AFX通信によると、英携帯電話サービス大手ボーダフォンは25日の株主総会で、同社のアルン・サリンCEO(最高経営責任者)の再任案件に対し、発行済み株式の10%相当を占める多くの主要株主(機関投資家)が反対票を投じる意向を明らかにしており、サリン体制への強い批判が改めて浮き彫りとなった。

  同社は、この1年間で、主力の欧州市場で、英独伊3カ国での売り上げが前年を1-3%も下回り、3回も業績の下方修正を行ったことから、株価が25%も下落し、サリン氏が率いる経営陣に対する不満が噴出している。特に今年初めには全世界の長期経営目標が縮小され、株価が下落したのを受けて、ABI(英国保険業協会)が同社の投資判断に“黄信号”を出したほか、コーポレートガバナンスのアドバイザー、PIRCも株主に対し、経営陣の報酬増額計画に反対するよう求めるなど批判の動きが出ている。

  特に、これまで打ち出してきた世界戦略が、欧州市場での苦戦や日本市場からの撤退というように失敗に終わり、これに対処する将来的なビジョンが示されないことに株主の不満が強く、すでに市場からは、次期会長に就任するジョン・ボンド氏への期待が高まっている。さらに、サリン氏の腹心で経営不振にあえぐ欧州事業部門のCEOとして、経営再建を任されていた元日本法人の社長だったビル・モロー氏が、「家庭の事情」で退社することが明らかになったことも、サリン体制にとっては打撃となっている。 【了】