今週のテーマは「一晩過ごした後、女の態度が変わった理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:六本木のタワマンで一晩過ごしたあと、女の態度が冷たくなったワケ。デートまではいい感じだったのに…




昼間は春の兆しが感じられるが、朝の六本木は、まだ冷え込む。

クラブ帰りと思われる若者が通り過ぎていくのを横目で見ながら、朝焼けとともに輝く東京タワーを見つめる。

「眩しいな…」

AM6:30。この時間に化粧も落とさずフラフラ歩いている私は、誰がどう見ても「朝帰りした女」だろう。

間違ってはいないし、昨晩化粧も落とさずに蒼太の家で一晩過ごしてしまったことを後悔もしている。

でもそれ以上に、蒼太の家に行ってしまった自分を悔いていた。


A1:高収入だしいいかも…と思っていた


蒼太とは、男友達の健斗からの呼び出された時に出会った。

― K:今西麻布で男友達と飲んでるんだけど、来れない?

ちょうど私も1軒目が終わり、もう少し飲みたい気分だったので、行ってみることにした。するとそこにいたのが蒼太だった。

すでに蒼太はかなり酔っ払っていて、ヘラヘラと楽しそうにしている。

「こいつ、同期なんだけどさ。今独身だし、かなりいい男だよ」

- へー、そうなんだ。健斗は外銀勤め。ということは彼もかなりの高収入ってこと…?

頭の中で思わず計算してしまう。しかし、この日は彼も酔っていたのでほどなくして解散となった。

後日気になったので、私のほうから連絡をしてみるとスムーズに食事に誘ってくれて、私たちはデートをすることになった。

場所は、行ってみたかった『鮨 りんだ』で好感度が上がる。




「ごめんね、遅くなって」
「ううん。俺が早く着いてただけだから」

改めて蒼太を観察みる。今日はシラフなせいか、前回よりシュッとしている印象だ。思ったより背が高くて、意外に筋肉質な体格だ。

「りんだ、来てみたかったから嬉しい〜♡」
「初めて?良かった。ここ美味しいよ」

乾杯を済ませて食事が始まる。すると蒼太はすごく気まずそうに聞いてきた。

「この前、俺大丈夫だった?すごい酔っ払っていた気がするんだけど…」
「そうなの?そんなに酔っているようには見えなかったよ」

前回会った時。たしかに蒼太は酔っていたけれど、嫌な酔い方ではなかった。

「未央ちゃんは仕事、何してるんだっけ?」
「私はIT系だよ。蒼太さんは?」
「僕は外資系投資銀行…って言うのが一番わかりやすいかな」
「そうなんだ〜」

もちろん知っている。けれども外銀目当てで近づいてきたと思われたくないので、美しく反り上がったぷりぷりの「車海老」を食べながら、あえて詳しく知らないふりをしてみる。




しかし私のそんな計算高さとは裏腹に、私たちは純粋に話が合った。

「未央ちゃん、大学慶應なの?一緒だ!」
「やばい!何学部だった?」

蒼太が33歳で私が28歳なので校内で会っていた可能性はゼロだけれど、同じ大学というだけでちょっと近づけた気がする。

しかもゴルフも好きだという。

「未央ちゃんゴルフするの!?今度一緒に行こうよ」
「行きたい!蒼太さんはどれくらいのスコアで回るの?」
「僕90くらいかな。未央ちゃんは?」
「蒼太さん、すごいゴルフ上手なんだね。私は全然下手で、110前後かな」
「女性でそれくらいのスコアだったら、もう十分でしょ」

話すのも、聞くのも上手。多少の期待をしてこのデートに臨んだけれど、蒼太は期待以上だ。

「未央ちゃんって見た目と良い意味でギャップがあるよね」
「どんな?」
「もっと冷たい感じかと思ったんだけど、意外にふわふわしているというか…」
「“ありがとう”、でいいのかな」
「うん、これは褒め言葉だから」

― あ…。彼、すごくいいかも。

そして次のデートもすぐにやってきた。でも2回目のデートで私は厳しい現実に直面することになる…。


A2:洗面台に女物の基礎化粧品が揃っていた


そして翌週の金曜日。私たちは六本木のステーキハウスでデートをすることになった。

デート当日の夕方、蒼太から急な仕事で1時間半遅れると連絡が来た。

「店側には連絡済み」ということだったので、私は近くのカフェで仕事をしながら時間を潰すことにした。

「未央ちゃんごめん!!急にトラブっちゃって…」
「全然大丈夫だよ。事前に連絡くれたし。それに近くのカフェで溜まっていた仕事もできたから、本当に気にしないで」

直前連絡だったら困ったかもしれないけれど、まったく問題ない。

「本当にごめんね。好きな物、好きなだけ飲んでね」
「そのつもりです♡」

その言葉通り、私は好きなワインをたくさんいただくことにした。そのせいもあり、気がついた時には、ワインが2本も空いていた。




もちろん、2軒目にも行った。薄暗いバーで二人きりで話しているうちに、私たちの距離は近づいていく。

「未央ちゃんって本当にいいよね。美人だし一緒にいると楽しいし」
「ありがとう。蒼太さんも最高だよ」

なんとなく、無言になる私たち。次の蒼太の言葉も、当然の流れのように思えた。

「…この後どうする?うち、近いんだけど来る?」
「……行く」

バーを後にして、蒼太の家を目指す。手を引かれて向かった先は、六本木にある絵に描いたようなタワマン。

「ここに住んでるの?さすがだね」
「そう?普通だよ」

そして部屋へ入り、そのままの流れでコトを終えた。この日は酔っていたこともありそのまま寝てしまった。

けれど翌朝、目覚めた瞬間に私は激しく後悔をした。




「やってしまった…」

まだ薄暗い東京の明け方。暗い部屋の中で、私は隣に眠る蒼太を恐る恐る見つめてみる。

まだ二度しかデートしてないのに、どうして私はホイホイと家にあがってしまったのだろうか…。

そんなことを考えていると、蒼太が目を覚ました。

「もう帰る?」
「ごめん、起こしちゃった?うん、帰るね」
「タクシー呼ぼうか?」

― 慣れてるなぁ。

この一連の流れを、蒼太は何度繰り返したのだろう。

外銀勤めで、独身貴族…。蒼太に群がる女性はたくさんいるだろうし、自分がその中の“簡単な女”の仲間入りをしてしまったことが悔やまれてならない。

「大丈夫。その前に、洗面所借りていい?」
「いいよ。適当に使って」

借りたついでに、洗面所の鏡の後ろを開けてこっそりチェックしてみる。

昨日は酔っていて、そこまで気が回らなかったから。

「だよね…」

そこには、高級ブランドの女性物の基礎化粧品が並んでいた。

ちまたにはメンズ物の化粧品も増えているし、化粧水はもはや男女問わず必須アイテムになっている。でも並んでいるのはメンズ用の化粧水にしては、女性が言う“ベスコス”の代名詞のような、定番ブランドの物だった。

「これって、本人の物…?それとも彼女の物?」

彼女はいないのかもしれないけれど、ここに定期的に来る女はいるのだろう。

「私、結局遊ばれたってこと?」

悶々とした気持ちを抱えたまま、彼の家を出て、朝の六本木を歩く。

本人に聞けば良いのかもしれないけれど、聞いたところで「女がいる」とは言わないだろう。

それに、これ以上自分自身が彼に軽く扱われるのも嫌だし、踏み込んで傷つくのも怖い。

今は蒼太にハマらないよう、一定の距離を保ちながら身を守っている。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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勘違い男の末路