「手足口病」を発症したら学校や保育園はどうするべきかご存知ですか?初期症状も解説!
「夏の三大感染症」ともいわれている手足口病をご存知ですか?もしかしたら1度はかかったり聞いたりしたことがある方も多いかもしれません。
手のひら・足の裏・口の中などを中心に水膨れのような発疹ができてしまう病気です。
症状としては軽いですが、手足口病を軽視してはいけません。
今回は、手足口病の症状や原因・注意点などについて詳しくご紹介します。
手足口病を知っている方もそうでない方も、ぜひ1度目を通してみてください。
手足口病の特徴
手足口病はどんな病気ですか?
手足口病とは文字通り、手のひら・足の裏・口の中などに小さな水膨れのような発疹が生じる病気です。患者の約9割が5歳以下の小児です。ウイルス感染による感染症の病気となり、主な原因となるウイルスはコクサッキーウイルスA16・A6やエンテロウイルスなどがあります。
原因となるウイルスに1度感染すると免疫ができるので同じウイルスにはかかりにくいですが、例えばインフルエンザなどと同じように手足口病のウイルスはさまざまで、違うウイルスにかかることで再発する可能性もあります。手足口病の症状自体は軽度ですが稀に、髄膜炎や脳炎などの中枢神経合併症や心筋炎や神経原生肺水腫なども、心筋炎に伴う心不全などの重篤な合併症が起こる場合もあるのです。
代表的な症状・初期症状を教えてください。
原因となるコクサッキーウイルスA16・A6やエンテロウイルスに感染すると、まず3~5日ほど潜伏期間があります。初期症状として発熱や喉の痛みを訴えることがあったのち、小さな水膨れのような発疹の症状が確認できます。以下の場所に水膨れができやすいです。
手のひら
足の裏
口の中
肘や膝
発熱は38度以下の微熱となり、高熱が続くようなケースは今のところ確認されておりません。ただ、ウイルスのタイプによっては3-4日程度、38℃を超える高熱が続くようなケースもあります。
水膨れは痛みや痺れなどが起こることもありますが、できた水膨れは3~7日ほどで自然と消えます。口の中で水膨れができた場合、水膨れが潰れた後にできる口内炎に悩まされるケースが多く、十分な飲食が摂れなくなってしまうこともあるのです。
また、先述したように稀に体内で発生したウイルスが体内を巡り、髄膜炎・脳炎・小脳失調症などの合併症や、心筋炎や神経原生肺水腫などのさまざまな症状が現れることもあります。
さらに近年コクサッキーウイルスA6に感染すると、手足口病の症状が落ち着いてから1ヶ月以内に手足の爪が剥がれ落ちるといったケースも見られます。
手足口病の症状が落ち着いても、経過観察していくことが重要です。
手足口病が流行する時期はありますか?
毎年夏に流行し6月上旬辺りから増加し、7月下旬にピークを迎えます。日本以外でも世界中で流行しており、流行が大きいと死者が出てしまうほど手足口病のウイルスの威力は強いとされています。
原因が知りたいです。
手足口病の原因となるコクサッキーウイルスA16・A6やエンテロウイルスに感染することが原因で発症します。手足口病がうつる主な原因として飛沫感染が考えられます。感染している方のくしゃみや咳を吸い込むことで感染するのです。ほかにもウイルスが付着した物や箇所に触ってしまい、その手で口や鼻を触ることでウイルスが体内に侵入することでうつる接触感染や、経口感染があります。経口感染とは、手足口病のウイルスは便の中にも含まれており、オムツ交換の後に十分な手洗いができていなかったり、乾燥した便の粒子を吸い込んでしまったりなどでうつることです。
また、小児が感染することが多い原因として、保育施設などの集団生活をしていることが関係しています。子供同士は大人と比べると生活距離が近く、濃厚接触が生じやすいです。衛生観念が未熟なため、1人が手足口病を発症していると集団感染が起こりやすくなります。
手足口病は大人にもうつりますか?
大人はウイルス感染に免疫を持っているので発症することはあまりないですが、看病などで稀に大人もうつることがあります。大人がかかってしまうと、小児より症状が重症化しやすい傾向があります。
看病の際はマスク着用や感染している方の触った物を触るときは手袋を着用するなど、感染を広げないように十分に注意しましょう。
手足口病の診断と治療方法
手足口病の疑いがある場合の受診目安を教えてください。
初期症状である発熱や喉の痛みがある場合や、発疹が出てきたら受診をしましょう。手足口病にはこれといった治療法があるわけではなく、1週間ほどで治っていく病気です。ただし、発疹のほかに高熱・嘔吐・頭痛・ぐったりしているなどの症状が見られる場合は、合併症を引き起こしている危険性があるので早急に受診をおすすめいたします。
何科を受診すれば良いのでしょうか?
小児なら小児科、大人なら内科を受診するとよいでしょう。かかりつけ医があるのならかかりつけ医の医師に相談することをおすすめします。熱がなく発疹だけなら皮膚科もよいでしょう。医師に相談し別の科に受診が必要なのであれば、医師の指示に従い別の科を受診することも視野に入れましょう。
手足口病に有効的な薬はありますか?
手足口病のウイルスに対する有効な薬が開発されていないため、今のところ根本から治す治療薬は残念ながらありません。手足口病は基本的に軽い症状の病気になりますので、症状に合わせた治療を行っていきます。発熱がある場合は解熱剤、口の中に痛みには鎮痛剤や軟膏を使用し、水膨れは3~7日ほどでかさぶたとなり治っていきます。
痒みが強い場合には抗ヒスタミン剤の塗り薬を使用しますが、ステロイド剤は手足口病の症状を悪化させる可能性があるので、使用には注意が必要です。
治るまでの経過を教えてください。
潜伏期間ののち、発熱や喉の痛みが現れ手のひら・足の裏・口の中などに水膨れができます。3~7日ほどで消えて症状は落ち着いてきます。合併症やほかの症状が見られたり1ヶ月以内に手足の爪が剥がれ落ちたりすることもあるので、手足口病の症状が落ち着いたからといって油断せずに経過観察していきましょう。
手足口病が治るまでの注意点
症状が現れたときに気をつけることを教えてください。
手足口病に対するワクチンや発症を予防できる薬は今のところありません。手足口病にうつる原因である飛沫感染を防ぐことが何よりも重要となります。しっかりと手洗い・うがい・手指消毒を行うことが基本です。発症し治っても数週間は便の中にウイルスが潜んでいるので、トイレの使用やオムツ交換などで便に触れる可能性がある場合は、必ず手洗いや手指消毒を行ってください。
また、水膨れの中にもウイルスが潜んでいるので触って破裂させないように気をつけましょう。
手足口病を発症したら学校や保育園はどのくらい休むのでしょうか?
手足口病は学校や保育施設等で予防すべき伝染病に含まれていません。前述したように、症状が治っても1か月程度は便の中にウイルスが残っているので、水膨れになっている期間休んでいても感染が広がらないということはあまり期待できません。学校や保育施設に長期欠席を強いる必要性はとくになく、本人の症状や体調によって判断するとよいでしょう。
基本としては解熱して24時間経過して発疹の拡大がなければよいという所が多いです。この対応に不安であればかかりつけ医に相談することをおすすめします。
手足口病は繰り返しかかるのでしょうか?
始めに述べたように手足口病にかかり治っても、違うウイルスにかかってしまうと再発する可能性はあります。実際に同じ年に2回かかる小児の方もいます。流行が予想される夏場はとくに手洗いや手指消毒を徹底して行い、十二分に注意しましょう。
家族や周囲が注意すべき点を教えてください。
手足口病はピークを迎える7月がとくに感染力が強いウイルスです。まずはうつりやすい飛沫感染を予防することが重要となります。家族や周囲で感染している方がいる場合、マスク着用やタオル類を共有しないようにすることも、手足口病がうつらない予防策の1つです。
便の中にも数週間ウイルスは存在しているので、オムツを捨てる際は1度袋に包んでから捨てるなど、乾燥した便の粉末が飛ばないように気をつけましょう。
感染者が触れた物や箇所は徹底してアルコール消毒を行うなど家族内や周囲で集団感染が起こらないように、より一層感染対策を行ってください。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
手足口病の原因であるウイルスは感染力が強いので、発症する可能性も高い病気です。多くの場合水膨れができて治っていく軽度の症状となりますが、中には合併症などの危険な病気が隠されている可能性もあります。手足口病にかかってしまい普段と様子が違うようであれば、早急に医療機関を受診しましょう。症状が落ち着いたとしても、経過観察をして様子を見ましょう。
手足口病は感染しないように予防していくことが重要です。流行しやすい夏場を中心に、日頃から手洗いやうがい・手指消毒を行っていきましょう。
編集部まとめ
手足口病は一見水膨れができるだけと考えがちですが、合併症や爪が剥がれ落ちるといった危険性も含んでいる病気です。
手足口病にかかってしまっても症状に合わせた治療法を行い、安静に過ごしましょう。
感染を拡大させないためにも、予防が重要となります。家族や周りと協力し合い、徹底した対策を行っていきましょう。
参考文献
手足口病に関するQ&A|厚生労働省
手足口病とは|NIID 国立感染症研究所