16インチMacBook Proを愛用しているワタシ。購入してからケースに入れることなく使っていたのですが、リュックに放り込んで持ち歩いていたためか、特に天板のアップルマークを中心にキズが散見されてがっかり。そのようななか、マイナビニュースの記事で「日本の職人が作ったMacBook用のレザースリーブ」を発見。さまざまな表情を持つ革の種類があるなか、お店のイチオシというレザースリーブを試用させてもらったところ、単に「MacBookの表面を保護する美しいスリーブケース」にとどまらず、耐衝撃性の向上や本革マウスパッドとしての利用などさまざまな付加価値が体感でき、まさに“お値段以上”だと感じました。

上質な本革を用いた「職人が作るレザースリーブ 16インチMacBook Pro用」。ある程度使い込んだので、後述する白いブルームがだいぶなくなり、本革の光沢が出てきた。写真のブライドルレザー版の価格は20,800円

購入直後は白いブルームの模様が美しいブライドルレザー

iPhoneはケースを装着して使っている人が大半だと思いますが、MacBookはケースを装着しないまま使っている人が多いと感じます。しかし、最新のM3搭載MacBook Proは最安モデルでも25万円、メモリーやSSDをカスタマイズすれば軽く40万円コースになる高級品。打ち合わせなど用事を終えた時にあわててカバンに放り込んで、会社に帰ったら一緒に入っていたペンや社員証ホルダーとこすれてキズがあちこちに…ということになったら泣くに泣けません。

そのようななか、マイナビニュースで国立商店の本革製ケース「職人が作るレザースリーブ 15インチMacBook Air用」発売のニュース記事を発見。日本の職人が縫製を手がけ、余計な装飾を省いたシンプルなデザインに仕上げ、使い込むごとに革がデバイスに馴染む体験やエイジング効果が楽しめる、という点に魅力を感じました。15インチMacBook Airだけでなく、各種MacBookシリーズ用をラインナップしているということで、試用させてもらいました。

職人が作るレザースリーブはシンプルな造形ながら、ブライドルレザー版は独特のブルームが浮き出ているのが目を引く。今回試用したのはクラシックブラック 赤ステッチモデルで、現在は品切れとなっている

職人が作るレザースリーブの特徴が、表情のまったく異なる本革をいくつかラインナップしていて、しかもどれも味があること。今回は、英国製のブライドルレザーを用いたモデルを選びました。届いたケースを手にしてまず驚いたのが、革の表面に美しい白い模様が鮮やかに描かれていること。これはブルーム(ロウ)の成分が浮かび上がったもので、迫力すら感じる表情の美しさに息をのみました。拭き取って磨き上げれば美しい革の光沢が出るのですが、普通に使っていても徐々に落ちていくということで、あえてブルームを残したまま使うことに。

ダイナミックさも感じさせるブルームの模様は美しい。気になるようだったら、布で拭くことで取り除いてツヤを出せる

ロゴのたぐいは、国立商店のロゴがエンボス加工で控えめに施されているのみで好ましい

革が厚めでコシがあることも好ましいと感じました。革の厚さは1mmほどあり、触るとしっかりとしたコシが感じられ、ペラペラな印象はまったくありません。表裏の革は鮮やかな赤い糸でしっかり縫製され、内側には赤いスエード素材が張られ、黒と赤のコントラストの美しさも上々です。

内側にはピッグスエードが張られており、MacBook本体を優しくカバーしてくれる。赤の色が鮮烈だ

まさにジャストサイズ、MacBookの下に敷いて使う用途も

早速、MacBook Proを入れてみたところ、余計なすき間もないほどピッタリで驚きました。このジャストフィットさが売りで、購入当初はケースに収めるのに苦労するほどですが、汎用品にはない“あつらえ感”がたまりません。

まさにジャストサイズといった印象。スリーブ内でMacBook本体がユサユサ揺れないのは好ましい

開口部はMacBook本体とツライチでぴったり

最近のMacBookシリーズはしっかりした脚があり、この部分はレザースリーブも浮き出てくる。MacBook収納時は、表裏を決めて入れるのがよい

このレザースリーブ、国立商店では「MacBookを使う際に下に敷いて本体を保護する」という使い方を提案しているのが意外でした。最初は、こんなキレイなレザースリーブを敷物にするとは…!と思いましたが、屋外のテーブルや金属製のテーブルなどに置いても本体が傷つかずに済むのは確かにありがたいと思いました。

屋外にあったアルミ天板のテーブル。MacBookをそのままドンと置くのは少し気が引けるが、レザースリーブを敷けば安心できる

敷く用途で便利だと感じたのが新幹線。東海道・山陽新幹線では、7号車に設置された「S-Work車両」のテーブルの形状が工夫され、より手前に引き寄せつつテーブルが手前方向に傾斜する構造になっており、ノートPCを載せての作業がしやすくなっています。レザースリーブを敷けば、傾斜している状態でも本体が手前に滑ることなく安定して保持できるようになります。

東海道・山陽新幹線S-Work車両のテーブルはノートPCの操作用に改良されており、通常よりも天板が手前に傾斜した状態で固定できる

レザースリーブを敷いた上にMacBookを載せれば、天板を傾斜させた状態でも手前にズリ落ちてこなくなる

出張などの用途では、レザースリーブをマウスパッド代わりに使うのも便利だと感じました。ガラス張りのテーブルを設置しているホテルもありますが、一部の光学マウスはガラステーブルでは正常に使えなくなるため、ヤキモキすることも。そのような場合でも、レザースリーブを敷いた上にマウスを置けば問題なく操作できます。サイズは大判で余裕があり、触れた手首の触感も心地よく、マウスパッドとしても極上でした。本革のマウスパッドは1万円を軽く超えるものが多く、これだけでモトが取れた気がします。

意外に便利だったのがマウスパッドとしての活用。どのようなテーブルでもマウスが正しく反応するうえ、手首に伝わる本革の感触も上品で好ましい

コシのある本革のマチが耐衝撃性をもたらす

レザースリーブは「カバンなどへの収納時にMacBook本体表面のキズ付きやスレを抑える」という効果がありますが、このレザースリーブはある程度の耐衝撃性も備えていると感じました。

前述したように、用いられているのはコシのある硬い革なので、MacBookを収納した際、縫い目の周囲の部分が1cmほど張り出す構造になっています。この部分が衝撃を吸収する役割を果たすわけです。ビジネスバッグには垂直方向に収納しますが、その状態でうっかりバッグをドンと床に置いたりしてもこの部分がうまく衝撃を和らげ、MacBook本体への影響を抑えられるというわけです。バッグによる衝撃吸収効果もある程度あると思いますが、さらに安心感が加わるといえるでしょう。

MacBook本体を収納すると、側面の縫製部に1cmほどの“マチ”ができる。そこそこの力をかけないと変形しないほどの硬さがあるので、この部分が緩衝の役目を果たしてくれそう

個人的にちょっといいな…と思ったのが、小物の撮影時の背景として使えること。質感の高い本革が使われているうえ、ブルームが浮き出た状態は特に印象的な質感になるため、時計などの小物を置くと映えます。メルカリなどで不要品を出品する際は印象がよくなり、より高く売れる可能性も。

ちょっとした小物を置いて撮影すれば、シックな雰囲気で撮れる

本体の保護以外にも用途は盛りだくさんだった

ブライドルレザーのレザースリーブ、一般的な本革製ケースと比べても格段に高い質感がなんといっても魅力的でした。MacBookシリーズを愛用している人はとにかく多いので、そんなMacBookに鮮やかな個性をもたらしてくれるブルームの表情も気に入りました。ビジネスシーンで取り出せば、相手とのちょっとした話題作りにも貢献してくれそうです。

今回試用した16インチMacBook Pro用のブライドルレザーは20,800円とお高めですが、耐衝撃性能があること、極上のマウスパッドとしても使えること、小物を高そうに撮れる背景としても使えることを考えると、まさに“お値段以上”の内容という印象を受けます。使い込むごとに自分だけの味が出てくる本革ならではの使い込む楽しみも味わえます。16インチMacBook Pro用のスリーブケースは重量が250g以上あり、装着するともともと重いMacBook Proがさらにズッシリするのが唯一の欠点といえます。

MacBookはiPhoneよりも長い期間使うことが多いうえ、メインマシンとして仕事の作業環境やデータをすべて積んでいて「これが生命線、壊れたら仕事が止まる」という人も多いはず。愛用のMacBookを大事に使いたい人や、そのような人へのプレゼントにもオススメだと感じました。

M3搭載MacBook Proで新たに登場したスペースブラックモデルとのマッチングもよい