浜松〜長野を短絡「三遠南信道」ついに最難所「青崩峠トンネル」完成間近!? 約5kmの長大トンネル「一度は敗北した工事」いよいよ大詰め

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歴史に残る「難所」抜ける長大トンネル

 国土交通省 飯田国道事務所は2024年3月7日(木)、静岡県長野県で工事が進められている高規格道路「三遠南信道」のうち、県境をまたぐ「青崩峠トンネル」の工事状況を更新しました。
 
 工事はどこまで進んでいるのでしょうか。また、完成すればどう便利になるのでしょうか。

工事が進む三遠南信道。

 三遠南信道は、浜松市の新東名からまっすぐ北の山岳地帯を抜けていき、長野県飯田市の中央道へ直結する高規格道路。全通すれば太平洋側と信州方面の新たな直結ネットワークが形成され、「道路不毛地帯」と言われる厳しい南アルプスに貴重な自動車ルートが開拓されることとなります。

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 このうち青崩峠トンネルは、そのなかでも「最難所」と言われている区間です。

 もともとこの県境部の青崩峠を抜けるため、1994年に「草木トンネル」が開通しました。が、そのあとは厳しい地層条件などに阻まれ、最終的に計画は中断となってしまった過去があります。

 しかし21世紀に入って新たに、4998mもの長大トンネルで一気に抜ける事業がスタートしました。

 2019年に開始した掘削工事は順調に進み、2023年5月に、ついに貫通を迎えました。「土木技術が自然に打ち勝った」「敗北した現場にリベンジを果たした」と話題になりました。

 それから1年が経とうとしています。現在は、貫通したトンネル内部の掘削面をコンクリートで巻き立てる、「覆工」の工事が進められています。

 その覆工作業も、2024年2月末時点で、いよいよ「9割が完了」したと発表されました。覆工が終わればあとは電気設備や排水工、舗装といった「仕上げ作業」を残すのみとなります。

 この青崩峠は、すれ違いも困難なほど狭隘で急勾配・急カーブの続く林道を延々と走るしかありません。ネットワークとしてほとんど機能をなしていない国道152号の代わりに、浜松から長野方面へ、日本の新たな南北軸となる高規格道路が完成しようとしています。

 三遠南信道では、浜松から山岳区間に至る複数の工区が、工事中となっています。ひとまず2025年に、鳳来峡IC〜東栄ICが開通予定。新東名の浜松いなさJCTから佐久間川合ICまで、約30kmがつながることとなります。なお、青崩峠道路の開通予定は今のところ明らかになっていません。