【山村 佳子】”子持ち様”と揶揄も…やつれた35歳母が知った「夫の週5日外泊」の実情、呆れた真相

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「子供が生まれたことで、育児負担の比重などで夫婦のパワーバランスが崩れ、関係が悪くなった結果、どちらかが浮気に走るケースが増えています」とは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんだ。彼女は浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。

4月26日、SNS上で幼い子どもを持つ親を「子持ち様」と揶揄し、批判する声が高まっていると毎日新聞が報じた記事が大きな話題を呼んだ。

「「なんで私があなたの子どものために」 広がる「子持ち様」批判」(毎日新聞、2024年4月26日配信)

職場において、子供を理由にした早退や遅刻、当日欠勤などの皺寄せを、子供がいない人が被るのが不公平だという声がSNS に渦巻いているという。

日本社会は「女性が家事と育児を担うもの」という意識が強い。多くの家庭で「母親が子供のために行動して当然だろう」と思われているのではないだろうか。それゆえに、子供の急な発熱などで仕事を休むのは主に母親だ。保育園などの「お熱が出ました。迎えに来てください」という連絡も、主に母親に入る。社会から「子持ち様」と非難されるのは、主に母親であることは想像に難くない。

「子持ち様」批判は、SNS上で今も続いている。子供がいるか・いないかという分断が進んだ未来は、一体どんな社会なのだろうか。

今回山村さんのところに相談にきた35歳の紗矢香さんは、2歳の女の子の母。まさに会社で「子持ち様」と揶揄されている女性だ。「家にも職場にも居場所がない」と夜中に連絡をしてきたのだ。聞けば、35歳の夫は子育てを一切せず、週4〜5日も外泊しているという。

大学時代の同級生夫婦

前編「夫は週5日外泊、会社では「子持ち様」と揶揄…やつれた35歳母が覚悟したこと」では、そうなるまでのことをお伝えした。

夫婦は大学時代の同級生でサークル仲間。学生時代に、交際0日婚が理想であることで意気投合し「30歳になって互いに独身なら結婚しよう」と約束。そして、互いが30歳の時に入籍する。決め手となったのは、夫が大手企業に勤務していることと、容姿が整っていることだった。

結婚3年目に紗矢香さんが「どうしても子供が欲しい」と夫に伝え、妊活後に娘を授かる。

しかし、いざ、娘が産まれてみると、夫に責任も父性も芽生えず「紗矢香が欲しくて産んだんでしょ」と子育てはノータッチ。アパレル関連会社に勤務する紗矢香さんは、娘が熱を出すたびに早退や遅刻、欠勤を繰り返し、職場で「子持ち様」と揶揄され、居場所がなくなっていくのを感じていた。

それでも、夫が家にいる間は、いざという時の大人の手がある安心感もあったが、ここ2か月間、夫は外泊を繰り返すようになり、現在は週4〜5日は家にいない。紗矢香さんを可愛がってくれていた義実家の態度もよそよそしくなっているという。

紗矢香さんは「可愛くて、賢くて、できる嫁」という現在の評価を崩したくないために、義実家にも相談せず、一人で悩みを抱え「死にたい」とまで漏らすようになった。

追い詰められた紗矢香さんは山村さんに相談。カウンセリングの日も、やせ細ってかなりやつれていたという。

思考は誰かに話すことでまとまっていく。紗矢香さんは夫の浮気を確信すると同時に、このままでは、夫から離婚を切り出されたら、慰謝料も養育費も得られない可能性に気づく。紗矢香さんと夫は家賃も光熱費も1円単位まで折半しているが、「俺がいないから光熱費は払わない」と夫が切り出してきたことも、心に引っかかっていた。そして、紗矢香さんは、自分と娘を守るための証拠を、山村さんに依頼する。

人気の大企業でホワイトに働いているはず

夫はほとんど家に帰ってこないが、月曜日は必ずいるというので、神奈川県内にある自宅で張り込みをスタート。駅から近いファミリータイプのマンションで、オートロックがないので、尾行も特定も容易にできると安心しました。

朝、夫がゴミ袋を抱えて出て来ました。スラリと背が高く、足が長いのでスーツが似合います。夫はそのまま都心方面の電車に乗り、出勤。勤務先の駅から本社ビルまで大股でスタスタと歩いて行きました。

夫の勤務先はホワイト企業として知られている人気企業。つまりは本来夜中までの仕事があるとは思えず、外泊が多いのははやりおかしいことです。ちなみに、紗矢香さんと夫は同じ大学で、夫の方が成績は悪かったそうです。就職で成績を見ることは専門職でないかぎりないのでしょうが、結婚も就職も巡り合わせの要素が大きいのだと改めて感じました。

腕を絡めて手をつなぎ…

18時に夫は柔らかい雰囲気の女性と出て来ました。朝は眉間に縦皺が寄っていましたが、とても晴れやかな顔をしています。とても饒舌で、女性も大口を開けて笑っている。2人はそのまま渋谷方面に向かい、グローバルビジネス関連の懇親会の会場に入り、21時に出て来ました。

井の頭線のホームで電車を待っている間、2人は砕けた雰囲気になり、腕を絡めて手をつないでいます。そして、オートロックのマンションに入っていき、翌日も同じように出てきて出勤。手こそ繋いでいないものの、親密な空気にあふれています。

女性の顔を検索すると、昔の社内報がヒット。そこには「国立大学で工学を研究しており、その知識や学んだことをベースに商品開発がしたい」というコメントがありました。女性の現在の年齢は40代前半のようです。名前を検索すると、多くのSNSがヒット。そのほとんどに鍵がかけられていましたが、あるSNSは公開されており、読書の記録、発酵食品の研究、旅行、災害復興の支援のほか、興味深い投稿がされており、魅力的な女性であることがわかります。

この日、退勤は夫が先で、合鍵を使って女性の家へ。10分後にジャージ姿で出てきた夫は近所のスーパーでイワシ、ひき肉、ニンニク、ブロッコリー、白ワインを購入し、帰宅。

再び、夫は21時に出て来て駅に向かうと、女性が笑顔で手を振って改札から出て来ました。マンションまでの5分くらいの道すがら、夫が「今日の夕飯は、イワシのトマト煮と、ひき肉の香草ハンバーグだよ」と言い、女性は「嬉しい!全部大好物!」と楽しそうにしている。この女性は、一緒にいる人を楽しませる力が強いようです。

結局、このような証拠を、3週に渡り5日分撮影しました。それにつけても、夫はずいぶん開き直った生活をしていることがわかります。紗矢香さんは「夫も私も恋愛に興味がないから、契約結婚した」と言っていましたが、そんなことはない。夫はこの女性に惚れ込んでいることがわかりました。

まるで夫婦のように…

以上の証拠を紗矢香さんにお渡しすると「こんな楽しそうな顔、見たことありませんでした」と驚いていました。夫も女性も家が好きなようで、外食は全くせず、デートもしていない。土日も家で過ごし、やることは近所の公園の散歩のみ。まるで、この女性と夫の方が、夫婦のようでした。

紗矢香さんは、「社員同士の不倫は、コンプラ的にOKなんですかね。これが夫の会社にバレたら、絶対どっちかがトバされますよね。でもこの女の方が出世してそうだから、いいのかな〜」とポツリ。そして「まあなんというか、人間って獣というか、恋愛で理性が吹っ飛んでると、こんな感じになるんですね。私はこれが嫌なんです」と続けます。

紗矢香さんは、人として常に冷静を保っていたい。だから、さまざまな快楽に没入することをセーブしているのだとわかりました。それには、紗矢香さんの母が恋愛体質で、両親のケンカが絶えなかったことが影響していると話してくれました。

「親の恋愛って、子供に悪影響をもたらすんです。夫のこの恋愛も、娘になんらかの影を投げかける。私は娘を全力で守りますけどね」

証拠の動画の内容が淡々としていたこともありましたが、紗矢香さんは目を逸らさずに見続けます。夫と女性の公園デートでは、キスシーンも多いのですが、それには目もくれず「あ、この夫と女性が食べている厚焼きたまごのサンドイッチ、昔、夫がよく作ってくれていたんです」と懐かしむような表情をしていました。紗矢香さんは、証拠を見ながら、どこかホッとしたような感じがあるのです。

全てを見終わったあと、「私、夫のこと好きでもなんでもなかったのかもしれません」とさっぱりした顔で言っていました。

弁護士をつけて離婚交渉をスタートすると…

とはいえ、夫には父親としての責任があります。弁護士をつけて、離婚に向けて交渉をスタート。すると夫は「紗矢香と離婚したくない」とゴネ始めたそうです。

「それにカッと来て、“こんな理想の女と付き合っているんだからいいじゃない”と怒鳴っちゃったんです。すると、“彼女とは遊びなんだ”と。聞けば、彼女も結婚しているそうなんですよ。しかも、彼女の夫はどこかの会社の重役で、今は海外に単身赴任しているとか」

紗矢香さんは常に冷静で、忍耐力と対応力が高い。夫はそこを尊敬し、自分もそうなりたいと思っていたと告白。その憧れの気持ちが転じて、紗矢香さんを困らせたいと考えるようになったとか。

「子供か、って感じですよね。光熱費を支払わないことについても、夫は“我ながら理不尽なことを言っているな”と思いながらも私に伝えたそうです。それを私があっさり受け入れるのが、憎らしかったみたいなんです」

さらに夫から「俺が気を利かせて皿を洗っても洗い直したり、洗濯物を畳みなおしたりしたのも悲しかった」と言われたとか。夫は「そういうことが重なって、この家に必要とされていないと思うようになった」と続け、泣き出したそうです。

夫婦のことは夫婦にしかわかりませんが、浮気は相手への裏切りであり、夫はそれを妻・紗矢香さんのせいにしている。責任転嫁も甚だしいです。さらに、夫が紗矢香さんに「ほめて欲しい、認めてほしい」と甘えているとも感じました。

最も手がかかる時期に何もしなかった恨みは大きい

紗矢香さんは、「ほんと、夫の嫌な面を見過ぎました。男3人の末っ子だから、甘やかされていたのは知っていますが、まさかここまでとは」と、離婚に向けて意思がますます固くなったとのことでした。

「今回の調査費用は、夫と義実家が全額出し、女性と夫の双方から慰謝料ももらえることになりました。養育費の金銭的な条件も確保しました。やっぱり、夫は娘の最も手がかかる時期に何もしなかった。その恨みは大きいです」

今回の調査でわかったのは、女性の子育ての負荷が大きいこと。夫の彼女には子供がおらず、キャリアに集中でき、それなりの地位と収入があることも気になりました。子育てをしながら、日本企業で高い地位に立っている女性は少ないことは感じていました。もし、いたとしても、紗矢香さんのように、実家や義実家のサポートが全くないまま、そこの地位に立っている人はどれだけいるのでしょうか。

紗矢香さんは、会社で「子持ち様」と揶揄されたことが夫の外泊に重なり、苦しんでいました。こうして離婚をしてシングルマザーとして働いていきますが、紗矢香さんも職場の方に事情を説明してみるといいかもしれません。そして会社も、子育てのみならず、自身の病気や、介護などで仕事を休まなければならない状況で誰かがサポートできる環境はどうしたらできるかを考える必要もあるのでしょう。

社会全体の余裕がなくなるとともに、子供がいる・いない層の分断は続いていくでしょう。個人の意識ではなく、社会の仕組みとして考えなければいけない課題だと感じました。

今回の調査料金は55万円(経費別)です。

夫は週5日外泊、会社では「子持ち様」と揶揄…やつれた35歳母が覚悟したこと