プロントの朝限定メニューは、ワンコイン500円以下で定番のモーニングが楽しめる(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第47回となる今回、訪れたのは「プロント」です。

本連載は毎週土曜日配信です。著者フォローをすると、連載の新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます(著者フォローは記事の最後か、著者のプロフィールページからできます)。

この連載の記事一覧はこちら

喫茶店を筆頭に、ファストフードやファミリーレストランなどの飲食チェーンが密かにしのぎを削っているのがモーニングメニューです。

集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

今回はカフェチェーン「PRONTO(プロント)」のモーニングをご紹介します。

あまり知られていませんが、サントリーグループに属しており(UCC上島珈琲が共同出資)、全国に約300店舗を展開。コーヒーのおいしさもさることながら、店内調理した惣菜パンを提供するなど、お手頃価格ながら随所にこだわりを感じさせる朝メニューが魅力です。

プロントの朝メニューは定番モーニングとあさごぱんから選べる

「プロント」の朝メニューの販売時間は開店から10時まで。一部店舗では10時半や11時まで販売している場合もあるようです。メニューは定番の「トースト」「ゆで卵」「サラダ」「ドリンク」がセットになった喫茶店モーニングと、食パンにおかずを載せた調理パン「あさごぱん」に「ドリンク」セットがあります。


500円以下で正統派モーニングが食べられるのはうれしい(筆者撮影)

・トーストセット 税込495円
・ハムチーズトーストセット 税込583円
・あさごぱんセット(ハーフ2枚組み合わせ自由) 税込528円

セットドリンクは4種類から選べます。

・コーヒー(ホット・アイス)
・ティー(ホット・アイス)
・グリーンルイボスフルーツティー
・カフェラテ(ホット・アイス)プラス税込55円

いずれもレギュラーサイズでの提供となります。


注文カウンター前で「あさごぱん」と「あさごぱんチーズ」の2種類を販売していました(筆者撮影)

トーストセットは追加料金なしで、食パンをクロワッサンに変更可能。ゆで卵の代わりにヨーグルトをセットすることもできます。「あさごぱん」は単品でも販売しており、ハーフサイズ1枚で税込187円、2枚で297円となっています。

ワンコインで喫茶店の定番モーニングが食べられる


プロントのモーニング。トーストセット495円(筆者撮影)

「トーストセット」は、盛り付けも丁寧で彩りも鮮やかでグッドルッキングな、正統派のモーニングです。サラダがついて、税込495円とワンコインに抑えられた良心的な価格なのもうれしいところ。パンはトーストもしくはクロワッサン、サイドはヨーグルトもしくはゆで卵から選べます。筆者はバタートーストとヨーグルトをチョイスしました。

ホットコーヒー(レギュラーサイズ)の単品価格が税込352円なので、単純計算だとコーヒープラス143円で、トーストとヨーグルトとサラダがついてきていることになり、文句なしのコスパです。

まず、うれしいのがコーヒー。レギュラーサイズながら、マグカップにたっぷりと入って、ゴクゴク飲めるボリュームです。深煎りでけっこう苦味も強く、どちらかといえば普段からコーヒーを好んで飲む人向けかなと感じました。


きつね色の焼き色がついたサクサクのトーストには、マーガリンが載っていました(筆者撮影)

トーストは5枚切り程度の厚み。しっかりトーストされて焼け目も香ばしく、カリッサクッとクリスピーな食感でした。ヨーグルトは無糖のプレーンですが、酸味は控えめ。粒感のあるブルーベリージャムが入っています。

ヨーグルト、サラダもいい味出してる


プレーンヨーグルトとブルーベリージャム。ゆで卵に変更もできます(筆者撮影)

サラダは、グリーンのレタスの上に、ビーツと紫キャベツのラペがトッピングされ、食欲をそそるコントラストです。ラペは酢漬けになっていて爽やかかつしっとり。レタスのシャキシャキした食感との相性も良好です。

しかもドレッシングにはジェノベーゼを使用しており、バジルのフレッシュな香りが楽しめます。ぱっと見なんの変哲もないサラダなのに、小さなこだわりがちりばめられた、一筋縄ではいかないおいしさです。


プロントの真骨頂を発揮するセットのサラダ。ドレッシングのバジルの風味がほかにはないおいしさです(筆者撮影)

プロントのフードメニューがあなどれない

実は「プロント」は、朝と昼は喫茶店なのですが、夜は酒場になる「キッサカバ」という独特の営業形態を取っています(一部店舗では未実施)。

筆者はモーニングはもちろんのこと、キッサカバも頻繁に利用しているのですが、価格は手頃かつメニューも豊富で、味もなかなかのもの。ハイボールが杯を重ねるごとに安くなる「どん安」というシステムもあり、バー営業というよりは、洋食居酒屋といった印象です。


シンボルマークは太陽と月がモチーフ。昼はカフェ、夜は酒場という二面性を表しているそう(筆者撮影)

つまりは「プロント」は、フードメニューがおもしろい。セントラルキッチンから届くサンドイッチやドーナツをメインに、調理の手間がかからないパスタなどでお茶を濁す、あくまでコーヒーがメインというカフェチェーンと比べると、ちょっと手間がかかって、ひと癖あるようなものが多く、センスがキラリと光るフードメニューが提供されています。

店内調理のあさごぱん(ハーフ1枚)187円


あさごぱん(ハーフ1枚)187円。ドリンクセットは484円(筆者撮影)

そして、トーストにおかずを載せた惣菜パンである「あさごぱん」にこそ、「プロント」の魅力が詰まっていると言っても過言ではありません。

単品価格税込187円という、コンビニの袋入りのお惣菜パン並みのお手頃プライスなのに、店内で調理されているというミラクル。

トーストのまわりにマヨネーズで土手を作り、目玉焼きととろけるチーズを載っけて、こんがり焼き色をつけてあります。これだけでもグッとくるのに、さらに裏面はフレンチトーストになっているという手の込みよう。クロックマダムを魔改造したような、なんともメルティでギルティなメニューなのです。


焦がしマヨネーズととろけるチーズは香ばしく、ミディアムレアな黄身はしっとり。朝から濃厚ずっしりな味わいです(筆者撮影)

1口かじると、焼いたマヨネーズがホロホロと口の中でほどけ、酸味と油脂の旨味が広がります。つまりは脂っこくてすっぱうまい! 2口かじるととろけるチーズの焦げ目の香ばしさと、目玉焼きの白身のプリプリ食感が踊り、3口かじると目玉焼きのミディアムレアな黄身のしっとりとした舌触りがたまりません。裏面のフレンチトースト部分はもちもちジューシーで、味にさらなる深みと変化を与えてくれます。

ハーフサイズの「あさごぱん」にドリンクをセットにすると税込484円。「朝ごぱん」単品とホットコーヒー(レギュラー)を別々に買うよりも55円の値引きです。「あさごぱん」2枚とホットコーヒーを買った場合はさらにお得で、198円値引きの税込528円になります。食いしん坊さんにはなんともありがたい値段設計ですね。


あさごぱんの裏面はフレンチトースト。卵液で表面の乾燥を防ぎ、旨味を閉じ込めます(筆者撮影)

「あさごぱん」は、朝の慌ただしい時間でもすぐに提供できるように、カウンター前に調理済みの状態で販売されているのですが、人気メニューのようで、ラスト1個でもまだホカホカでした。

それでも、購入時にスタッフさんは「温めますか?」と笑顔で質問してくれるなど、心配りもこまやか。「まだ温かいので結構です」と、こちらも丁寧にお断りしたのでした。こういう素敵な朝のひとときって、何度経験してもいいものです。

朝のプロントはビジネスマンだらけ

今回筆者が利用した店舗は、山手線の駅裏にある30席ほどの路面店です。店舗は狭く席間は狭いものの、飴色の茶色いカウンターやテーブル、レンガ調の壁紙など落ち着いた雰囲気の内装で居心地は上々です。


ロゴ入りのマグカップで、ソーサーはなし。なみなみとコーヒーが注がれて、朝からたっぷり飲めます(筆者撮影)

平日朝9時の店内の客席には10人弱が座り、1席とばしで埋まっている状態でした。ほとんどが男性で女性も数人、そして全員が1人客。多数の大企業が本社を構えるオフィス街にある店舗だけあり、全員の服装がビジネスウェアという、かなり偏った客層になっています。

ほとんどの人がノートパソコンを開いているのですが、誰一人MacBookを使用していないあたりが、「プロント」と「スターバックス」の最大の違いなのかもしれません。9時45分になった瞬間半数ほどが席を立ちました。10時から得意先に行くのであろう企業戦士たちの、颯爽とした後ろ姿を見送ったのでした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


画像をクリックすると本連載の過去記事にジャンプします

(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)