この記事をまとめると

■日本では3月が年度末となりその直前が新車がもっとも売れるシーズンとなる

■9月が年度末となるアメリカでも決算直前に新車が売れるが、年度末と同じくらいクリスマスシーズンも新車が売れる

■メーカーは12月が決算月で新車購入に「スペシャルオファー」も出流ためにそれが販売を後押しする

アメリカの新車販売ハイシーズンは9月と12月

 日本ではこれから3月にかけ、年間で最も新車が売れるシーズンがやってくる。それはなぜかといえば、3月は事業年度(4月から翌年3月)締めでの事業年度末となり、日本の多くの企業が決算を迎えることになり、当然メーカーや新車ディーラーも決算時期となるところがほとんどなので、値引き拡大などの好条件を提示し、決算が少しでもよいものになるように新車をできるだけ多く売ろうとしてくるからである。

 ほかにも、事業年度締めで上半期末となる9月も「半期決算セール」として、新車を好条件で購入しやすくなっているのである。

 アメリカでは、一般企業の事業年度は暦年と同じく1月から12月が一般的とされているが、政府や公共機関では、10月から翌年9月までが事業年度となるようだ。新車についてアメリカでは「イヤーモデル制」をとっており、毎年最低でもなんらかの小改良を行い、10月上旬に、たとえば2024年10月ならば早出しとして「2025年モデル」へ一斉切り替えされていた。

 そのため9月が「イヤーエンドセール」として、たとえば2024年9月ならば「2024年モデル」のたたき売りが行われるのである。アメリカでは9月第一月曜日が「レイバーデイ」として祝日となる。このレイバーデイがたとえば9月1日などになると、当然8月30日からの3連休となるので、8月下旬近くから盛り上がるときもあるようだ。

 ところが、このイヤーエンドともいえる9月並みの勢いで新車が売れる時期があると聞いたことがある。それが「クリスマスシーズン」である。つまり、クリスマスギフトとして新車をプレゼントする人が多いというのである。

日本の「自転車」感覚で新車をプレゼント

「知人から聞いた話ですが、ある高級ブランド車を扱うディーラーのセールスマンのところにクリスマスを前にして、すでに何台も乗り換えてもらっている『馴染み客』がきたとのことです。『ワイフにクリスマスプレゼントで新車(700万円ぐらいするSUV)を贈りたい』との相談であった。すでに新車を購入するのは決まっていたのだが、納車の方法の相談だったそうなのです。馴染み客のプランは、クリスマスの朝にガレージに停めているいわゆる「下取り車」を黙って新車に交換してワイフを驚かしたいということだったらしいです。そして、その演出のひとつとしてセールスマンにサンタクロースの格好をしてガレージ近くに潜んでいてもらい、ワイフを一緒に驚かせて欲しいとのことでした」とは南カリフォルニア在住の事情通。

 いかにもサプライズ好きなアメリカ人の考えることらしい話である。結局このセールスマンはその「サプライズプレゼント」に付き合うことになったとのことである。

 このようなサプライズにつきあうかどうかは別として、日本ではあまり想定できないのだが、クリスマスギフトとして新車を贈るというのは珍しくないとのことであった。アメリカでは自動車は「移動の足」として、日本での自転車のような存在。日本でも自転車クリスマスギフトとして贈るのはよほどの高級モデルでもなければ「想定内」だから、アメリカで新車を贈るのも珍しいことではないということだろう。

 しかも、メーカーなどは12月が決算月でもあるので、新車購入に際しての「スペシャルオファー」も出ており、これも後押ししているといっていいだろう。