いよいよプロ野球2024年シーズンが始まる。セ・リーグは、球団初の連覇に挑む阪神、新井貴浩監督のもと試合巧者ぶりを発揮した広島、2年連続Bクラスからの復活を目指す巨人など、注目チームが目白押し。そのなかでペナントを制するのはどこなのか。解説者の五十嵐亮太氏にセ・リーグ順位予想と展望を聞いた。

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球団初の連覇に挑む阪神・岡田彰布監督 photo by Koike Yoshihiro

【1位:阪神】

 昨シーズン、2位に大差をつけて優勝。投打のバランスのよさを考えても、セ・リーグでは頭ひとつ抜けている印象があります。先発陣は昨年MVPに輝いた村上頌樹投手をはじめ、計算できるピッチャーが揃っています。リリーフ陣も新外国人の速球派、ハビー・ゲラ投手が加わり、さらに厚みを増しました。

 野手陣も昨年の主力が残り、大きな穴がない。なかでも近本光司選手は、チャンスメーカーにもなれるし、ポイントゲッターにもなれる。相手からすればいかに近本選手を塁に出さないか、またランナーのいる場面で回さないか。そこがポイントになってきます。

 昨年ほどの独走はないにしても、阪神の時代が来たのかなという印象を受けます。連覇の確率ですか? うーん......75%以上はあると思います。

【2位:広島】

 広島は栗林良吏投手、矢崎拓也投手、島内颯太郎投手の3人を筆頭に、リリーフ陣が充実しています。阪神もそうですが、リリーフ陣がしっかりしているチームは勝てる試合を落とさないし、競った試合をものにできる確率が高い。ここが広島の一番の強みです。

 打線は、西川龍馬選手がFAでオリックスに移籍しましたが、うまくカバーできるんじゃないかと思っています。新井貴浩監督は選手のモチベーションを上げるのがうまく、ベンチワークも見事でした。30本塁打を打つような選手はいませんが、粘り強くつないでいく。新外国人が機能すれば、得点力アップが見込めますし、優勝争いに絡んでくると思います。

【3位:巨人】

 今年から指揮を執る阿部慎之助監督の手腕は、現時点で未知数ですが、戦力だけを見れば優勝してもおかしくない布陣です。ただ不安を挙げるとすれば、リリーフ陣です。昨シーズンは試合終盤に逆転されるシーンを何度か見ましたが、今季はそれをどれだけ減らすことができるか。オフにソフトバンクから高橋礼投手、泉圭輔投手、オリックスから近藤大亮投手など、リリーフタイプのピッチャーを積極的に補強しましたが、このなかから戦力になる投手が出てくれば、それだけで劇的に変わってくると思いまます。

 打線は、岡本和真選手を中心に長打力のある選手が揃っています。岡本選手の前に、どれだけランナーをためることができるかがカギになりそうです。リリーフ陣の不安という点でこの順位にしましたが、若い力も出てくる気配がありますし、投打がうまく噛み合えば優勝の可能性も出てきます。

【4位:ヤクルト】

 打線に関しては、シーズンを通して1番に塩見泰隆選手を固定できるかどうか。ポイントはその一点です。昨年苦しんだ村上宗隆選手は、今年はやってくれそうな気配がありますし、ホセ・オスナ選手、サンタナ選手の両外国人も安定感がある。得点はある程度計算できると思います。

 問題は投手陣です。先発は奥川恭伸投手の復活に期待したいところですが、現段階で未知数です。それに高橋奎二投手もローテーションの柱になってもらわなければ困る存在。ただリリーフ陣は、嘉弥真新也投手が加わり厚みが増しました。先発投手が6回くらいまで持ちこたえられる展開になれば面白い。序盤から打線が得点を重ね、投手陣の精神的負担を減らすことができればAクラスのチャンスは十分あるでしょう。

【5位:DeNA】

 5位に予想したのは、今永昇太投手とトレバー・バウアー投手が抜けた穴が大きいと考えたからです。去年、ふたりで280イニング近く投げているのですが、その穴を埋めるのはさすがに厳しいと思います。リリーフ陣も数は揃っていますが、クローザーを1年間固定できるのか......など、不安はあります。

 その一方で、打線は活発です。ルーキーの度会隆輝選手はオープン戦で首位打者に輝くなど、非凡な才能を見せています。ほかにも宮?敏郎選手、佐野恵太選手、牧秀悟選手と実績さる選手が並ぶ打線はリーグ屈指です。今年も打線が投手陣をカバーする展開になると思いますが、長いシーズンを乗り切るには投手力が重要になってきます。そういうことも踏まえ、この順位にさせていただきました。

【6位:中日】

 DeNAとは逆に、中日は柳裕也投手、小笠原慎之介投手、高橋宏斗投手をはじめ先発陣は充実していて、そこに大野雄大投手が戻ってくるとなると、超強力布陣となります。さらにリリーフ陣も安定していますし、投手力はリーグナンバーワンと言っても過言ではありません。

 問題は攻撃陣で、昨年の390得点はダントツの12球団ワースト。今年は中田翔選手、中島宏之選手、上林誠知選手といった実績ある選手が加わり、そこまで得点力不足を解消できるか。昨年ブレイクした細川成也選手もひと皮むけた印象がありますし、間違いなく得点力は上がるでしょう。あとは接戦になった時に勝ち切れるかどうか。1点差ゲームを拾っていくことができれば、順位は自ずと上がるはずです。

五十嵐亮太(いがらし・りょうた)/1979年5月28日、北海道生まれ。千葉・敬愛学園から97年ドラフト2位でヤクルトに入団。プロ2年目の99年にリリーフとして頭角を現し、一軍に定着。04年はクローザーとして37セーブを挙げ、最優秀救援投手賞のタイトルを獲得。09年オフにメジャー挑戦を表明し、メッツと契約。12年はブルージェイズ、ヤンキースでプレーし、13年にソフトバンクと契約し日本球界復帰。18年オフに戦力外となるも、ヤクルトと契約。19年は45試合に登板したが、20年10月に現役引退を表明。現在は解説者として活躍している。