「反社会性パーソナリティ障害(ASPD)」の特徴はご存知ですか?医師が監修!

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反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は、パーソナリティ障害の1つです。他人の痛みに無頓着で、自己の利益だけを追求することを厭いません。

そのため、時には違法行為に及ぶこともあります。また、他のパーソナリティ障害や人格障害を併発する可能性もあります。

しかし、その原因は遺伝的要因だけでなく、親との関係性などの環境要因があることがわかりました。

今回は反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の特徴や受診の目安、原因について詳しく解説します。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の特徴と原因

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)はどのような障害なのか教えてください。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は、自分の利益や快楽のために他人に対する加害(身体的・精神的問わず)を行うことができてしまう障害です。

通常であれば、自分の利益や快楽のために他人を害する行為は良心の呵責を感じてしまうものです。しかし、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の方は良心の呵責がありません。

後悔することもあまりなく、犯罪を犯してしまう可能性が非常に高くなってしまいます。

通常は踏みとどまる法という境界線も、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を発症していると容易に踏み越えてしまうことが多いです。

代表的な特徴が知りたいです。

社会性パーソナリティ障害(ASPD)には代表的な特徴がいくつかあります。

まずは「欲求不満への耐性が低いこと」です。欲しい物を我慢できず奪い取ったり、スリルを求めたりしてしまいます。

「ルールを守らないこと」も特徴の1つです。これは集団のルールだけでなく、法律という大きな社会的なルールも含まれます。

また、「自らのどんな行動をも正当化すること」も特徴です。これにより、どんな不誠実な行動をしても正当化してしまうのです。

また、これらの特徴は大きく5つのタイプに分けられます。

貪欲

評判・名声を求める

危険を好む

逃避

いずれも反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の特徴に当てはまる傾向にあります。

大きく5つのタイプに分けられるのですね。

これらの特徴はいずれも顕著になると犯罪を犯す可能性が高いため、犯罪者を調べると反社会性パーソナリティ障害(ASPD)であった、という事例もあります。

また、そのいずれも責任感がなく、他人を軽視する傾向にあります。それによって他人が傷ついても、自分の行いを正当化してしまうのです。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の原因を教えてください。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)には、遺伝的要因環境的要因があるといわれています。

まず反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を発症したうち約50%が遺伝的要因とされています。家族にすでに同じ障害を持っている場合、その子供も発症しやすいです。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の患者には、ある一定の染色体に共通した異常がみられています。残りの約50%は環境的要因です。

心理的・社会的に強いストレスにさらされて生育した場合、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を発症することがあります。

主に道徳心や倫理観が育たない環境での生育が原因です。また、原因としては軽度発達障害との関連も指摘されています。

ADHDの子供のうち、適切な支援が受けられない場合に反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を発症してしまうというものです。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の受診と治療方法

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を疑った際の受診の目安を教えてください。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の診断基準は医師以外から見ると非常に難しいものとなっています。

他人の感情にあまりにも無関心すぎる

社会的ルールを絶対に守らない

人間関係が持続しないが、人間関係を築くことはできる

欲望を抑えられない

他人を害した際の自身の正当化が著しい

これらの特徴が顕著な場合は、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の可能性があります。その場合は検査によって調べることが可能です。

どのような検査で調べるのでしょうか?

基本的には「精神疾患の診断・統計マニュアル」に基づき検査されます。基本的には以下の兆候が認められる場合に診断されます。

法律の軽視行動をしている

嘘を繰り返しつく

自他問わず安全性を顧みない行動

他人を傷つけることに対する無関心や合理化

これらの傾向が顕著でなおかつ18歳以上の場合は反社会性パーソナリティ障害(ASPD)と診断されます。

ただし、他のパーソナリティ障害と鑑別する必要もあるため、すぐに検査が終わるわけではありません。

治療方法が知りたいです。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)には特定の治療法はありません。あくまで社会に適応するために患者の行動パターンを改善することが目的となります。

具体的には心理療法薬物療法です。

心理療法では、同じ障害を持つ人同士で集まり共同作業を行う集団精神療法や、患者本人と家族を含めて行われる家族療法が採られます。

薬物療法は主に不安や抑うつ症状を抑えることが目的です。また、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を投与することによって衝動性・攻撃性を抑えることもあります。

治療は長期間行われるのでしょうか?

確実に長期間になります。特に遺伝的要因や幼少期からの要因が多いため、周囲のサポートが必要不可欠です。

1人では治療が難しい障害でもあります。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の注意点

ADHD(注意欠陥多動性障害)のチェック法を教えてください。

ADHD(注意欠陥多動性障害)のチェック方法にはセルフチェックシートがあります。

このセルフチェックシートでのチェックを事前に行ってから医療機関を受診すると、スムーズに診察が進むでしょう。

セルフチェックシートなしのチェックの場合、以下の兆候が顕著な場合はセルフチェックシートを利用した方が良いとされています。

不注意が多い

注意力散漫

課題の順序立てができない

手足を動かしがち

静かに遊べない

人の喋りを遮ってしまう

その他の特徴もありますが、いずれもADHDに当てはまる特徴です。さらなるチェックには、セルフチェックシートを利用しましょう。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を予防する方法はありますか?

遺伝的な要因で発症する反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は予防できません。殆どの場合反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の器質を持ったまま成長します。

ただし、環境要因での反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は予防できます

環境要因では、虐待・ネグレクト・一貫性のないしつけや育児方針が原因となりえます。

そのため、これらの環境を避けるようにすると反社会性パーソナリティ障害(ASPD)を発症しにくいです。

家族はどのようにサポートすれば良いでしょうか?

もし家族が反社会性パーソナリティ障害(ASPD)と診断された場合は、まずご家族がそうなった背景を理解することが必要です。

遺伝的理由ではない場合、育ってきた環境が原因となることが多いです。だからこそ、その理由を理解することが必要になります。

まずは攻撃的な態度を取られても冷静に対応することが重要です。また、相手の行いを否定しすぎないようにしましょう。

何が良くないのか、なぜ良くないのかをじっくりと伝えることが重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は非常に治療が難しいパーソナリティ障害です。

家族を始めとした周囲のサポートが必要不可欠になります。

諦めないことが大事ですが、まずはご自分のことを大事にしながら患者に接するようにしてください。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)の患者は、他人を慮ることが難しい方が多いです。そのため、良くないことをしたらなぜ良くないのかを優しく伝えてあげてください。

編集部まとめ


反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は、完治が難しい障害です。医師だけでなく、家族など周囲のサポートが必要不可欠になります。

ただし、症状の緩和は可能です。治療目標を設定し、臨床心理士と協力しながらの心理療法が一般的です。

もしご家族が診断された場合は、悲観しすぎず辛抱強く接してあげてください。他者とのコミュニケーションによって改善する可能性もあります。

参考文献

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)|MSDマニュアル

反社会性パーソナリティ障害とは?特徴や5つのタイプ、原因、診断基準、周りの人の対処法を紹介します|LITALICO発達ナビ

反社会性パーソナリティ障害の症状、特徴、原因や治療法|BRAIN CLINIC

「人格障害」という鑑定の問題的性格

ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット

反社会性パーソナリティ障害|Medical Note

こころのはなし|ハートクリニック