出口まで486段「日本一のトンネル駅」土合駅地中ホームが誕生した日 -1967.9.28
55年前の9月28日、地中深くにある上越線の土合駅下りホームが開業しました。
果てしなく続く上り階段
上越線の土合駅下りホーム(画像:写真AC)。
今から55年前の1967年9月28日、地中深くにある上越線の土合駅下りホームが開業しました。
土合駅下りホームは、群馬・新潟県境の山岳地帯を貫く新清水トンネル(延長1万3500m)の途中にあります。地表面の改札口に到達するまで、標高差約70m、合計486段の階段が待ち構えています。訪問客を待ち構える光景のインパクトから、「日本一のモグラ駅」として多くのファンに親しまれています。
そもそもこの地に鉄道がやってきたのは1931年。当時世界有数の長さを誇った清水トンネル(延長9702m)とともに、上越線が開業しました。それまで東京〜新潟間の鉄道は、軽井沢や長野、直江津を経由して、延々と迂回するルートでした。上越線の開業により、新潟への所要時間は大幅に短縮されました。
そのルートは現在の上り線(東京方面)です。ここに土合駅が設置されたのは、上越線の開業5年後の1936年でした。このホームは地上にあり、何の変哲もない駅です。周囲に人家もほとんどない山奥ですが、当時から谷川岳登山の拠点として需要があり、スキー客もここを利用していました。
さて、戦後いよいよ列車本数が増加し、複線化しないと対処できなくなってきました。1950年後半から県境区間は段階的に工事が進められ、最後の区間である、新清水トンネルの開通をもって、複線化が完了します。その時に生まれたのが、この土合駅地下ホームでした。
長い峠越えの途中にあるため、途中で特急列車に追い抜かれてもいいように、駅構内で待避線が分岐し、そこにホームが設置されていました。2008年に待避設備は廃止され、通過線だった線路の位置までホームが拡幅されています。
開業間もない1967年10月時点のダイヤを見ると、停車列車は1日9往復。うち1往復は上野〜秋田間の夜行列車です。現在は1日5往復なので、閑散区間であることに変わりはありません。ただし現在は、谷川岳や温泉地への利便性を図るため、関越交通のバス路線が、上越新幹線の上毛高原駅や上越線水上駅を起点に土合駅や谷川岳ロープウェイ乗り場まで1日12往復運行しています。
ちなみに現在の上り・水上行きの最終便は18時18分発。17時59分着の下り列車から折り返す計画だと、20分足らずで長い階段を上らないと、その日は東京方面へ帰れなくなってしまいます。