進化した住宅のスマートキー! そのメリットとデメリットを解説
家の新築やリフォームの機会があると、近年では「玄関のカギを手動式にするか、スマートキーにするか」という選択肢が浮上します。最新式のスマートキーは便利なイメージがありますが、一方で防犯面や故障・停電のリスクなどが気になるところです。
今回は、スマートキーのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
スマートキーとは
主に自動車で普及が進んでいるスマートキーですが、そもそも住宅のスマートキーとはどういうものなのでしょうか。
スマートキーの概略
スマートキーとは、従来の差し込み型の鍵を使わず、ボタン操作などで玄関ドアを施錠・解錠できるシステムを指します。2005年ごろから自動車のスマートキーが登場しはじめ、その後、住宅にも応用されるようになりました。
スマートキーにはさまざまな種類がありますが、共通しているのは、リモコンやICカードのように「ボタンを押すだけ」「タッチするだけ」など、電動で施錠・解錠ができるという点です。
スマートキーの種類
スマートキーの主な種類は以下のとおりです。
カードキータイプ … ICカードのように、かざすだけで施錠・解錠ができる
リモコンキータイプ … 鍵(リモコンキー)を持つだけで施錠・解錠ができる。鍵やドアノブのボタンを押して操作するタイプと、鍵を持ってドアに近づくだけで解錠できるタイプがある。閉め忘れ防止のためオートロックが導入されている製品もある
テンキータイプ … テンキーで暗証番号を入力して解錠する。あらかじめ任意の暗証番号を設定できる。施錠はオートロック式のものが多い
生体認証タイプ … あらかじめ設定した顔や指紋、静脈などの生体情報で施錠・解錠ができる。テンキーやリモコンキーなど複数の機能を兼ねている製品もある
スマートロック … スマートフォンにアプリをインストールして利用するスマートキーシステム。専用アプリを介して遠隔操作、音声認識、施錠・解錠の記録、お客様用の一時的な鍵の発行などの機能がある
スマートキーを導入するメリット
スマートキーには、従来の鍵と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。
防犯性に優れる
スマートキーでは基本的に鍵穴が必要ないため、ピッキングによる住居侵入が不可能です。
シリンダー錠など従来の鍵は、鍵がなくとも鍵穴に細工をすれば開けられることがあります。また、鍵穴から合鍵を作られて、空き巣に入られるという被害も報告されています。
電波で操作するスマートキーも、リスクが0というわけではありません。電波を悪用して鍵を不法に開ける「リレーアタック」などの心配はありますが、メーカー側も通信セキュリティを強化するなど対策を取っています。
ただし、従来のシリンダー錠に取り付けるタイプのスマートキーは、ピッキングのリスクが変わらないので注意しましょう。
施錠・解錠の手間が省ける
鍵を鍵穴に入れて回すという作業は、大荷物で両手がふさがっていたり、子どもを抱いていたりするときには意外と大変なものです。
また、玄関の施錠・解錠に時間を取られると、押し込み強盗などに狙われる可能性もあるため、防犯面からもなるべく避けたいところです。
持っているだけで操作できるリモコンキーや、生体認証タイプなどのスマートキーなら、玄関に近づくだけで解錠ができるため、両手がふさがっていても素早く家に入れます。
紛失の心配が減る
従来の鍵にまつわるトラブルの一つに、鍵の紛失があります。鍵単体から住所がすぐにわかってしまう可能性は少ないですが、免許証など個人情報と一緒に拾われてしまうと、第三者に悪用されてしまうかもしれません。
テンキータイプや生体認証など、家人が何も持つ必要がないタイプのスマートキーにすれば、こうしたトラブルを回避できるでしょう。
また万が一、スマートキーを紛失してしまった場合は、メーカーに連絡すればその端末を無効にできます。
鍵の閉め忘れがない
スマートキーの多くはオートロック機能を備えているため、鍵の閉め忘れの心配がないのも大きなメリットです。
玄関の施錠などの習慣的な行動は記憶に残りづらいため、鍵の閉め忘れに加え、施錠したかどうかを忘れてしまったという人も多いでしょう。
急いでいる日は、閉め忘れが心配になっても確認に戻る時間がないことがしばしばですが、オートロックなら安心です。
スマートキーを導入するデメリット
スマートキーにはさまざまなメリットがある一方で、コスト面やリスクなどデメリットもあります。
施工・設置が必要になる
既存の住宅をスマートキーに変更したい場合は、後付けの設置作業や施工が必要です。
電池で給電するタイプのスマートキーは後付けの設置作業、家庭用の交流電源から給電するタイプなら、電気の配線を含めたリフォーム施工を行わなければなりません。
玄関のみの工事で済まない可能性がある点や、家の条件によっては施工が不可能な点は、あらかじめおさえておきましょう。
また、後付け可能なスマートキーでも、シリンダー錠の種類によっては設置できないこともあるので確認が必要です。
電池切れ・停電などの心配がある
スマートキーは電力で動くため、動力源である電気の供給が途切れてしまうと使えなくなります。
一般的なスマートキーは電池・家庭用電源いずれかで動きますが、電池切れや停電などが起きると施錠・解錠ができなくなり、屋外にいる場合は家から閉め出されてしまうので注意が必要です。
一部のスマートキーには、非常用のシリンダー錠が付いていたり、非常用電源が備わっていたりと、電力トラブルへの対策が用意されているものもあります。設置前には、万が一の際の対処方法もおさえておきましょう。
パスワードを忘れる心配がある
任意のパスワードを設定し、打ち込むことで解錠するテンキータイプでは、肝心のパスワードを忘れてしまう恐れがあります。
パスワードを覚えるのが苦手な人が家族にいたり、他人に解除されないように複雑で長いパスワードを設置したりすると、こうしたトラブルが起きがちです。
パスワードを忘れてしまったら、メーカーに問い合わせたり、非常用のシリンダー錠を使ったりします。
なお、パスワードをノートなどにメモしておく場合は、他人に見られないよう注意しましょう。
オートロックで閉め出される恐れがある
オートロック機能があるタイプのものは、うっかりスマートキーを持たずに外出すると、家から閉め出されてしまいます。スマートフォンなどの通信手段も一緒に忘れてしまうと、メーカーや家族・友人への連絡もできないので注意が必要です。
また、スマートフォンにスマートキーのアプリをダウンロードしている場合、端末の電池切れで家の中に入れないこともあります。スマートキーを忘れないよう、必ず持ち歩くものと一緒にしておく、テンキータイプと併用する、などの対策を立てておきましょう。どうしても閉め出しが心配という人は、オートロック機能をあらかじめオフにしておくこともできます。
まとめ
利便性・防犯性の両面で優れているスマートキーですが、従来のシリンダー錠にはないミスやトラブルはふまえておく必要があります。
また、設置に際して配線工事など大掛かりな準備が必要な場合もあります。スマートキー導入の際には、メリットだけでなく、デメリットもきちんと把握しておきましょう。