中国は2023年、EVを中心とする新エネルギー車を約120万台輸出した。写真は中国の港で船積みを待つ上海汽車集団製のEV(同社ウェブサイトより)

中国の自動車の生産台数および販売台数(輸出を含む)が、年間3000万台を初めて突破した。中国汽車工業協会が1月11日に発表したデータによれば、2023年の中国の自動車生産台数は前年同期比11.6%増の3016万1000台、販売台数は同12%増の3009万4000台に達した。

生産・販売の2桁増を牽引したのは輸出の爆増だ。中国の自動車輸出台数は2021年に200万台、2022年に300万台を突破し、2023年は前年比57.9%増の491万台とさらなる急拡大を記録した。

EVもエンジン車も輸出好調

輸出の内訳を見ると、EV(電気自動車)に代表される「新エネルギー車」の輸出台数は120万3000台と前年比77.6%の大幅な成長を見せた。加えてエンジン車の輸出も好調で、輸出台数は前年比52.4%増の370万7000台に上った。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、プラグインハイブリッド車[PHV]、燃料電池車[FCV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

また、中国汽車工業協会が2023年1月から11月までの通関統計をもとに整理したデータによれば、輸出先の上位3カ国はロシアの84万1000台、メキシコの37万6000台、ベルギーの20万2000台の順だった。

(訳注:ベルギーにはヨーロッパ最大の自動車荷揚げ港があり、そこで上陸したクルマがヨーロッパ各国で販売されている)

ただ、中国の自動車輸出が2024年も高い伸びを維持できるかは不透明だ。新エネルギー車もエンジン車も、主要な輸出先で複雑な問題に直面している。

新エネルギー車の輸出は、現時点ではヨーロッパと東南アジアが主要市場となっている。そのうちヨーロッパでは、EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会が2023年10月、中国製EVの補助金に関する調査に着手した。仮に中国製EVに(中国政府からの)過剰な補助金が支払われていると認定された場合、EUは相殺関税を課すことになる。


中国の新エネルギー車の年間生産台数は1000万台に迫っている。写真は中国のEV最大手BYDの生産ライン(同社ウェブサイトより)

エンジン車の最大の輸出先であるロシア市場では、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻が、中国メーカーに予期せぬ商機をもたらした。西側諸国の大手自動車メーカーが、ロシア市場から続々と撤退したためだ。これは一過性のチャンスであり、持続性は期待できない。

「新エネ車」は1000万台超えへ

中国の自動車生産・販売の拡大を、輸出とともに支えてきたのが新エネルギー車だ。中国汽車工業協会のデータによれば、2023年の生産台数は前年比35.8%増の958万7000台、販売台数(輸出を含む)は同37.9%増の949万5000台に達し、1000万台の大台に近づいている。


本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ、2021年の新エネルギー車の販売台数が前年の4.5倍、2022年は同1.9倍という急成長を記録していたのと比較すると、2023年は勢いの鈍化が否めない。

中国汽車工業協会は、2024年の新エネルギー車の販売台数を1100万台と予想している。これは2023年比の伸び率が20%に届かないことを意味し、成長のさらなる減速が避けられそうにない。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は1月13日

(財新 Biz&Tech)