アンカーの家電ブランド「Eufy(ユーフィー)」は、6月21日よりロボット掃除機の新製品「Eufy Robot Vacuum Omni S1 Pro」(以下、S1 Pro)を発売開始します。

ユーフィーといえば、今年2月に通常価格10万円以下ながら水拭きモップの乾燥まで行う「Eufy X10 Pro Omni」(以下、X10 Pro)を発売したばかり。今回発表されたS1 Proは、通常価格199,900円と、X10 Proを越えるフラッグシップモデルとなります。

X10 Proも多機能なロボット掃除機でしたが、新製品はどこが進化したのか? プレス向け発表会にて短時間ながら実機をチェックしてみました。

新製品のEufy Robot Vacuum Omni S1 Pro。従来のロボット掃除機にはなかった未来的なデザインの充電ステーション

スクエア形状の本体デザイン。本体サイズは幅32.5×奥行き34.7×高さ9.6cm、重量約4.8kgとやや大きめです

今までにない形に進化した充電ステーション

S1 Proで最初に目を引くのが、いままでにない充電用ステーションのデザインでしょう。

モップの自動洗浄機能を搭載するロボット掃除機は、ゴミ収集用紙パックに、水拭き用の清水タンクと汚水タンクなどを内蔵するためにサイズが大きくなりがち。このため、今まではこういったステーションは背の低い箱型デザインがほとんどでした。

一方、S1 Proは67cmの高さがある細いタワー型。高さはあるものの、細長いためかあまり圧迫感がないうえ、腰を曲げることなくステーション最上部にある清水タンクの取り外しができるというメリットがあります。

ステーションのサイズは幅38.3×奥行き46.7×高さ67cm。一般的な多機能ステーションと比較するとかなり背が高いです

最上部の清水タンクにサッとアクセスできるので、水の補充も手軽。タンク部分が透明なのも珍しく、デザインのアクセントになっているほか、水の残量も一目でわかります

清水タンクの裏側に汚水タンク。清水タンクの下に約2ヶ月分のゴミを収集できる紙パックをセットします

多機能ロボット掃除機は通常スマートフォンでさまざまな設定や操作をしますが、簡単な操作なら本体ボタンでも実行可能です。

S1 Proは、この「一般的にロボット掃除機の本体にある操作ボタン」をステーション天面に配置しています。操作部は液晶タッチパネルになっていて直感的な操作ができるほか、床上約60cm以上の高い位置にあるので、かがまず操作が可能なところも便利です。

ステーション天面の液晶タッチパネル。掃除のモード(吸引/吸引+水拭き)の変更や掃除スタートなどの基本的な操作のほか、「水補充」などのエラーもここに表示されます

ステーションの背が高いので腰を曲げずに操作可能。操作性が良いだけではなく、液晶画面がよく見えるのも大きなメリットです

清潔性にとことんこだわった水拭き機能

ステーション以外の注目ポイントが、水拭き用モップの形状です。一般的なロボット掃除機は上下振動するシート型か、回転する円盤型のモップを採用しています。

ところが、S1 Proは先日発表されたスイッチボットの「SwitchBot お掃除ロボットS10」と同じロール型のモップを採用しました。

S1 Proの裏側。奥にあるのが吸引掃除用の回転シリコンブラシ、手前が水拭き用のロール型モップ。水拭き中はモップに約1kgの圧力をかけてグイグイ水拭きします

ロール型モップの最大のメリットは、モップの汚れをしごき取るブレードを配置することで、水拭き掃除と同時にモップの汚れも落とせること。

シート型や円盤型のモップの場合、一度汚れたモップはステーションに戻るまで汚いままですが、S1 Proは常にキレイなモップで水拭き掃除ができるのです。このため、汚れを広げてしまう失敗が起こりにくくなります。

S1 Pro本体と、S1 Proから取り外した汚水タンク。汚水タンク側にモップの汚れを落とすブレードがついており、モップの回転とともに汚れをタンクに移動。この汚水はステーション帰還時に自動回収されます

さらに、ステーションの清水タンクには「Eco-Clean Ozone」機能を搭載し、ステーション内で水を除菌機能のある「オゾン水」に変えるため、水拭き掃除の水は常に除菌水になっています。洗剤ナシでも床の除菌掃除ができるうえ、ステーションに専用洗剤をセットすればさらなる清掃力アップも可能です。

水で濡れたモップは濡れたまま放置すると菌が繁殖して臭くなりがちですが、除菌水を使うため菌の繁殖がしにくいうえ、ステーション帰還後は約55℃の温風でモップの自動乾燥もするので、ニオイの心配もなさそうです。とにかく水拭き掃除へのこだわりを強く感じる機能を複数搭載しています。

清水タンクで「オゾン水」を生成。Eco-Clean Ozone動作時はタンク底のリング状のライトがゆっくり点滅します

清水タンク後ろに専用洗剤をセットすることも可能です

除菌水の生成や背の高いステーションは今後のスタンダードになるか?

残念ながら発表会では実際の掃除能力はチェックできませんでしたが、吸引力は8,000Paと強力。カーペットに絡みついた髪の毛までしっかり除去できるそうです。

さらに、S1 Proは「賢い動き」にもこだわりがあります。従来までの最上位モデルX10 Proは100以上の障害物を認識するAIカメラとレーザーで部屋の構造や障害物を認識していましたが、新S1 ProはAIカメラとレーザーのほか、さらに深度センサーまで搭載。より賢くなめらかな動きができるのです。

S1 Proのセンサー部。左がAIカメラ、右三つが深度センサーです。深度センサーは中央が赤外線ユニットで、その左右が受信ユニット。レンズ上のスリット内部にはレーザーも内蔵しています

モップの温風乾燥までできる「全部入り」のステーションに、リアルタイムにモップを清潔にするロール型モップなど、S1 Proは今のプレミアムロボット掃除機の機能をこれでもかと詰め込んだような製品です。

さらに「オゾン水の生成」や、操作性のよさを追求した「背の高いステーション」など、Eufy独自の機能も注目したいところ。とくにステーション内で除菌水を生成するという発想は「この手があったか!」と驚かされました。洗剤のようなランニングコストなしで家を清潔にできるのは嬉しいポイントです。

水拭き掃除にこだわりたい人には、一度チェックしてほしい製品だと感じます。

倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら