世界陸上女子やり投げで銅メダルを獲得し、涙を浮かべる北口榛花【写真:ロイター】

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オレゴン世界陸上

 オレゴン世界陸上が22日(日本時間23日)、米オレゴン州ユージンのヘイワード・フィールドで第8日が行われた。女子やり投げ決勝では、北口榛花(JAL)が63メートル27で銅メダルを獲得。五輪を通じ、投てき種目日本女子初のメダル獲得という歴史的快挙を達成した。チェコ人コーチのセケラック氏と抱擁し、歓喜を分かち合った北口にネットももらい泣きしている。

 感動のシーンだった。1投目で62メートル07を投げ、暫定2位となった北口。以降、記録を伸ばせず5位で迎えた最終6投目に63メートル27を投げ、再び2位に浮上した。1人に抜かれたものの、3位に滑り込み、銅メダルを獲得。客席後方から降りてきたチェコ人のコーチ・セケラック氏と柵越しに抱き合い、号泣した。国籍を越え、二人三脚で挑んだ絆が伺える場面だった。この場面にネットも反応した。

 ツイッター上では「コーチと抱き合う姿に感動」「お互い歩み寄るところよかった」「感極まった感じで階段降りてくるコーチも素敵」「こういうのがいいんだよ」との声が続々と上がった。

 セケラック氏には19年から師事。最初は厳しい練習についていくのがやっとだった。コーチは絶対的存在だっただけに、意見をぶつけた際は「口論しても必ず負けるような状態」と一方通行。しかし、徐々に関係性を高め、東京五輪以降は受け入れてくれるようになった。「本来あるべき選手とコーチの関係性になってきた」といい、6月にダイヤモンド・リーグ(パリ)で日本人初優勝を果たした。

 この日も競技中に喧嘩があったとハプニングを明るく明かしていたが、一方で「違った文化を受け入れることはそう簡単じゃない。長い移動もたくさんして日本に来てくれる。チェコに家族がいて、他に教えている子もいながら、私のためだけにそういう行動を取ることができない。凄く感謝しています」と話していた北口。日本女子初のメダル獲得は2人の努力の結晶だった。

(THE ANSWER編集部)