親元を離れて1人暮らしをしている大学生は、学費や生活費などを親からの仕送りに頼っている場合がほとんどでしょう。親にとってはかなりの負担になりますが、仕送り金額の平均はどのくらいなのでしょうか。本記事では、大学生への仕送り額の平均相場や、不足分の補填方法、1人暮らしの節約方法などを紹介します。

全国大学生活協同組合連合会の調査から

1人暮らしをしている大学生の仕送り額はどのくらいなのでしょうか。大学生の生活実態調査にはさまざまなものがありますが、調査によって報告される金額にはややばらつきがあります。そこで、調査元別の金額をいくつか紹介します。

まずは、全国大学生活協同組合連合会の「第57回学生生活実態調査」の調査結果です。この調査によると、2021年の平均仕送り額は月額7万1,880円で、前年からは1,470円の増加となりました。一方で、仕送りが0円という大学生もいて、その割合は全体の7.5%になります。

出典:全国大学生活協同組合連合会 第57回学生生活実態調査 概要報告

日本学生支援機構の調査から

次に、日本学生支援機構の「令和2年度 学生生活調査結果」です。この調査によると、昼間部の大学生の2020年度の平均仕送り額(家庭からの給付額)は、年額で114万4,700円です。これを月額に換算すると9万5,391円になります。2018年の調査では119万6,600円(月額換算すると9万9,716円)だったため、年額で5万1,900円減少したことがわかります。

なお、この調査では、昼間部の大学生のほか、昼間部の短期大学生、修士課程、博士課程、専門職学位課程の区分別に収入状況の調査結果を出していますが、すべての区分で仕送りが減少していました。

出典:日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果

日本政策金融公庫の調査から

日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」によると、2021年度の仕送り額は年間平均95万8,000円でした。これは月額に換算すると7万9,833円です。前年の調査では90万3,000円だったため、5万5,000円増加したことになります。なお、仕送りが0円の世帯の割合は10.0%でした。

出典:日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」

東京私大教連の調査から

仕送りの平均額は7~9万円

最後に、東京私大教連の「私立大学新入生の家計負担調査 2020年度」です。この調査では、入学直後の新生活や教材の準備で費用がかさむ「5月」と、出費が落ちつく「6月以降」に分けて仕送り額が報告されています。

調査結果によると、2020年度の仕送り額の平均は、5月が8万8,900円、6月以降が8万2,400円でした。

以上、四つの調査から、仕送り額の平均はだいたい7~9万円ということがわかります。

出典:東京私立大教連 私立大学新入生の家計負担調査 2020年度

大学生の生活費は

1人暮らしの大学生の場合、主な収入は親からの仕送りになりますが、支出はどうなっているのでしょうか。ここからは、2021年に全国の国公立および私立大学の学部学生を対象に全国大学生活協同組合連合会が行った「第57回学生生活実態調査」を見ていきましょう。

自宅生の場合
自宅・実家暮らしの大学生の1ヶ月の支出は6万2,970円で、内訳は下記の通りです。

自宅・実家暮らしのため、家賃がかからないので住居費はほぼかかりません。また、食費も1万540円とあまりかかっていないことがわかります。

参考:全国大学生活協同組合連合会 第57回学生生活実態調査 概要報告

1人暮らしの場合

1人暮らしをしている大学生の場合は、1ヶ月の支出は12万5,040円で、内訳は下記の通りです。

1人暮らしの場合は、支出の中で住居費(5万3,920円)が大きな割合を占めます。さらに、食費(2万4,680円)は親と同居している学生の2倍以上かかっています。ただし、交通費は低く抑えられており、また貯金・繰越金が少ないことがわかります。

生活費を節約するには

1人暮らしをしている子どもへの仕送りは、親にとってかなりの負担です。子どもにはなるべく生活費をやりくりしてもらって、仕送り額を抑えたいのが本音ではないでしょうか。ぜいたくをしない、衝動買いをしないなどは当然のこととして、できる限りの節約を心がけてもらいたいものです。ここからは生活費の節約ポイントを解説します。

家賃を低く抑える
まずは家賃の見直しです。支出では家賃が一番大きいため、家賃を抑えられれば、生活費を大きく節約できます。賃貸住宅の家賃は、間取りを1R(ワンルーム)にしたとしてもエリアや立地で大きく変わります。

大学が都心部にある場合は、少し郊外で駅から離れた場所の部屋を選ぶと家賃が安くなります。ただし、あまり大学から離れた場所では通学にお金と時間がかかってしまいます。家賃と交通費、通学時間のバランスは考慮する必要があるでしょう。

学校が運営する学生寮は、寮費が一般の賃貸住宅より安い場合が多いので、そこに入寮するのもおすすめです。民間企業が運営する学生会館もありますが、学生寮よりは高くなります。

今ではかなり少なくなりましたが、まかない付きの下宿にするという手もあります。まかない付きであれば家賃と食費の両方の節約になります。また、最近はルームシェア物件もあるので、仲の良い友だちや兄弟姉妹などと一緒に暮らすと、生活費が抑えられます。

格安SIM、格安スマホに乗り換える

格安SIMへの乗り換えで通信品質を落とさず節約が可能

節約の基本は固定費を抑えることです。スマートフォンは、大学生にとって必需品になるため、手放すわけにはいかないでしょうが、毎月の通信費を抑える工夫は必要です。大手キャリアと品質の変わらない格安SIMや格安スマホへの乗り換え、割引料金プランへの変更などで、月々の通信費を半額以下に抑えられる場合もあります。

外食を控え、自炊中心にする
固定費を見直したら、変動費も見直してみましょう。特に食費は生活費に占める割合が大きいため、心がけ次第で大きな節約効果が期待できます。食費の節約には、外食を控えて自炊することが有効です。

スーパーやコンビニなどのお弁当や総菜も、自炊に比べると割高です。また、塩分やカロリーも高めなので、体にも良いとはいえません。食材を買って調理したほうが栄養価も高くなるので、健康管理の観点からも自炊をおすすめします。

ただし、食材を買っても使い切れずに捨ててしまっては本末転倒です。ムダなく使い切るようにしましょう。少ない食材で簡単にできるレシピはスマホですぐに検索できます。まずは、炊飯器で白米を炊くところから始めてみましょう。

仕送りだけでは足りない場合の補い方

親からすると、子どもの生活費のための仕送り以外に、学費も捻出しなければなりません。最近の物価高などから、経済的に不安を抱えている人も多いでしょう。子どもに十分な仕送りができない場合も考えられます。親からの仕送りが減って、生活費がまかなえない場合は、どのように補填すればよいのでしょうか。

アルバイト

収入だけではなく、社会勉強にもなるアルバイト

大学生になると、応募できるアルバイトの職種は格段に増えます。1人暮らしの学生に限らず、大学生にとってアルバイトは貴重な収入源です。前出の全国大学生活協同組合連合会の第57回学生生活実態調査によると、1人暮らしの学生はアルバイトで月に平均2万9,130円の収入を得ています。ちなみに、自宅通学の学生の場合は3万9,860円です。

アルバイトは単に生活費の不足分を稼ぐだけでなく、社会経験が積める良い機会にもなります。また、飲食店などのアルバイトにはまかない食が付くこともあるので、食費も節約できます。授業がない時間に無理のない範囲でアルバイトをすれば、学生生活を充実させることができるでしょう。

奨学金
1人暮らしの学生、自宅通学の学生ともに奨学金を受給している大学生は少なくありません。同調査によると、1人暮らしの学生の月額の奨学金受給額は2万380円、自宅生は1万240円です。なお、1人暮らしをしている奨学金受給者の仕送りは非受給者より4万7,490円少なく、奨学金が収入の45.2%を占めていることから、仕送りの不足分を奨学金頼みにしている実態がうかがえます。

まとめ

1人暮らしをしている大学生の子どもへの仕送りの平均は月額7~9万円です。これは支出額の平均より3~5万円少なく、不足分はアルバイトや奨学金でまかなっていることがわかります。仕送りは親にとっても負担が大きいため、子どもにはできる限りの節約を心がけてもらうようにしましょう。