サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー〜

Question 
アントニオ・リュディガーにボールを下げたあと、レアル・マドリードの前線はどのように動いて崩したか

 注目の一戦だ。UEFAチャンピオンズリーグ準決勝で、レアル・マドリードはマンチェスター・シティと対戦する。準々決勝第2戦では、チェルシー相手にアウェーで2−0の勝利。トータルスコアでも4−0とし、準決勝へ進出した。

 第1戦で0−2で破れたホームのチェルシーが、試合の立ち上がりからハイプレスでレアル・マドリードに襲いかかり、ペースを握ってチャンスを作った。しかし、レアル・マドリードがそれをしのぎきり、前半を0−0で折り返す。

 後半に入り、前がかりになるチェルシーの裏を突いたレアル・マドリードが、58分にロドリゴのゴールで先制する。そして80分にまたも裏を突いてチェルシー守備陣を崩し、ロドリゴが追加点を奪って2−0。トータル4−0でレアル・マドリードの勝ち上がりとなった。

 今回は、レアル・マドリードの2点目のシーンを取り上げる。

 80分、レアル・マドリードがボールを握り、左サイドでエドゥアルド・カマビンガが詰まったところで、後方のアントニオ・リュディガーにボールを戻した。


リュディガーにボールを下げたあと、レアル・マドリードはどのように相手を崩したか

 リュディガーがルックアップした瞬間、前の選手はどのように動き出し、チェルシー守備陣を崩したか、というのがQuestionである。

Answer 
ダニ・セバージョスとヴィニシウスが裏へ抜け出し、ゴール前中央を空けた

 この試合のチェルシーは、第1戦を0−2で落としたことで、キックオフからかなり前がかりに出てきていた。そこを巧みに突いたのが、レアル・マドリードだった。


セバージョスが斜めに、ヴィニシウスが縦に抜けてロングボールを引き出し、ゴール前中央を空けた

 2点目のシーンでまずポイントとなるのが、チェルシーの守備ラインの乱れである。レアル・マドリードは71分にカリム・ベンゼマが退き、右ウイングのロドリゴがトップの位置に入っていた。

 そのロドリゴに対し、チェルシーのセンターバックのチアゴ・シウバがタイトなマークでついて、この場面では前に釣り出される形となった。ここでトレボ・チャロバーがうしろに1人残っていたことで、チェルシーの守備ラインには大きなギャップが生まれていた。

 そこを狙ったのが、レアル・マドリードの2列目のダニ・セバージョスだ。リュディガーがルックアップした瞬間、中央にいたセバージョスはチアゴ・シウバが空けたギャップに斜めに走り、パスを呼び込んだ。

 リュディガーがすかさずロングフィードを送り込むと、流れたボールに左サイドの外から走り込んだヴィニシウスが先に追いついた。ここにチャロバーが釣り出され、ロドリゴが走り込むと、そこへチアゴ・シウバも釣り出される。

 こうしてゴール前中央にはスペースが空いた。そこへ走り込んだフェデリコ・バルベルデへ、ヴィニシウスがグラウンダーのクロス。勢いに乗ったバルベルデは2人をかわして、最後はロドリゴへパスを送って2点目となった。

 この試合の1点目も2点目も、レアル・マドリードはポゼッションからチェルシーの守備陣をうまく呼び込み、空いた裏のスペースを効率よく突いて奪ったゴールだった。勝ち方を熟知するレアル・マドリードが、準決勝のマンチェスター・シティ戦をどう戦うのか注目だ。