横浜FMが死闘を制し「勝利に結びついた」訳 外国人指揮官が決勝に向けて掛けた言葉とは？
2戦合計3-3で120分の延長戦を戦い抜き、PK戦を5-4で勝利
横浜F・マリノスは4月24日、アジアチャンピオンズリーグ（ACL）準決勝第2戦で韓国1部・蔚山現代と対戦し、延長PK戦の死闘を戦い抜いてクラブ史上初の決勝へと駒を進めた。
横浜FMは数的不利に陥りながらも3-2で90分間を終え、合計スコア3-3でPK戦へ突入。GKポープ・ウィリアムが相手の5人目をセーブして5-4で劇的な勝利を手繰り寄せた。試合後、ハリー・キューウェル監督は選手にアラブ首長国連邦（UAE）の強豪アル・アインとの決勝に向けて「楽しもう」と声を掛けたようだ。
冷たい雨が止まない日産スタジアムで意地を見せたのは横浜FMだった。敵地で行われた第1戦を0-1で落とした横浜FMは、クラブ史上初の決勝進出を果たすため、ホームでの第2戦での勝利が絶対条件。そのなかで、FW植中朝日が先制点を挙げると、同21分にはFWアンデルソン・ロペスがミドルシュートを決めて追加点を奪った。
勢いに乗った横浜FMは同30分に再び植中が美しい弾道のシュートを決めてチーム3点目。試合開始30分で3点のリードを奪い、このまま決勝進出へ向けて突っ走るかと思われたが、アジアでの戦いは甘くなかった。前半36分にコーナーキックを頭で合わせられて追加点を許すと、同39分にはカウンターを受けた際、ペナルティーエリア内でDF上島拓巳がハンドを犯してPKを献上。さらにDOSGO（決定的な得点機会の阻止）としてレッドカードが提示され、残り時間数的不利に陥った。このPKを決められて2-3になると、2戦合計で試合は振り出しに。
後半に入っても、10人で戦う横浜FMゴールに蔚山攻撃陣が襲い掛かる。相手のシュート計40本を浴び、枠内に26本飛ばされるも猛攻を耐えしのぎ、延長戦へ突入。120分で決着はつかず、PK戦へともつれ込んだ。互いに4人ずつ決めて迎えた5人目。この相手キッカーのシュートをこの日、何度も好セーブを見せていたGKポープ・ウィリアムがストップした。横浜FMは最後のキッカーを務めたDFエドゥアルドが決めて5-4で勝利。10人でまさに“死闘”を戦い抜いてクラブ史上初の決勝進出を決めた。
キューウェル監督は「準決勝が一番難しい」と選手たちに伝えていた。その準決勝を突破し迎える決勝に向けては「楽しもう！」と試合終了後に声を掛けたという。
FW宮市亮は「まとまりがピッチの中でもありましたし、ピッチ外でもありますし、この試合絶対に負けられないんだっていう雰囲気だった。3-2になってから、難しい展開というかこれがACLだな、と。簡単ではないなという試合でしたけど、最後の最後まで諦めなかった姿勢が最後勝利に結びついた」と、横浜FMが決勝への切符を手にした理由を明かした。
クラブ史上初の決勝。キューウェル監督率いる横浜FMの選手たちは自らで切り開いたまだ見ぬ景色を求めてまずはホーム戦を戦い抜く。（FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi）
