第4打席で31号ソロを放ったエンゼルスの大谷翔平【写真:ロイター】

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MLBが6月の月間MVPに選出

 米大リーグ・エンゼルス大谷翔平投手は3日(日本時間4日)、6月のア・リーグ月間MVPに選出された。27試合で打率.394、15本塁打、29打点の好成績で、2021年7月以来、日本人選手単独最多となる3度目の受賞。歴史に残る1か月の間、大谷に対しては味方のみならず、相手やレジェンドOBからも絶賛の言葉が途切れることなく、毎日のように上がっていた。

 文句なしの月間MVPだ。6月の出塁率は.492、長打率.952、OPS1.444とまさに異次元の数字を叩き出した。現在31本塁打、68打点はリーグトップ。5月を終えて.269だった打率は、6月で.310にまで上昇。現在の打率.306はリーグ4位と、三冠が視野に入るほどの位置につけている。月間15本塁打は球団新記録であるとともに、2021年の自身や2007年の松井秀喜(ヤンキース)が記録していた13本を上回る日本人最多記録となった。

 6月に15本塁打を放ったのは、ア・リーグでは1961年のロジャー・マリス以来62年ぶり4人目。7月を前にして「30本塁打、10盗塁」をマークしたのは1998年のサミー・ソーサ以来、史上2人目と歴史的な爆発を見せた1か月。普段から大谷を見ている同僚からも、この間は称賛の言葉が止まなかった。

 米スポーツメディア「ザ・スポーティング・トリビューン」公式ツイッターによると、29日(同30日)の本拠地ホワイトソックス戦で29号2ランを放った大谷について、スター選手のマイク・トラウトは「こんなものは今まで見たことないと思う」「最前列で見ているけど、彼のやっていることは本当にスペシャルだよ」などと絶賛。トラウトは米ポッドキャスト番組で「彼を残留させるために僕ができることは何だってする」と語るなど、二刀流の凄さを最大級に評価している。

 このほか25歳の有望株ミッキー・モニアックが「一度ショウヘイと一緒に打撃練習をしたことがあるけど、彼の前では僕はまるで12歳のようだった」と驚きを口にし、新人ながら貢献してきた遊撃手ザック・ネトも「彼のような選手についていきたい、と思わない人がいるだろうか」と畏敬の念を語ったとそれぞれ米メディアが伝えている。

 大谷にやられた敵軍からも、非現実的な活躍を称える声が上がっていた。

「2番・投手」で出場した27日(同28日)の本拠地ホワイトソックス戦。打っては27号&28号と2本塁打、投げても7回途中4安打1失点、10奪三振の好投で7勝目を挙げた。“二刀流劇場”にやられたホワイトソックス側の声を、イリノイ州地元紙「シカゴ・サンタイムズ」のダリー・バン・スハウウェン記者がツイッターで伝えていた。

 ペドロ・グリフォル監督はガックリした様子で「彼は極めて才能豊かな選手。球界最高の選手かもしれない。打者としても投手としても相手にするのはタフだった」とコメント。大谷に3打数無安打に封じられたジェイク・バーガーは「100球投げて降板した後に本塁打を放ってしまうんだ。彼のやっていることは信じられない」と絶賛したという。

敵将は「我々をコテンパンに…」、伝説OB「二度とこんなのを見る機会がない」

 21年オフに10年総額3億2500万ドル(約455億円)でレンジャーズと契約したスター選手、コーリー・シーガー内野手は13日(同14日)の試合前に米テキサス州地元ラジオ局「KRLD-FM」の番組「Gバッグネーション」に電話出演。「正直に言うと、あのモンスターを目覚めさせたくはないよ。彼には眠っていてほしいから、余計なモチベーションは与えないようにするよ」と冗談めかしながらも大谷に敬意を向けていた。

 シーガーの「眠っていてほしい」の希望は通らず、大谷は6月のレンジャーズ4連戦でも大暴れ。初戦は7回に19号同点ソロ、延長12回には逆方向に20号決勝2ランを放った。2戦目は2安打3四球で全5打席出塁。第3戦で21号、第4戦でも22号を放ち、4戦4発。第4戦では投手としても6回6安打2失点で今季6勝目をマークした。

 4連戦を終えたレンジャーズのブルース・ボウチー監督は、米テキサス州地元局「バリー・スポーツ・サウスウェスト」の試合後の番組内で「私からは何も言えない。これ以上何と言えばいいのだ。彼はこのシリーズで我々をコテンパンにした。私に何を言ってほしいのか」と笑みを浮かべながら話していた。

 伝説的なOBたちからも称賛を受けた。24日にロンドン・スタジアムで行われたカブス―カージナルス戦の試合前。ヤンキース一筋20年で通算3465安打を記録したデレク・ジーター氏、同じくヤンキースなどで活躍した通算696本塁打のアレックス・ロドリゲス氏、そしてレッドソックスなどで通算541本塁打を放ったデービッド・オルティス氏が米スポーツ専門局「FOXスポーツ」中継の解説者として集結した。

「今季の前半戦で最大の話題」のテーマで、オルティス氏が「ショウヘイ・オオタニについてはいくら言っても言い足りない」と切り出し、23日(同24日)の敵地ロッキーズ戦で放った25号ソロについて「この球のコースを見てくれ。そしてこれをいかに右中間に持っていったか見てくれ。これは不可能に近い」「子供達よ、真似しちゃいけないよ。これは不可能に近いから」と驚きを持って紹介していた。

 ジーター氏も「本塁打でメジャートップを走り、球界最高級の投手でもある。私は理解できないし、誰も理解できないと思う」「ベーブ・ルースが何年も前にやっていたが、彼がやっていることは前例がない。見ていて楽しいよ」と称え、ロドリゲス氏は「もう二度とこんなのを見る機会がないと思う。一番近いのはベーブ・ルースだね」と頷いていた。ジーター氏はさらに、「カジュアルなファンが彼がプレーしているところを見られるように」とプレーオフの舞台に大谷が立つことを熱望していた。

(THE ANSWER編集部)