Image: 住友林業

とても日本らしい人工衛星が完成。

宇宙空間を飛び回る人工衛星は、紫外線やら宇宙線やらにさらされるので耐久性が必須。一般的にはアルミニウムなどの金属で作られることになります。

しかし京都大学が、「ホオノキ」という木を使った筐体の人工衛星を開発しました。

名前は「LignoSat(リグノサット)」。木製は世界初の試みなのだそうです。

なぜ木材?

サイズは10cm四方なので、キューブサットという部類ですね。

木材を採用した理由は、任務終了後に大気圏に突入した際、燃えやすく環境に優しい点。また木が宇宙空間で耐えられるのか?という実証実験と共に、将来的に月や火星などを植民地にした時、樹木を育てて使えるのかどうか?の検証を兼ねています。

惑星で樹木が育てば、住宅など使える資源がグっと増えますからね。

指物(さしもの)工法

木の板で箱を作るにあたり、釘やネジなどの金属を使うと極端な温度変化でヒビ割れる可能性があるそうな。

そこで木工作家の方から知恵を拝借し、凸凹の組み合わせでガッチリ噛み合う指物(さしもの)という工法で組み立てられました。正確には「留形隠し蟻組接ぎ(とめがたかくしありくみつぎ)」という、日本古来の伝統技法なのだそうです。

材料だけでなく、組み木のようなこの技術もまた、宇宙で通用するのか気になりますね。

何をする人工衛星なの?

「リグノサット」は、内部の電子機器から位置情報や木の状態などのデータを地上に送ります。

宇宙空間の温度は、昼夜で100度〜-100度を行ったり来たり。木材はその度に伸縮し、それがデータとなって送信されます。

今年9月に宇宙へ

約4年の開発期間を経て完成した「リグノサット」は、6月4日にJAXAに届き、9月にフロリダ州のケネディ宇宙センターからSpace X社のロケットに積まれ国際宇宙ステーションに送られる予定です。

そこから約1カ月後に、「きぼう」日本実験棟より宇宙空間に放出される運びとなります。

地上での実験でさまざまな耐久性はクリア済みですが、宇宙に出たらどうなるか? メイド・イン・ジャパンの人工衛星を応援したいですね。

Source: YouTube, X, 住友林業 via 京都大学, CBS NEWS via Futurism