巨人・原監督(編集部撮影)

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プロ野球巨人で投手として活躍した野球解説者の江川卓氏(67)が2023年5月8日にユーチューブチャンネルを更新し、巨人の「魔の8回」を独自に分析した。

巨人は5月2日から7日までに6試合を行い全ての試合で8回に失点している。5日の中日戦では1点リードの展開で6点を奪われ逆転負けを喫し、第2、第3戦は1−1の同点から1点を献上して連敗。チームは3連敗中でリリーフ陣の立て直しが急務となっている。

「必ず肩にものすごい張りがくる」

江川氏は「オープン戦ぐらいから『あなたは7回ねとか、8回やってね』という状態のピッチャーが投げている状態ではないのでしょうね。だから魔の8回なんでしょうけど。本当は魔の8回の前の7回なんでしょうね」と解説し、次のように持論を展開した。

「元々先発を目指している投手たちはなんとなく100球くらいを無難に投げるという投球をしている。それを7回とか8回に限定して20球くらい。ここに自分のベストボールを投げるという習慣がないので1試合か2試合はいくんですよ。ところが7回とか8回の1イニングを投げて1回か2回はいくんですけど必ず(肩に)ものすごい張りがくる。その張りのまま出ていくとボールがいかない」

さらに「肩の張りのある状態とない状態で同じふうに投げてしまう。しょうがないですよね。経験がないのだから。リリーフ専門の人たちはそこをうまくやるわけですよ。肩の張りがない時はこっちのボールを使い、張りがある時はこっちのボールを多くするとかをやれる。それがセットアッパーの良さであり強み。これが今のジャイアンツのメンバーにない」と分析した。

江川氏はリリーフ陣の不調の要因のひとつに春季キャンプからの準備不足を挙げ、独自の視点で巨人投手陣の現状に言及した。

「大勢さんは見ているとものすごく強気の子」

江川氏は「大勢さんは見ているとものすごく強気の子なので2球くらいボールになっても『俺のボールは打てないよ』と真ん中に投げることができるハートの強さを持っている。最初からクローザーをやるつもりでキャンプからそういう鍛え方をしているから」と解説し、自身の経験を踏まえ投手心理を説明した。

「キャンプは肩を作って体も作るが心も作る。紅白戦からオープン戦でプレッシャーを感じながら心も作っていく作業もする。それが今の7回、8回に指名される人にそういう訓練する時間がなかったということ。(7回、8回に)誰が良いというより可哀想な状態が来ている」

5月に入ってから2勝4敗と負け越し、8日時点でリーグ5位に低迷している。チーム防御率はリーグワーストで唯一の4点台だ。連敗脱出に向け9日のDeNA戦は戸郷翔征投手(23)が先発のマウンドに上がる。