【衝撃の事実】睾丸は「マイクロプラスチック」に侵されている、濃度は動物の2.7倍 米研究で判明

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アメリカのニューメキシコ大学らの研究グループは、「人間の睾丸の中には、動物の睾丸の約2.7倍のマイクロプラスチックが存在している」と発表しました。この内容について村上医師に伺いました。

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監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

研究グループが発表した内容とは?

今回、アメリカのニューメキシコ大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

村上先生

今回紹介する研究は、アメリカのニューメキシコ大学らの研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「Toxicological Sciences」に掲載されています。

研究グループは、マイクロプラスチックやナノプラスチックがヒトの生殖系に与える潜在的な影響が懸念されていることを背景に、イヌとヒトの睾丸内のマイクロプラスチックの存在と組成を定量化してその特徴を明らかにすること、そして精子数、睾丸の重さとの潜在的関連性を調査することを目的に研究をおこないました。研究対象となったのは47匹の犬と、死亡時の年齢が16~88歳だった男性23人です。それぞれの睾丸サンプルを用いて、12種類のマイクロプラスチックの量を調べて比較しました。

研究の結果、得られた全てのサンプルからマイクロプラスチックが検出されました。マイクロプラスチックの濃度で比較すると、犬の平均が122.63μg/gだったのに対して、ヒトは328.44μg/gとなり、犬の約2.7倍でした。また、年代ごとで見ると、男性の生殖のピークである20~45歳までの間はマイクロプラスチック濃度が高い一方で、55歳を過ぎると濃度が低下し始めることも明らかになりました。

研究グループは、この結果から「人体がマイクロプラスチックを除去できることを示唆している」とコメントしています。一方で、「若い人の睾丸はエネルギー必要量が多いため、より多くのマイクロプラスチックが睾丸に引き込まれる可能性がある」とも言及しています。

マイクロプラスチックは人体に影響する?

今回の研究テーマとなったマイクロプラスチックが人体に与える影響について教えてください。

村上先生

マイクロプラスチックやナノプラスチックが人体に与える影響については、多くの研究が実施されています。消化管内のマイクロプラスチックやナノプラスチックが局所的な炎症反応や免疫反応、さらにはがんの発生に関係していることなどが既に示唆されています。また、2023年に発表されたハンガリーのデブレツェン大学らの研究グループが実施したものでは、ポリスチレンのマイクロプラスチックをマウスに経口投与した実験をおこなっています。その結果、投与した最も小さなサイズのプラスチックは投与してから2時間でマウスの脳内で検出されています。

研究グループが発表した内容への受け止めは?

アメリカのニューメキシコ大学らの研究グループによる発表への受け止めを教えてください。

村上先生

マイクロプラスチックが体内に取り込まれた際の組織内での悪影響については、既に様々なエビデンスが出てきています。例えば、マイクロプラスチックが各種臓器に取り込まれて組織障害を起こしたり、マイクロプラスチックに様々な内分泌かく乱化学物質が吸着することで、その化学物質による障害が起こったりします。

睾丸でいえば、マイクロプラスチックのような化学物質の影響によって、造精機能に悪影響を及ぼす可能性があると考えられます。近年増えている男性の不妊の一因となっている可能性も否定できないでしょう。

まとめ

アメリカのニューメキシコ大学らの研究グループは、「人間の睾丸の中には、動物の睾丸の約2.7倍のマイクロプラスチックが存在している」と発表しました。研究グループは「この問題については重点的に研究して、マイクロプラスチックが不妊やがんの発生に何らかの影響を与えているのかどうかを確認する必要がある」と警戒感を露わにしています。

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