寒くなると“膝”が痛くなるのはなぜ? 医師が解説する注意点&対策
冬は膝の痛みを感じる人が増える傾向にあります。SNS上では、「膝が痛いのは冬のせい?」「膝が痛いと冬を感じる」などの声が上がっています。寒い時期になぜ膝の痛みを感じるようになるのでしょうか。膝に痛みがある場合の注意点などについて、湯川リウマチ内科クリニック(東京都武蔵野市)の院長で、医師の湯川宗之助さんに聞きました。
寒さで筋肉が硬くなり膝に負担
Q.そもそも、寒い時期に膝が痛くなることがありますが、なぜなのでしょうか。
湯川さん「寒さにより膝が冷えると、血管の収縮により血流が悪くなったり、酸素や栄養素の循環が滞ったりするようになります。その影響で体に老廃物がたまり、筋肉の動きが悪くなるため、体を動かしたときに膝に負担がかかって痛みを感じやすくなります。冬は関節痛の症状を自覚しやすい時期と言えます。
特に関節リウマチや変形性膝関節症などの関節系の疾患がある人は、『冷え』が大敵となります。夜に体が冷え過ぎてしまうと、起床時に全身がこわばって動けなかったり、体全体がだるくなったりするなどの症状が出現します」
Q.どのようなときに膝が痛くなりやすいのでしょうか。膝にできるだけ負担をかけないようにするための対策も含めて、教えてください。
湯川さん「『暖房が効いた部屋と寒い屋外を行き来する』『冷房が効いた部屋と暑い屋外を行き来する』といったように寒暖差が生じる環境で生活を続けると、寒暖差による刺激で膝に痛みが生じる傾向にあります。そのため、冬だけでなく夏も関節痛が生じやすいです。
膝の痛みや膝に負担をかけないための対策として、自宅と屋外との寒暖差を減らすとよいでしょう。外出時に厚着をしたり、カイロを持ち歩いたりするなど、できるだけ体を冷やさないようにすれば、膝の負担を軽減できると思います。また、ストレッチといった軽い運動や減量も膝の負担を軽減する上で有効です。無理のない範囲で積極的に行っていきましょう」
Q.膝に痛みがあるにもかかわらず放置すると、どのようなリスクが生じる可能性がありますか。関節リウマチや変形性膝関節症を発症した場合、どのような治療が行われるのでしょうか。
湯川さん「膝の痛みの原因が関節リウマチや変形性膝関節症だった場合、放置すると症状が進行する可能性があります。膝に違和感がある場合は医療機関を受診し、原因を調べてもらいましょう。
関節リウマチや変形性膝関節症に関する治療法として、運動療法や薬物療法、手術療法があります。発症の原因や症状の程度によって治療法は異なるため、繰り返しにはなりますが、膝に違和感を覚えた場合は受診をしてください」