豪雨で冠水した道路は、前輪が切れて転倒するリスクがある!

最近、線状降水帯と呼ばれる短時間に同じ場所へ豪雨が降る気象現象が多発、瞬く間に道路が冠水してクルマがボートのように水をかき分け航跡ができるシーンを見かけることが増えている。
ただバイクにとって、この冠水した道路を通過するのはかなりのリスクを伴う。つい一気に勢いよく駆け抜けてしまえば、と思いがちだが、その水の深さによっては前輪が前を向けず、つまり直進できずにハンドルが切れて転倒するかも知れないのだ。

前輪が接地点を失うと途端に直性性を失う……

オートバイの前輪は、一般的に傾斜したフロントフォークに取り付けられている。
この斜めの角度をキャスター角、その接地点とステアリング軸とのオフセット量をトレールと呼んで、このふたつの関係で真っ直ぐ走れる直進性(言い換えると復元力でもある)と、カーブで車体が傾いたときにスムーズに舵角をつける特性とが設定されているのだ。
この直進性、常に前を向こうとする復元力は、フロントタイヤの接地点が浮いてしまうと機能を失ってしまう。
つまり深い水たまりに勢いよく突っ込むと、一般的なバイクに設定されている前輪荷重では、路面から浮き気味になりがちで、そうなると水深があるため前輪がかき分けていた水の抵抗が勝ってしまい、前を向けず左右どちらかへ押すチカラでハンドルが切れるという、 転倒に直結する危険な状況に陥る。

深さがありそうな水たまりは、徐行スピードでゆっくり抜けよう

このように通常の雨降りと違い、水たまりができるほどの豪雨で路面が隠れて水深がわからないような状況では、前輪が浮いてしまわないよう徐行しながら進むしかない。
少し凹んだ部分だけに水が溜まっているだけ……そう見えるからと一気に駆け抜けようとしても、短い距離だろうが前輪が浮けば転倒しかねない。
前を行くクルマが左右へ大きな水しぶきを上げる状況を見たら、必ずハザードランプを点灯して後続車へアピールして徐行するのをお忘れなく!

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