「地震に強い家」を選ぶコツは? 「マンション」「一戸建て」どちらがオススメ? 不動産鑑定士が解説
2011年3月の東日本大震災以降も、国内では熊本地震や能登半島地震などの大きな地震が発生していることから、「地震に強いかどうか」を基準に家を購入したり、家を借りたりする人は多いと思います。
ところで、マンションと一戸建て住宅とでは、どちらの方が地震に強い傾向にあるのでしょうか。「地震に強い家に住みたい」と思った場合、どのような基準で家を選ぶとよいのでしょうか。不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の竹内英二さんに聞きました。
「新耐震基準」「耐震等級」がポイントに
Q.建物の構造や築年数などによって異なるとは思いますが、マンションと一戸建て住宅とでは、どちらの方が地震に強い傾向にあるのでしょうか。地震に強い家を選ぶ際の基準も含めて、教えてください。
竹内さん「マンション、一戸建て住宅に関わらず、1981年5月31日以前に建築確認申請を通過した建物は旧耐震基準の建物とされ、耐震性が低い可能性があります。それに対して、1981年6月1日以降に建築確認申請を通過した建物は新耐震基準を満たしているため、耐震性は高いです。地震に強い家に住みたい場合、新耐震基準の建物を選択する必要があります。
もう1つポイントになるのが『耐震等級』です。耐震等級とは、住宅の性能を記載した『住宅性能評価書』を取得したときに示される耐震性の指標のことです。耐震等級には、原則として『1』『2』『3』の3種類があり、数値が大きいほど耐震性の高い建物となります。
近年の一般的な新築住宅の場合、耐震等級は1です。耐震等級2は学校や避難所などの公共建築物、耐震等級3は消防署や警察署などの災害復興の拠点が想定されています。旧耐震基準の建物は、耐震等級0と表示されます。耐震等級1であっても現行の耐震基準を満たしているため、決して耐震性が低い建物というわけではありません。
もっと地震に強い家に住みたいと思っている場合には、耐震等級が2もしくは3の家を選択するのがよいでしょう。震度7の地震で倒壊する確率について、耐震等級1の建物は28%、耐震等級2の建物は7.9%、耐震等級3の建物は3.5%程度とされています。
このほか、マンションは鉄筋コンクリートで建てられることが多いため、地震の際は高層階を除き、木造の一戸建て住宅よりも揺れが小さい傾向にあります」
Q.マンションの場合、地震の際に被害が出やすいのは何階なのでしょうか。
竹内さん「先述の新耐震基準を満たしているかどうかで異なります。旧耐震基準のマンションに住むと、地震の際に1階と2階が押しつぶされてしまう可能性があります。新耐震基準のマンションであれば、押しつぶされる可能性は低いです。
新耐震基準のマンションの1階、2階に住むと、地震時に早く外に逃げられるというメリットがあります。地震後に停電が発生しても、低層階なら階段での昇降が楽です。
高層階は新耐震基準のマンションであっても、地震の際に揺れが大きくなります。特に超高層マンションは、大きく長く感じる揺れである『長周期地震動』の影響を受ける可能性があります。高層階は地震時に逃げにくく、停電が発生すれば昇降しにくくなるというデメリットがあります」