この記事をまとめると

■「超便利!」と登場したはいいが実際にはそれほどでもなく消えてしまった装備がある

■バブルの頃は「こんなものが!」と驚くようなぶっ飛んだ装備も多かった

■高額なコストがかかるものもあり金額に見合わないとはやることなく消えたものも多い

冷静に考えると「必要ないよね」な装備

 キッチンの蛇口につけるとシャワーになるキャップなんて、いまの若い人は知らないでしょうね。追い焚き機能がなかった時代に重宝した、お風呂のお湯を冷めにくくする断熱シートも、そろそろ知る人は少なくなっているでしょうか。

 じつはクルマの装備でも、登場したときは「世紀の大発明かも!」と沸き立ったのに、なぜかあっという間に消えてしまったものが少なからずあります。今回はそのなかの一部をご紹介したいと思います。

 まずは、携帯電話が普及するより先に、自動車電話というものがあったのは、なんとなく知っている人も多いと思いますが、じつはセンチュリーやセルシオなどの高級車用に登場した、自動車FAXはそれ以上の衝撃でした。

 アイシンの本社にあるコムセンターには、1989年製の自動車ファクシミリ「AISIX 401」が展示されていますが、プリンタ技術を活用して開発した、世界初の製品だったそう。けっこう大きくて、横幅はA4サイズ強、厚みも20cmくらいあるでしょうか。これが車内にあったらちょっと仰々しいかなと思いますが、バブル絶頂の日本ですから1秒を争うビジネスマンには必需品だったのかもしれないですね。

 続いては、冬に限らずエアコンを多用する夏でも、車内は想像以上に乾燥しているといわれますが、なんと初代の日産シーマなどにオプション設定されていた、純正の加湿器があったとは驚き。モイスチャーコントロールとも呼ばれていたそうで、センターコンソールに小さな穴が空いており、そこから水蒸気が出るようになっていたそう。

 室内用の加湿器と同様に、水タンクに水を入れて、電源スイッチをONにすると、超音波波動が起こって水が振動し、細かい水粒子がファンの風によって霧状になって吹き出す仕組みだったようです。シーマが愛車という伊藤かずえさんも、もしかしたら愛用しているかもしれませんね。

当時は鳴かず飛ばずもいまになって注目されているものもある

 次に、現在はタッチ式のNFCカードキーが装備される新型車が復活していますが、そうではなく携帯しているだけでドアやトランクの解錠、施錠、エンジン始動ができるという、スマートキーの薄型カード型が流行った時代がありました。

 ホンダのレジェンドやレクサスなどが採用していたものですが、薄型といっても財布に入れるには分厚く、かといってキーホルダーにつけておくことはできず、使い方に慣れていないからか、紛失する人が続出。なかには踏んづけて割ってしまった、なんてトラブルもあり、あまり普及はしませんでした。いまなら、スマホのアプリで代用できますね。

 続いて、あると便利なんだけど、何十万円も出してつけるほどの装備でもない、ということでおそらく消えてしまったのが、サイドミラーワイパー。日産レパードやシーマ、トヨタ・クレスタなどにオプションで登場したものです。

 雨粒や汚れ、曇りなどをスムースに取り去ることができるもので、1980年に登場したレパードは、世界初のワイパー付電動リモコン式フェンダーミラー。ミラーの鏡面をキコキコと動く、細く小さなワイパーが付いているのが衝撃的でした。ただ、かなり高額なオプションだったことや、曇り止めの技術などでなんとかなることもあり、その後普及することはなかったと思われます。

 最後は、空前のアウトドアブームのいまなら、復活したら売れそうな気もする、マツダ・ボンゴフレンディのポップアップルーフ。ホンダの初代オデッセイや初代ステップワゴンにもオプション設定されていたこともあるのですが、屋根の部分がパカッと斜めに持ち上がり、大人ふたり程度が車中泊できるくらいのテントスペースができるというもの。

 実際にここで寝てみたことがありますが、風の強い日だったので、ルーフの上で寝ていると車体がけっこうグラグラと揺れるため、ちょっと怖かった思い出があります。夢のある装備ですが、重心が高くなるため走行性能に不利となることや、車重も重くなるため燃費にも悪影響。当時はまだ車中泊がそれほどメジャーではなかったこともあり、消えてしまったのでしょう。

 ということで、普及はしなくても私たちに夢や驚きを与えてくれる、革新的なクルマの装備。これからも、どんなものが登場するのか楽しみにしていきましょう。