米ローリングストーン誌が2022年の年間ベストアルバムを発表。ビヨンセのダンスミュージック・エクスタシー、バッド・バニーによる「世界征服」の最新作、テイラー・スウィフトの深い夜、ハリー・スタイルズのソングサイクル、プッシャ・Tのマスタークラス級メタファーまで、この1年を象徴するアルバムをランキング形式で振り返る。

【画像を見る】上位10作を一目でチェック

2022年は事あるごとにスーパースターの誰かが話題作をリリースし、私たちの度肝を抜いてきたような気がする。ビヨンセは6年ぶりのアルバムで見事なダンス・ミュージックの改革を成し遂げ、バッド・バニーはチャートを席巻する大ヒット作で世界最大のアーティストとしての新たな1年を祝った。テイラー・スウィフトがコテージを離れる一方で、ハリー・スタイルズは我々を自分の居場所に連れ戻し、ドレイクは2枚の大ヒット作をリリースし、プッシャ・Tは彼が大好きなテーマについて彼ほどうまくラップできる者はいないと思い知らせた。大作アルバムの当たり年だった。

また、アーティストが見事にレベルアップした年でもあった。ロザリア、キング・プリンセス、オマー・アポロ、バーティーズ・ストレンジなどは、過去数年の間に新人として我々の注目を集め、スポットライトを浴びながら驚くべきことを成し遂げてきたアーティストである。その他にも、ウェット・レッグはどこからともなく現れ、今年最も面白く、ストレートなベスト・ロック・アルバムを制作し、スティーヴ・レイシーは本人も予想していなかったポップ・ブレイクを果たし、オールウェイズはカナダの冬眠から再起してインディー・ポップの傑作を発表し、J-HOPEはソロで素晴らしい結果を残している。そして、これらは2022年を形作ったサウンドのほんの一部に過ぎない。この1年は、この先もずっと音楽のことを考え(そして踊り)続けることになる予感がする。

※12月4日追記:1位〜5位、9位(J-HOPE)のレビューテキストを追加

100. Archers of Loaf - Reason in Decline
99. Willow - Coping Mechanism
98. MJ Lenderman - Boat Songs
97 Los Bitchos - Let the Festivities Begin!
96. Big Joanie - Back Home
95. Natalia Lafourcade - De Toda Las Flores
94. Runkus and Toddla T - OUT:SIDE
93. Empath - Visitor
92. Ingrid Andress - Good Person
91. Lizzo - Special

90. Protoje - Third Times the Charm
89. Goyo - En Letra De Otro
88. Courtney Marie Andrews - Loose Future
87. Blxst - Before You Go
86. Zora - Z1
85. Erin Rae - Lighten Up
84. Raveena - Ashas Awakening
83. Stromae - Multitude
82. JID - The Forever Story
81. Conan Gray - Superache
80. Girlpool - Forgiveness

79. Craig Finn - A Legacy of Rentals
78. Giveon - Give or Take
77. Lee Bains and the Glory Fires - Old-Time Folks
76. Latto - 777
75. Rina Sawayama - Hold the Girl
74. Saba - Few Good Things
73. Lainey Wilson - Bell Bottom Country
72. Future - I Never Liked You
71. Ribbon Stage - Hit With The Most

70. Ashley McBryde - Ashley McBryde Presents: Lindeville
69. Becky G - Esquemas
68. Silvana Estrada - Marchita
67. The Beths - Expert in a Dying Field
66. Drake and 21 Savage - Her Loss
65. The Smile - A Light for Attracting Attention
64. Lucretia Dalt - Ay!
63. Babyface - Girls Night Out
62. Jorge Drexler - Tinta y Tiempo
61. Lil Durk - 7220

60. Mitski - Laurel Hell
59. Rauw Alejandro - Saturno
58. Ari Lennox - Age/Sex/Location
57. Pictoria Vark - The Parts I Dread
56. Horsegirl - Versions of Modern Performance
55. Kiko El Crazy - Llego El Domi
54. Yeah Yeah Yeahs - Cool It Down
53. Quavo & Takeoff - Only Built for Infinity Links
52. Kurt Vile - Watch My Moves
51. Romeo Santos - Formula Vol. 3

50. Sasami - Squeeze

49. Maggie Rogers - Surrender

48. Wilco - Cruel Country

47. Mavi - Laughing So Hard, It Hurts

46. NewJeans - New Jeans

45. Muna - Muna

44. Sabrina Carpenter - Emails I Cant Send

43. Trueno - Bien o Mal

42. Soccer Mommy - Sometimes, Forever

41. Sunflower Bean - Headful of Sugar

40. Cruel Santino - Subaru Boys

39. Asake - Mr. Money With the Vibe

38. Koffee - Gifted



37. The Weeknd - Dawn FM

36. Camila Cabello - Familia

35. Big Thief - Dragon New Warm Mountain I Believe In You

34. Fontaines D.C. - Skinty Fia

33. Zach Bryan - American Heartbreak

32. Brent Faiyaz - Wasteland

31. Anitta - Versions of Me

30. Syd - Broken Hearts Club

29. Earl Sweatshirt - SICK!

28. Tove Lo - Dirt Femme

27. Alex G - God Save The Animals

26. Wizkid - More Love, Less Ego

25. Blackpink - Born Pink

24. Daddy Yankee - Legendaddy

23. Charli XCX - Crash

22. Drake - Honestly, Nevermind

21. Miranda Lambert - Palomino

20. Noah Cyrus - The Hardest Part

19. Vince Staples - Ramona Park Broke My Heart

18. Angel Olsen - Big Time

17. Megan Thee Stallion - Traumazine

16. Bartees Strange - Farm to Table

15. Omar Apollo - Ivory

14. Steve Lacy - Gemini Rights

13. Spoon - Lucifer on the Sofa

12. Alvvays - Blue Rev

11. Kendrick Lamar - Mr Morale and the Big Steppers

10. Wet Leg - Wet Leg

【関連記事】Wet Legが挫折から得た学び「もう若くないなら、時間切れなバンドをつくればいい」

9. J-HOPE - Jack in the Box

J-HOPEが神話パンドラの箱に登場するコンセプトの再現に挑んだ、10曲で構成された渾身のコンセプト・アルバム『Jack in the Box』は、BTSのメンバーが発表した初のソロアルバムとなった。混沌としたパンドラの箱の中に最後に残っていたのは希望である。彼はそれにちなんでアルバムに自分の名前をつけたー輝かしく永続的なデビューを予期していたかのようにふさわしい。「このアルバムには魂と真実を込めたんだ」と、J-HOPEは今年の初めにローリング・ストーン誌に語っている。「ユニークなアルバムなんだ、音楽性の面においても。J-HOPEにとってはこれから先に進んでいく一つの手段だし、とても意味のあることなんだ。」このデビュー後にJ-HOPEファン(ファン歴に関係なく)は今後の彼の作品に失望することはまずないだろう。-B.E.

【関連記事】J-HOPEが語るソロ作で伝えたいこと、ダークなペルソナ、BTSメンバーとの信頼関係

8. FKA Twigs - Caprisongs

7. King Princess - Hold on Baby

6. Pusha T - Its Almost Dry

5. Harry Styles - Harrys House

”今までと同じじゃないってことくらい分かるだろう(You know its not the same as it was.)”。ハリーは『Fine Line』でモダンポップの象徴として大ヒットを収めたが、今回の『Harrys House』ではイメージを覆す決心をしたようだ。東京スタイルシティポップ(「Music for a Sushi Restaraunt」)から始まり、ディスコサウンド(「Satellite」)、メロディの陶酔(「Grapejuice」)といった、鮮やかで遊び心のあるサウンドの一方で、エモーショナルな一面を持ち合わせた楽曲が揃っている。ハリー自身の心境を色濃く反映した「As It Was」は世界的ヒットとなったーー6カ月もTOP5にランクインし続けていたのだ。またこの曲は、家族に対するトラウマを抱えた友人に捧げるギターバラート「Matilda」を聴いたときと同じく、胸の高鳴りをも感じさせる。- R.S.

【関連記事】ハリー・スタイルズ独占取材 世界的ポップアイコンが怒涛の一年を語る

4. Rosalía - Motomami

カタルーニャの気鋭、ロザリアはここ数年スペイン語圏の音楽において、ジャンルや人種、文化といった問題に切り込んできた。『Motomami』からは、彼女が尊敬してやまないケイト・ブッシュ、M.I.A.、カマロン・デ・ラ・イスラへの敬意を示しつつ、ポップアイコンとしてのプライドを感じとることができる。デンボー、バチャータ、レゲトン、フラメンコといったジャンルを横断し、ジェイムス・ブレイク、トキーシャ、ザ・ウィークエンドとの関わりも思い出させてくれる。『Motomami』は彼女の鋭いユーモア、パワフルな歌声、予測できないビートが見事に作用しあった傑作だ。彼女がこのゲームにおけるもっとも刺激的な融合主義者(フュージョニスト)であると断言していい。- W.H.

【関連記事】「ロザリアは未来だ」とファレルが断言する理由 革新的ポップスターが併せ持つ二面性

3. Taylor Swift - Midnights

『folklore』と『evermore』に別れを告げる時が来たようだ。テイラーは森を抜け出し、良質な木材の壁とマスタード色のソファが置かれている小屋で眠れない日々とともに、『Midnights』で彼女の思いを書き上げた。光を放つようなシンセサイザーが印象的な「Maroon」と「Question…?」は『1989』を思い起こさせる。一方で薄汚れたウーリッツァーでフリートウッド・マックを演奏し、コカインで満たされた70年代を懐かしんでいるような雰囲気だと言うのも間違いではないかもしれないが。最初から最後まで素晴らしいサウンドだが、時間がないあなたには「Vigilante Shit」から「Bejeweled」「Labyrinth」までをぜひ聴いてほしい。約束しよう、今年一番の陶酔を楽しめるはずだ。- A.M.

【関連記事】テイラー・スウィフト『Midnights』 深い夜の世界へいざなう最新作を徹底レビュー

2. Bad Bunny - Un Verano Sin Ti

プエルトリコのまばゆい夏を想起させるバッド・バニーの歌詞は、スーパースターならではといえる。最初にリリースされたアルバムがSpotifyで最もストリーミングされたアルバムになり、ビルボード100では今年のロングヒット1位を記録、グラミーの最優秀アルバム賞において初のオール・スペイン語アルバムとしてノミネートされるといった、自由奔放でありながら記録を塗り替え続ける、確固たる強さも持ち合わせている。2022年を象徴するサウンド「Titi Me Pregunto」の一方で「Ojitos Lindos」や「Otro Atardecer」からは、輝きを放つインディーミュージックの海へと飛び込んだ彼が発見してきた美しいサウンドを披露してくれている。- J.L.

【関連記事】バッド・バニー最新作レビュー 「2022年に最も聴かれたアルバム」が夏の訪れを告げる

1. Beyonce - Renaissance

孤高の存在を復活させたビヨンセの『Renaissance』は今年の音楽業界におけるハイライトとなった。マスターピースであるピアノハウスの「Break My Soul」は、世界中の批評家たちが口を揃えて10年ぶりのナンバーワン・ソロヒットだと認めたのだ。サンプリングされたボイスやサウンド、さらに素晴らしいゲスト(グレイス・ジョーンズ!)、過去から現在のグローバルなクラブスタイルを思わせるエコーでブラックコミュニティの悦びを高らかに祝っている。これはお決まりの手法だが、彼女は何百もの考察ができるほどのトーテムを楽曲に込めている、一方で純粋にダンスと音楽に浸ることのできるアルバムであるとも言えるだろう。「plastic off the sofa」「drop it like a thottie」から感じ取れるように、これはビヨンセにとっての幸福の結晶である。Queen Beyの傑作を共に祝おうではないか。- M.R.

【関連記事】ビヨンセ『RENAISSANCE』全曲解説 開放感に満ちたニューアルバム最速レビュー

From Rolling Stone US.