合わせ鏡で無限の反射を生み出すことは可能?
by Tanya Hart
2枚の鏡を向かい合わせると、「鏡に映ったもう一方の鏡に鏡が映って……」という具合に延々と続く反射を見ることができます。このような合わせ鏡で無限の反射を作ることが可能なのかについて、科学系ニュースサイトのLive Scienceが専門家に尋ねました。
Can mirrors facing each other create infinite reflections? | Live Science
結論からいうと、理論的には無限の反射を生み出すことが可能だとのこと。しかし、鏡が持つ構造的な欠陥によりそれは事実上不可能だと、専門家は話します。
一般的な鏡は、薄い銀やアルミニウムの層でコーティングされた鏡などの素材で作られていますが、反射する度に少しずつ光を吸収するのがその理由です。
フォトニクスの専門家であるユタ大学のラジェッシュ・メノン氏は「完璧な鏡があれば、反射は無限になるでしょう。しかし、主に吸収により、反射するごとに常に小さな損失が発生します。従って、何度も反射するうちに光は完全に吸収され、そこで反射が終わります」と説明しました。
この場合の「完璧な鏡」とは、美しい像を映し出す鏡ではなく、光をまったく吸収せずに100%反射する鏡を意味します。
アメリカ・ロチェスター大学の光学教授であるジュリー・ベントレー氏もメノン氏と同意見で、Live Scienceに「光が鏡に当たっても、そのすべてが反射されるわけではなく、90〜98%が反射されて残りは吸収されます。その結果、反射はどんどん暗くなって見るのに十分な光量が得られなくなります。ですから、何十回も反射した自分の姿を見て手を振っても、ほとんど見えないことでしょう」と話しました。
現代の技術では、可視光を100%反射させる鏡の素材は作れませんが、単一の波長、つまり特定の色の光であれば、非常に特殊な状況下で数千回、あるいは数万回は反射させられるとのこと。
このような鏡は手鏡には向いていないかもしれませんが、レーザー技術や太陽光発電技術への応用が期待されています。
メノン氏は「薄いソーラーパネルでも、光を閉じ込めて何度も反射させられるようにすることで、光が吸収される確率を高めることができます。これは太陽光を吸収して発電するのにはうってつけです」と述べました。