話題のNANOTE NEXTの性能をベンチと歴代モデルとの比較でチェックしてみた!

ディスカウントストアチェーンのドン・キホーテは自社プライベートブランド「情熱価格」から7インチディスプレイサイズのウルトラモバイルパソコン(UMPC)「NANOTE」シリーズの新製品「NANOTE NEXT(ナノート ネクスト)」(型番:UMPC-03-SR[SILVER:)を販売開始しました。価格(金額はすべて税込)は32,780円(ドン・キホーテ店舗での定価)となっています。

安価なものでも7〜8万円台からが大半を占める国内で販売されているUMPCにおいて3万円ちょっとで販売されている本機は性能がかなり抑えめになっていたり、多少なりとも改善して欲しい点がいくつか見られるものの、非常に安価な部類であり、性能や特徴をよく理解した人がホビーユースやサブマシンに使ったりするのであれば、十分に面白い製品となっています。

そんなNANOTE NEXTを購入した筆者がお送りしているレビューですが、本記事では前回の外観やプリインストールアプリなどの解説に続いてNANOTEシリーズの歴代製品と本機のスペックを比較しつつ、ゲームアプリのベンチマークテストの結果などを紹介していこうと思います。

【NENOTE NEXTと歴代のNANOTEのスペックを比較する】


NANOTE NEXTを含む歴代3機。すべてわかりますか?

まずはNANOTE NEXTとこれまで販売されてきた過去の2機種である初代「NANOTE」と第2弾「NANOTE P8」をカタログスペックで比べてみましょう。


NANOTEシリーズ3機種のスペック比較
NANOTE NEXTNANOTE P8NANOTE(初代モデル)
CPUPentium J4205 1.5GHz(4コア)Pentium N4200 1.1GHz(4コア)Atom x5 Z8350(4コア)
動作メモリー8GB RAM8GB RAM4GB RAM
本体ストレージ64GB(SSD)※換装可64GB eMMC64GB eMMC
ディスプレイWUXGA (1920x1200)タッチパネルディスプレイWUXGA (1920x1200)タッチパネルディスプレイWUXGA (1920x1200)タッチパネルディスプレイ
無線機能IEEE802.11 b/g/n・Bluetooth Ver 4.0IEEE802.11 b/g/n・Bluetooth Ver 4.0IEEE802.11 b/g/n・Bluetooth Ver 4.0
カメラ約30万画素フロントカメラ約30万画素フロントカメラ約30万画素フロントカメラ
microSDカードスロット最大256GB最大256GB最大256GB
備考USB PD対応(12V/2.0A以上)独自仕様のUSB充電器専用・microHDMI変換アダプタ同梱microHDMI変換アダプタ同梱
本体価格32,780円32,780円20,790円

NANOTE NEXTはこれまでに発売されてきた歴代NANOTEシリーズと比べると、CPUや内蔵メモリー(RAM)、内蔵ストレージのSSD化など、少しずつですがスペックアップをしているのですが、無線LAN(Wi-Fi)やBluetoothといった無線機能や対応メモリーカード(の最大容量)、インカメラ、ディスプレイに関しては初代からまったく変わっていません。もちろん、ディスプレイはそこそこ良いものを使っているようなのでそれでも構わないのですけども。

またCPUも一貫してIntel Atom系のかなり古い系統のものを採用しつづけており、NANOTE NEXTのIntel製「Pentium J4205」も2016年9月に登場した第5世代Atom(Goldmontアーキテクチャー)系のものとなっています。ちなみに先代モデルのNANOTE P8が搭載しているIntel製「Pentium N4200」も第5世代Atom系の同年代CPUで、純粋な性能面では大差はありません。

とはいえ、CPUやRAMは世代を重ねるごとに、僅かずつながら確実にスペックアップはしていっているのがわかります。なお、Atom系CPUにおいてのWindows 11へのアップグレードには第7世代のTremont以降であることが条件なので、少なくともNANOTE NEXTまでのNANOTEシリーズはどれもWindows 11へのアップグレードには対応できません。もちろん普通でない方法を用いれば導入は可能ですが、今回の話題から横道に逸れてしまうので割愛します。

【NANOTE NEXTでPCゲームやベンチマークを試す】

それでは続いてベンチマーク計測を行ったので紹介していきます。今回テストに使用したのは「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークテスト」と「ドラゴンクエストX じゃんぼりぃの傘 ベンチマークテスト」の2つ。それぞれ3回ずつ計測して、中央のスコアを参考スコアとして採用します。

○テスト1:「ファイナルファンタジーXIVベンチマーク」の計測結果

まずはファイナルファンタジーXIVベンチマーから。元々、ディスクリートGPU(グラフィックカードなど)を装着したPCでの動作を想定している本作だけあり、高品質設定にされているデフォルト状態での計測そのものに無理がありますね。


デフォルトでの計測結果。当然ながら動作困難

少しでも動作を軽くするため、エフェクトを簡略化し、画面解像度を落としての計測でもこれです。設定を落としてもそれなり以上の性能を要求するゲームなので、本機でこのゲームを遊ぶのは厳しそうです。


負荷をなるべく落とす設定でもこの結果


○テスト2:「ドラゴンクエストX ベンチマークテスト」の計測結果

続いて要求スペックが比較的軽めのオンラインRPG「ドラゴンクエストX」のベンチマークの計測結果がこちらになります。


デフォルト設定での計測結果。動作可能なものの、動作は「重い」という判定。実は筆者の予想通り

「不可能」とか「困難」とかではなく、「重い」という設定。以前にNANOTE P8で本ベンチマークを試した際もほぼ同じような結果だったのですが、スペックが似通っているNANOTE NEXTも同じような結果になるだろうという予想をしていました。


解像度やエフェクトを簡略した設定でのテスト結果。これなら普通に遊べる

こちらも予想通りの結果で「快適に!」とはいかないまでも画面効果は軽く画面解像度はギリギリまで抑えられている状態ではありますが、それなりに遊ぶことはできそうでな結果となりました。それでもニンテンドー3DS版の同タイトルよりは解像度は高いですけども。

○番外編:DMM版「デレステ」を試す

ここはちょっとしたオマケとしてDMM GAMESから配信されている「アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージDMMゲームス版」をインストールして試してみました。

スマホ向けのゲームアプリとしてかなり長い間サービスが続けられている本作ですが、DMM GAMESのプラットホームにてAndroid版およびiOS版とアカウント連携の可能なWindowsで動作するバージョン(現時点ではゲームプレイはできず、オートプレイやMV鑑賞、キャラクター育成に限られていますが)がリリースされています。そこでNANOTE NEXTに実際にインストールしてMV鑑賞ツールとして実用に堪えるかテストしてみました。


MV鑑賞はほぼカンペキに動作。元がスマホアプリということもあって、3Dキャラもバッチリ動きました



オートプレイも問題なく動作。実際のプレイにアプリが非対応なのが惜しいくらいにスムーズに動いています

結果としては「DMM版デレステ」については特にストレスなくしっかりと動いてくれていました。ただし、このアプリはゲームデータをフルでダウンロードすると、スマホ版とほぼ同等のストレージ容量を必要(2022年6月時点で、約33.5GB弱)とするので、本格的に利用していくのであれば、SSDの換装を視野に入れておいた方がいいかもしれません。

○Webブラウザーゲームを試す

今度は本体内ストレージを比較的圧迫しない(適当にキャッシュクリアは必要になるかとは思いますが)ブラウザゲームを試します。今回はWebブラウザーゲームの中ではエフェクトや演出が重めで、負荷をかけるのに丁度いいブラウザゲーム「アイ・アム・マジカミ」(以下、マジカミ)でテストしています。


遊べないこともないですが、全体的に動作は重いです



ゲーム中に戦闘エフェクトなどが出てくると画面はガクガクになります

少なくともマジカミにおいては派手なエフェクトや3Dキャラクターが動き回るとフレームレートが格段に低下し、快適に遊ぶのは程遠い結果となりました。

時間回復のスタミナ消費型のRPGというブラウザゲームとしてはスタンダードなシステムなので、エフェクトの類で画面がぐちゃぐちゃになってもアイコンや文字などで情報の把握はできるので、遊べなくはありませんが、ゲームを楽しむという方向においては無理があるでしょう。

本機でブラウザゲームを遊ぶ場合は演出のライトなゲームやテーブルゲームなどに止めておいた方が良さそうです。

【4K動画再生を試してみた】

最後に(画面解像度が1920×1200ドットしかないので意味はあまりないのですが)4K動画を本機で再生できるかどうかを試すため、YouTubeの4K動画を再生してみました。


4K解像度の動画の再生は特に問題なかった

4K動画の再生については特に問題なく可能で、音と動画がずれるような現象もありませんでした。本機のディスプレイで4K動画を再生してもあまり大きなメリットはないのですが、HDMI接続で、4K対応のモニターへ接続しての動画鑑賞には使えそうです。

ただし、シークバーを頻繁に動かすと、動画の読み出しやダウンロードが追いつかないことがありました。(これは本機のCPUの性能というよりも無線LANの性能が高くないことが原因と考えられます。)

なお、ついでに8K解像度の動画の再生にもチャレンジしてみましたが、コマ送り以下のブツ切れで再生されたことを付け加えておきます。

動画再生については、前回の記事でも触れていますが、ディスプレイの液晶がこの価格帯のPCにしてはかなり良好なので、動画の視聴には向いているように感じます。

スペックとしては初代から比べると、ストレージやRAMの強化のほか、CPUの世代が進んでいることもあって、かなり大幅な強化がされていると感じられるはずです。

一方で、先代のNANOTE P8と比較するとCPUは同世代のものであり、動作メモリーも8GB RAMと同じなので、本体ストレージがeMMCからSSDへ変わったこと以外にパフォーマンスの面ではそれほど大きな進化はなく、CPUと動作メモリー、ストレージ以外においては初代から変わっていないため、特に無線LANが遅い点も気になる人はいるかもしれません。

ただし、NANOTE P8とは異なり、本体ストレージのSSDをより、大容量・高速なものへ換装することで、ある程度の性能の上乗せも期待できるのは嬉しいところかもしれませんね。

さて次回はNANOTE NEXTを実際に使っていて気が付いたあれこれをまとめて紹介しようと思います。お楽しみに。

記事執筆:河童丸


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・NANOTE NEXT製品情報(ドン・キホーテのWebサイト)