MV AGUSTAの’70年代 750Sをオマージュ、
これからのスポーツバイクを標榜する意欲作

MV AGUSTA 750 S(1969~1975)

MV AGUSTAは11月3日にKTMが25.1%の株を取得、直後からのEICMA(ミラノショー)でスーパーベローチェ1000セリエオロと、新しい発想を具現化した921Sのふたつのモデルを発表、KTMも所属するピエラーモビリティとの契約合意で意気盛んなところをみせた。

2023年モデルとして期待される新しいスーパーベローチェ1000セリエオロも従来の流れを塗り替える風を感じさせたが、その傍らにさらに意欲的な野心作といえる921S が大きな注目を浴びていた。
それは一見ショーモデルとしてのエチュードに思えるが、実はれっきとした2023年モデルだからだ。

スーパースポーツの頂点を牽引したタンブリーニ渾身の作、F4でモーターサイクルアートの名を欲しいままにしてきたMV AGUSTAだが、シンプルなレーシングマシンに最も近いレプリカを追い求めるのをやめ、1973 年の MV アグスタ 750S を未来的なモデルのベースとしてオマージュする921プロジェクトをスタートさせたのだ。

921 プロジェクトの課題は、過去のモデルの技術的に更新されたレプリカを提案する傾向があるレトロ セグメントの伝統的な枠組みから自由になること。そのため921 は 750S の現代的、または現代的なレプリカではなく、真に先進的なソリューションとアイデアを先取りする、新しい技術とデザインのアーキテクチャの作成を目指したという。
すなわち新旧の統合は、最先端の技術と素材の研究の組み合わせによるもので、それにもかかわらず過去と調和している。

エンジンは直列 4 気筒が再設計され、7000 rpm で 115.5 馬力、最大トルク 116.5 Nm と異なる次元のパフォーマンスを発揮。スーパーベローチェ1000と同じく2次振動を低減する倍速バランサーを駆動するが、コンロッドやピストンなどに加え吸気システム全体 (スロットル ボディとインジェクター)も、921S専用設計された別のエンジン。

シャシーもメーターパネルもシートも、
新しい発想とレトロの融合がコンセプト

特大のスイングアームを備えたシャシーから、カーボンファイバーカバー、スポーク、鍛造リムの組み合わせで製造されたホイール、そして 4 つのエグゾースト出口まで、最先端の技術装備が新たなデザインコンセプトを具現化。
エンジンの下に配置された4本のマフラー、機能的なスタイリング ソリューションでもありキャリパーを冷却する魅力的なアルミ製のフロント ブレーキ カバー、フレームは溶接されたクロモリ鋼管トレリスとアルミニウム合金のサイドプレートを備え、MV AGUSTAの新世代構成を踏襲している。

タンクに載せたインストルメントパネルは円形で、タッチスクリーンを追加。ハンドルバーは、サイクリングのタイム トライアルで使用されるソリューションにインスパイアされた形状だ。
テール セクション全体は、アルカンターラ皮革で覆われたシングル シートから 2 シーター サドルへの切り替えが容易という。 またリア LED テールライトのアッセンブリはポジションとストップランプがワイドに点灯する。

スーパーベローチェ1000でも採用されている倍速回転の2次振動バランサーは、14,000rpmで実に54%も振動を低減する

SPECSpecificationsMV AGUSTA 921Sエンジン水冷4ストロークDOHC4バルブ4気筒総排気量921ccボア×ストローク73×55mm圧縮比12.5対1最高出力85.0kW(115.5HP)/10,000rpm最大トルク116.5N-m(11.9kgf-m)/7,000rpm変速機6速フレームクロームモリブデン鋼管トレリス車両重量205kgキャスター/トレールNA/102mmサスペンションF=テレスコピック倒立
 R=スイングアーム+モノサスタイヤサイズF=120/70R17 R=180/55R17全長/全幅/全高2,100/845/NA軸間距離1,465mmシート高830mm燃料タンク容量16L価格と発売時期は未定

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