この記事をまとめると

■2024年はビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ1チームの角田裕毅の調子がいい

■10位以内の入賞を何度もしておりチームからも注目株として一目置かれている

■表彰台に上がっていなくとも価値のあるF1界での「入賞」の価値を解説する

表彰台に上がってないのに入賞ってそんなに凄いの?

 2024年のF1グランプリ。ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ1チームの角田裕毅が、かなり健闘している。

 第6戦マイアミGP終了時点で、予選では4回もQ3進出(最高位8位)。決勝でも7位2回、10位1回と6戦中3回の入賞。予選では4月の中国GP以外、チームメイトのリカルドに対し、5勝1敗と大きく勝ち越し、チームからもその実力を高く評価されている。

 一方で、「表彰台に上がったわけでもないのに、入賞ってそんなに凄いことなの?」と思う人もいるかもしれないが、今のF1で、しかもRB(レーシング・ブルズ)のマシン『VCARB 01』で入賞(10位以内)するのは容易なことではなく、そのパフォーマンスは賞賛に値する。

 その凄さをわかりやすく説明してみよう。

 まず前提として、F1ドライバーになるのが難しい。

 現在F1に参戦しているのは10チーム。各チーム2台のマシンで戦っているので、F1のシートに座れるのは、世界でたった20人しかいない。

 これだけモータースポーツが盛んで、自動車が主要産業の我が国でも、日本人のフルタイムドライバーは過去37年でたったの10人ということからも、その道の険しさがわかるはず。

 比較するのは適切ではないかもしれないが、F1ドライバーになるだけで、サッカーでいえば各大陸予選を勝ち抜いて、ワールドカップの本大会に出場するより難しいぐらいだろう。

 そのうえで、ライバルたちが手強すぎる。

 F1はチームがそれぞれコンストラクターで、自社製のマシンで参戦している。マシンの優劣は勝敗に直結していて、2024シーズンでは、まずディフェンディングチャンピオンのレッドブルが6戦4勝で一頭地抜けている。それにフェラーリ1勝、マクラーレン1勝と続き、メルセデス、アストンマーチンを加えて、この5チームが5強と評されている。

 5チーム×2台なので、トップ10の顔ぶれはほぼこのメンバーが独占。角田のRBをはじめそれ以外のチームは、上位5チームの指定席を崩さないと、入賞がおぼつかないのが現状だ。

上位勢はいつも手強いベテランばかり!

 その状況下で、角田のドライビングとチームの戦略、多少の運も味方につけて、6戦で3回も入賞しポイントゲットしていることは素晴らしい。

 そしてマシンだけでなく、上位5チームはドライバーも粒ぞろい。

 レッドブルには昨シーズン、22戦19勝、勝率86.4%と圧勝した、最強最速の王者マックス・フェルスタッペンがいるし、チャンピオン7回のハミルトン(メルセデス)、チャンピオン2回のアロンソ(アストンマーチン)のほか、通算6勝のペレス、通算5勝のルクレール、通算3勝のサインツ、先のマイアミGPで初優勝を遂げたノリス、同じく過去1勝のラッセルと、トップ5チームの10名中8名がGP優勝経験者。

 あとの2人も、ポールポジション1回、決勝3位3回のストロールに、昨年F1デビューしすでにスプリントでは優勝経験もあるピアストリと、タレント揃い。おまけに最大のライバルともいえるチームメイトのリカルドも、優勝経験8回、ポールポジション3回の強者。

 これら強烈すぎるライバルの一角を突き崩さないと、入賞圏内(10位以内)には入れないのだから、トップ5チームからこぼれているRBのマシンを駆る角田が入賞するのは至難の業だ。

 下位5チームといっても、アルピーヌは歴としたワークスチームだし、ウイリアムズは、ドライバーズタイトル7回、コンストラクターズタイトル9回を獲得している名門中の名門。ハースはエンジニア出身の小松礼雄が代表に就任し勢いがあるし、ザウバーだって優勝経験(1回)があるチームで、ドライバーのボッタスは優勝経験10回のベテラン。

 RBと角田は、これだけ強力なライバルに囲まれているなかで奮闘しているので、第7戦以降も入賞できたら大きな拍手を送り、日本から応援の声を届けるようにしよう。