ヴェスヴィオ山の火口。キャロルさんは手前の整備された道の反対側を登ってきたという(写真:John Warburton-Lee/アフロ)

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西暦79年に大噴火を起こし、ポンペイ市を壊滅させたイタリアのヴェスヴィオ山。「Nature」誌は2011年に同山を「ヨーロッパの時限爆弾」と表現している。「世界で最も危険な火山の1つ」とし、1944年の噴火を最後に現在は小康状態を保っているが、「これまで考えられていたよりも危険であることがわかり、将来起こりうる噴火の危険性と規模について活発な議論が行われている」としている。

そんなヴェスヴィオ山で、自撮りをしようとした男性が火口に落下する事故が起こった。NBC NEWSなどが報じている。

現地時間7月9日、米メリーランド州からイタリアへ訪れていたフィリップ・キャロルさん(23)は、家族と共にヴェスビヴィオのハイキングコースにやってきた。

キャロルさんは「立ち入り禁止」の案内を無視して火口まで到達。火口をバックに自撮りしようとしたが、携帯電話を火口に落としてしまったという。携帯電話を回収するために火口内に立ち入ったところ、足を滑らせて数メートル滑落し、身動きが取れなくなってしまった。

キャロルさんはヴェスヴィオ公園森林管理局の職員によって救助され、背中と肘を血まみれにするだけで済んだが、同局の広報官は「彼はとても幸運でした。もし止まれなければ、300メートルは落ちていたでしょう」とNBC NEWSの取材に対して語っている。

また、この広報官はABC NEWSに「恐らく、1日2500ドルの見学チケットが売り切れていたため、正規のコースではない道を通ったのでしょう」とコメントした。キャロルさんには罰金以外の法的措置が取られることはないという。