「いわば増税ですよね」パートの厚生年金拡大へ 企業規模要件撤廃 130万人加入見込み
6月27日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、短時間労働者の厚生年金加入拡大に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「パートやってる人にとってはめちゃくちゃ深刻な問題」
厚生労働省は、パートら短時間労働者の厚生年金加入を拡大するため、勤務先の従業員数が101人以上と定めている「企業規模要件」を撤廃する方針を固めた。職場の従業員数にかかわらず厚生年金に加入できるようにして、将来受け取る年金額を手厚くする狙い。対象は約130万人に上るとみられる。
寺島アナ「この厚生年金加入拡大の動きですが、藤井さん、これはどうご覧になりますか?」
藤井氏「まぁ、いわば増税ですね。社会保険料っていうのは税とは言わないですけど、政府が吸い上げるお金ですから。外国ではこれは税と呼ばれますし。だから増税ですよね。インボイス導入と同じような話ですよね。インボイスは1000万円未満の儲けしかない個人事業主等々だったら消費税の納税義務がなかったけれども、そこに納税義務を課すと。それは政府でお金が要るようになったから、そうやってその人からもお金貰いますよと言っていたように、弱者に対する保護をやめるというのがインボイスですよね?これもそうですよね。だから従業員が100人以下だったら社会保険入らなくていいよ、おたくたちを守ってあげるよ、という話だったんですけど、それをやめるっていうことですから、これはだから増税ですよね。後で(年金を)貰えるからっていうのはあるかもしれないけれども、いまは払わないでよかったんですから、この人らは。相当しんどいですよ、これ」
現在、短時間労働者が厚生年金に加入するには、企業規模に加え、週の労働時間が20時間以上、月給8万8千円以上といった要件を全て満たす必要がある。これらのうち企業規模の撤廃を優先する。撤廃により保険料を労使で折半することになり、新たな費用や事務負担が増えるため、中小企業への支援策も検討するとしている。
個人事業所で働く人の厚生年金加入も推進する方針。現在は従業員5人以上の「金融・保険」など17業種に限り加入義務が生じる。これを宿泊業や飲食業にも拡大する方向で調整するとしている。
寺島アナ「中小企業でパート勤務をしている方は影響を受けるということです。労使半分ずつ払うということですから、これは負担ですからね」
藤井氏「払わなくてよかったところが払うっていうことになるんでね。これはだから働いてない人にはちょっとちんぷんかんぷんかもしれないですけども。特にパートやってる人とかだったらめちゃくちゃ深刻な問題になるんですよね。だからこれで負担するのが嫌やからって労働時間を削ったりする人とかも出てきているんじゃないですか?」
寺島アナ「まぁ、だから実質かなりの負担になっていくということですもんね。もしくはその分を払うということはもっと働くとか、そういうことも考えられるんですね」