属しています。

 そのほか、コロナ禍を経てクリーンな空気の大切さを知った今、嬉しいのは「ナノイーX」が運転席側のエアコンアウトレットから放出される機能。Z、G、GR SPORTに標準装備、Xにメーカーオプションで、ウイルスや菌の抑制、脱臭機能やお肌・髪にやさしい効果があるといわれています。

2024年夏登場予定のトヨタ「アクア」特別仕様車「Z“Raffine”」内装・インパネまわり

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 2024年4月、アクアは一部改良を実施し、ブラインドスポットモニター(停車時警報機能付)+パーキングサポートブレーキ(前方静止物・後方接近車両)をZに、パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)をXにそれぞれ標準設定しました。

 またZにパノラミックビューモニター(シースルービュー&ムービングビュー付)を標準装備したほか、自動防眩インナーミラー(ドライブレコーダー付)がZ、G、GR SPORTに標準設定されるなど、安全性や機能性が向上しています。

 そして注目は、特別仕様車の新タイプ「Z“Raffine”」(Zラフィネ)の設定でしょう。

 ラフィネとはフランス語で「上質な」の意味。ブロンズ色の内外装加飾や専用2トーンカラー設定など、名称の通り内外装を上質かつオシャレに仕立てたモデルで、発売は2024年8月上旬の予定です。

 さらにトータルコーディネートを図った専用の販売店オプションも多数用意され、「小さな高級車」といえる雰囲気を高めています。

 ということでアクアは低燃費で元気に走るというだけでなく、使いやすさと快適性もしっかり備えているハイブリッドコンパクトカーの優等生ですね。