現地時間の2023年4月25日に機械学習アプリケーション構築ツールを手がけるHuggingFaceが、OpenAIが開発する対話型AIチャット「ChatGPT」のライバルとなる対話型AIチャットの「HuggingChat」を立ち上げたことを発表しました。HuggingChatはクローズドソースのChatGPTと異なり、オープンソースでの開発が行われています。

HuggingChat

https://huggingface.co/chat/



Hugging Face launches open-source version of ChatGPT in bid to challenge dominance of closed-source models | VentureBeat

https://venturebeat.com/ai/hugging-face-launches-open-source-version-of-chatgpt-in-bid-to-battle-openai/



HuggingChatは、画像生成AIの学習データに用いられる大規模データセット「LAION-5B」などの開発で知られるLAION-AIが公開する、オープンソースの大規模言語処理モデル「Open Assistant」を用いた対話型AIチャットです。

クローズドソースでの開発が行われるChatGPTに対し、HuggingFaceのクレメント・デラングCEOは「透明性や包括性、説明責任、権利の分配を高めるためには、ChatGPTに代わるオープンソースの対話型AIチャットが必要だと思います。HuggingFaceが公開するHuggingChatは、最新のOpen Assistantを搭載した、オープンソースの初期プロトタイプインターフェースです」と述べています。





一部のユーザーは、ChatGPTをAppleのApp Storeに例える一方、HuggingChatをGoogle Play Storeに例えています。NvidiaでAI研究を行うジム・ファン氏は「HuggingFaceはGoogle Play Storeになる素質を秘めています。次のステップはHuggingChatのアプリケーションの開発です」と述べています。





HuggingChatはMetaが公開する大規模言語モデル「LLaMA-30B」をベースにしています。LLaMAは商業的に使用することは許可されていないため、HuggingChatには大きな制限が課せられています。ペガシステムズでAI研究を行うピーター・ヴァン・デル・プッテン氏は「HuggingChatはLLaMAのライセンス条件に違反しており、商業的に利用できるものではありません。HuggingChatの重みを公開するだけでは、LLaMAのライセンス条件を満たすのに十分ではなく、本当にオープンなバージョンが必要です」と指摘しています。

HuggingFaceのジュリエン・チャウモンドCTOは「一部のユーザーは対話型AIチャット分野において、クローズドソースのAPIが優れていると言いました。しかし、私たちはオープンソースの対話型AIチャットを諦めていません」と決意を表明しています。





HuggingFaceが開発した対話型AIチャット「HuggingChat」が以下。下部の「Ask anything(なんでも聞いてください)」の欄に質問を入力します。



今回は「日本語は使えますか?」と尋ねてみました。



すると「Yes, I can communicate in Japanese.(はい、日本語でコミュニケーションできます)」と英語で返答してきました。



日本語での返答を求めても、かたくなに英語での返答を行います。どうやら日本語の文章を理解してはいるものの、記事作成時点で日本語での返答には対応していないようです。



「HuggingFaceについて教えてください」と尋ねた結果が以下。「HuggingFaceは、自然言語処理における最先端の技術を探求することに興味がある人にとって優れたリソースとなります」といった内容の回答を提示しました。



デラング氏は「HuggingChatはまだまだ多くの制限があるバージョン0ですが、インターフェースと安全メカニズムの迅速な開発を行っています。プライバシーに関する詳細は近日公開予定です」と述べています。