タイヤのメーカーを変えると乗り味が変わるってホント?【ライドナレッジ053】(ピックアップ)
新車に装着されているタイヤ銘柄はOEMと呼ばれる。開発時のテストから採用され、細かな特性をそのバイク専用に微調整してある専用仕様だ。つまり、同じタイヤメーカーの同じ銘柄の同じサイズといっても、タイヤショップやバイク用品の店で売られている製品と内容的に若干違っていることが多い。
ということは、メーカーが狙ったハンドリングを維持したいと、厳密に同じモノにこだわるのであれば、ちょっと割高でもバイクメーカーの純正部品を取り寄せてもらうしかない。
しかしわざわざ取り寄せた全く同じ製品であっても、交換後に違和感というか同じ乗り味を感じることはほぼないと言えるのだ。
なぜなら、交換前には既に摩耗して断面形状が変わっていたり、衝撃吸収で繰り返し揉まれてきたカーカスの強度や減衰特性も変化していて、その状態に馴染んでいた感覚には、同じはずの新品に履き替えると当初はどこか違う感じがして当然ということになる。
暫く走ればそんな違和感も馴染んでくるはずだが、ちょっと違うぞという先入観が抜けないライダーもいて、タイヤ交換してから乗りにくくなったと思い続けてしまうケースもある。
しかも一般的にタイヤ交換の時期を考えると、新車を購入してから既に1~2年は経過しているはずで、これを契機にもっと乗りやすかったり安心感を大きくできるよう、最新のタイヤを選ぶほうが賢明といえる。
タイヤは日進月歩で進化していて、毎年あるいは2年も経てば新型に変わっているもの。その進化内容も、グリップ性能や耐摩耗性の向上だけでなく、軽快だけど不安感の少ないバランスの良さなどフィーリングでも受け容れやすい特性へ進化しているケースが圧倒的に多い。
純正タイヤにこだわって選ぶメリットはほぼないといって差し支えないだろう。
同じバイクでも装着しているタイヤを別の銘柄に替えると、乗り味というかハンドリングが随分と違うフィーリングになる。たとえばリーンしたときの手応えで、ややリーンする速度が遅くなる、つまり重く感じたり、逆にリーンが鋭く軽快に、これはフラッと倒れ込むような不安を覚えたりと、交換する前に馴染んだ感覚との違和感があったりする。
これは同じサイズのタイヤでも、タイヤメーカーによってプロファイルと呼ばれる断面形状が違ったり、内部構造でカーカスと呼ばれるタイヤ形状や強度と減衰特性を左右する繊維の材質や積層している枚数が違うからだ。
基本的に耐荷重など、設計時に共通の基準を守るため、スペックに大きな違いがあるというワケではないものの、タイヤメーカーそれぞれが積み上げた技術力で達成させるため、リーンなど車体の動きには異なるフィーリングとなるのは当然といえる。
なかでも海外のタイヤメーカーは、日本のタイヤメーカーのように開発時から採用されるケースがそれほど多くなく、摩耗して交換されるリプレイス用がメインとなるため、様々なバイクに合うよう広範囲に特性をカバーする技術に優れている。
中にはバイクによっては、この海外製リプレイスタイヤのおかげで、どうしても乗りにくかった面が消えてしまう例もある。またタイヤ交換で、とても乗りにくくなるリスクも海外製リプレイスタイヤであればまず心配はない。
こうした幅広い特性を得るため、ヨーロッパのタイヤメーカーはカーカスの繊維素材や合成ゴムの原材料に、かなりのコストをかけている。素材の良さからくる性能や納得できる安心感を考えると、割高どころかほとんどのケースでお得といえる大差がついてしまっている。
そして交換後は確かに多少なりとも違和感があるかも知れないが、優れたタイヤは様々なシーンでライダーが馴染みやすい包括的な特性を発揮する。とくに近年、その進化の度合いは目を見張るものがある。
今年はそんな進化が実感できる、いわば当たり年。どこが進化しているのか、RIDE HIの記事を検索して確認されるのをお奨めしたい!