※この記事は2014年12月03日にBLOGOSで公開されたものです

本エントリは、信州大学教育学部「比較教育学演習」の授業での、第47回衆議院議員選挙の各党のマニフェストから、教育と子育てに関する政策をまとめた資料から、転載をさせていただいております。

※2014年12月1日時点で各党のウェブサイトに掲載されているマニフェストを参考にまとめたため、掲載されていない政党が複数あります。

■待機児童対策

自由民主党
・1兆円超程度の財源を確保し、「子ども・子育て支援新制度」に基づく子育て支援の量的拡充(待機児童解消に向けた受け皿の拡充等)及び質の改善(職員配置や職員給与の改善等)を図ります。
・希望する全ての子供に幼児教育の機会を保障するため、財源を確保しつつ、幼児教育の無償化に取り組みます。

民主党 ・子ども・子育て支援の予算を増額し、新児童手当等により子育てを直接支援するとともに、待機児童の解消、仕事と育児の両立支援の充実のため、保育所・認定こども園・放課後児童クラブなどを拡充します。

維新の党
・小規模・家庭的保育を含めた多様なサービスの新規参入と規制改革を進め、それにより待機児童を解消する。
・保育園への株式会社の参入を促進する。自治体、社会福祉法人の保育園とイコールフッティンブを確保する。

公明党
・2015年4月から予定されている「子ども・子育て支援新制度」を確実に実施し、仕事と子育ての両立を支援します。そのため、「待機児童解消加速化プラン」を踏まえ、約40万人分の保育の受け皿を確保し、可能な限り早く待機児童を解消します。

日本共産党
・新制度による公的保育の後退を許さず、安心して預けられる保育・学童保育を保障します

・国・自治体の責任で保育要求にこたえた認可保育所を増設、保育条件の改善をすすめます

今年4月に、認可保育所に申し込んでも入れなかった待機児童は2万1371人、実態はその倍以上とみられています。男性も女性も、安心して子育てしながら働き続けられるよう、子どもの健やかな成長を保障する条件の整った保育を保障しなければなりません。

政府が来年4月に実施しようとしている「子ども・子育て支援新制度」は、基準を緩めた保育サービスの導入や、営利企業の参入の拡大、公立保育所の廃止や強引な幼稚園との統合など、本来の国と自治体の責任を後退させるものです。安心して預けられる公的保育を守り拡充するために、新制度による保育の後退を許さず、待機児童の解消、認可保育所を中心とした保育の保障、保育条件の改善をすすめます。

子ども・子育て支援法で、自治体には、ニーズ調査をふまえて5年間の支援事業の需給計画作成が義務づけられています。「児童福祉法24条1項」にもとづき、保育需要にこたえた認可保育所をつくります。保育士の確保と労働条件の改善、保育条件の確保、保育料の負担軽減などに、十分な財源を保障します。

・高すぎる幼稚園授業料を引き下げます
高すぎる幼稚園授業料を引き下げます。私立幼稚園に通う子どもの親に対する国の助成制度を拡充します。OECDは、日本の就学前教育について、民間部門に大きく依存しており、就学前教育機関への支出の55%が私費負担でありその大半が家計支出となっていることを指摘しています。「子ども子育て支援新制度」によって、公立幼稚園の保育料が大幅にひきあがるとことが出てくることが危惧されています。高すぎる国の保育料の基準額を改善し、父母負担を引き下げます。

社会民主党
・保育所・認定こども園・幼稚園の質の向上と量の拡大を実現。国有地や空き教室などの活用で保育所を大幅に増設し、待機児童対策を推進。

■貧困対策・奨学金

自由民主党
・大学奨学金事業における「有利子から無利子へ」の流れを加速し、返還月額が卒業後の所得に連動する「所得連動返還型奨学金制度」の導入を図ります。

民主党
・生活困窮者などの自立支援
・子どもの貧困対策法に基づき、「貧困の世代間連鎖」を断ち切ります。
・所得制限のない高校無償化制度をめざします。
・大学など高等教育における授業料の減免や奨学金を拡充し、返済の必要のない「給付型奨学金」の創設をめざします。

公明党
・幼児教育の無償化を推進
すべての子どもに質の高い幼児教育を保障するため、就学前3年間の幼稚園、保育園、認定こども園の幼児教育の無償化を着実に推進します。その一環として、幼稚園に子どもを通わせる負担軽減のために支給されている「幼稚園就園奨励費補助制度」が2014年から拡充され、生活保護世帯の負担が無償になり、多子世帯(子どもが3人以上いる世帯)の負担が軽減されました。その上で、さらに無償化を進めるために、まず「5歳児」の無償化に取り組みます。

・奨学金制度等の拡充
学ぶ意欲のある大学生や高校生等が経済的な理由により修学の機会を奪われることのないよう、授業料減免制度や無利子奨学金、奨学金返済免除制度、高校生等奨学給付金の拡充を進めるほか、返済不要の給付型奨学金や、マイナンバー制度の導入を前提に、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入をめざします。

・このほか、大学生や高校生等の海外留学を促進するため、給付型の留学奨学金制度の拡充に取り組みます。

日本共産党
▼ブラック化している学生奨学金の改革を急ぎます
2012年、共産党が長年要求してきた国際人権規約「高校と大学の段階的無償化」条項への留保の撤回が実現しました。ところが「世界一の高学費」の大学はそのまま放置されています。とくに奨学金は欧米では返済なしの給付制が主流ですが、日本では有利子が大半です。そのため、「将来返せるか不安」「返済するために仕方なくブラック企業に勤める」「返済が困難でも脅しで取り立てられる」など深刻な実態がひろがっています。①「奨学金」というならすべて無利子にする、②収入が少ない人への返済の減免制度など返済に困ったときのセーフティネットをつくる、③先進国にはすべてある返済不要の給付制奨学金を創設するの三つの転換で、奨学金を安心して借りられる制度にします。
・学校給食を拡充します

安全で豊かな学校給食のために、給食の安全性や質の確保の上で問題の多い民間委託を見直し、地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。学校給食費の未払いをすべて保護者の責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。

▼教育費負担の軽減・無償化をすすめます
子どもを持つ上での不安のトップはどの世代も、「経済的負担の増加」です(内閣府調査)。なかでも教育費の負担は重く、高校入学から大学卒業にまでかかる費用は子ども一人当たり平均1056万円、子どもにかかる教育費用は年収の4割となり過去最高です。年収200~400万円の世帯では6割に達します(日本政策金融公庫調査、2013年)。

・国際人権規約を生かした学費無償化のプログラムをつくります
日本共産党はこの事態を打開するため、「高校と大学等を段階的に無償化する」という、国際人権規約を認めることを強く主張してきました。国民の皆さんの運動とあいまって、2012年、政府は無償化条項を承認しました(「留保の撤回」)。ところがその後、無償化の具体化が検討されていません。高校、大学、専門学校の無償化の目標をいつ達成するかはっきりさせ、それにむけて段階的に無償化をすすめるプログラムを策定します。

・高校就学支援金の所得制限をなくし、かんたん・安心の制度にします
安倍政権は、はじまったばかりの高校就学支援金に所得制限を導入して制度を後退させました。全員がいったん授業料を払い、必要な人は申請によって公立高校授業料に相当する就学支援金を受けるという複雑な仕組みとなり、申請手続きが煩雑で申請をあきらめる、一時的な授業料負担に困るなど、さまざまな矛盾がうまれています。所得制限をなくし、諸手続きを一度ですむ簡単なものにします。公私間格差是正へ私立高校生への支援金制度の拡充をすすめます。年限制限など不合理な制度を是正します。

・高校奨学給付金が2014年から始まりました。長年の国民の世論と運動の成果であり、日本共産党の主張が実ったものです。いっそうの拡充をはかり、第一子の増額、通学費分の支給、支給対象の拡大などをおこないます。不登校の同年齢期の子どもも、高校と同等の支援をめざし、公的支援を強めます。義務教育の学齢も同様の措置をとります。

・国の「修学支援基金」(*注)の延長をおこないます。政府は国の「修学支援基金」制度を今年度で終了するとしています。県独自の学費補助の半額を支援している制度です。制度がなくなれば、県の補助がおおきく後退しかねません。みなさんと力をあわせ、国の「修学支援基金」制度を延長させます。(*2009年リーマンショックで創られ、2011年東日本大震災で3年延長された基金。来年度以降の計画がなく、今年度で終了予定。全国知事会も延長・拡充をもとめている。)

・安倍政権は、朝鮮学校への就学支援金を支給しないことを決定しました。しかし、内外人平等の国際人権規約などに照らしても、支給することは当然のことで、撤回すべきです。国際条約に基づき朝鮮学校など外国人学校に無償化措置を適用します。

・乳幼児教育の負担軽減を進めます
乳幼児は人格の土台をつくる大切な時期です。ところが、日本の乳幼児教育の予算はOECD諸国の平均の半分しかなく、保育園の不足、保育園の民営化など量質ともに貧弱で、負担の重さに若い保護者は改善をつよく求めています。すべての乳幼児が豊かな保育がうけられる体制を整えるとともに、無償化をめざして、保育料、幼稚園授業料の軽減を進めます。

・義務教育段階の家計負担の解消を進めます
義務教育無償の原則にもかかわらず、無償の対象は授業料や教科書代などに限られ、制服代、ドリル代、修学旅行積み立てなど義務教育段階の家計負担はあまりに重すぎます。義務教育にふさわしく家計負担の解消をめざし、段階的に負担の引き下げを進めます。

・就学援助を拡充します
就学援助はすべての子どもに義務教育をきちんと保障するための命綱です。ところが、「子どもの貧困」が広がり就学援助を強めなければならない時に、自公政権が就学援助の国庫負担制度を廃止し、各地で就学援助の縮小がはじまっています。国庫負担制度をもとに戻し、対象を少なくとも生活保護基準×1.5倍となるように引き上げ、支給額も実態にみあってひきあげ、利用しやすい制度にします。教育扶助の額も同様に引き上げます。学校給食費の未払いをすべて保護者の責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。

・大学の「世界一の高学費」を軽減します
国公立大学の授業料標準額を段階的に引き下げ、私立大学には国立との差額を補てんするための国庫助成や私立大学生への直接助成をおこないます。国公私立の区別なく、年収400万円以下の世帯への学費免除を実施する制度をつくります。高等専門学校については、高校相当部分、高等教育相当部分それぞれの時期に即して無償化・負担軽減をおこないます。

・各種学校・専門学校の負担軽減に着手します
高卒後なんらかの教育機関に進学する割合は70%に達しています。そのなかでも各種学校・専門学校の学費は年間100万円、200万円とかかるのに公的助成がありません。北欧などでは専門学校も無償です。国の責任で公的助成に着手します。

▼私立学校の豊かな発展をささえます
・もっと安心の就学支援金をきずきます
私立高校は入学金、施設整備費の重い負担があることに鑑み、就学支援金をひきあげ、実質負担をすでに一部の自治体で到達しているように、年収250万円以下でゼロ、年収800万円で10万円程度にするようにします。私学は公教育であり、ヨーロッパでは無償・低額です。全員の授業料部分の実質無償化(おおむね平均額36万円支給)、入学金と施設整備費の年収500万円未満世帯の全額無償化、奨学給付金の拡充などをすすめ、無償化に接近させます。

▼東日本大震災被災地の教育の復興、放射能・原発に関する教育
・「給付型奨学金」の創設などにより被災者の教育費や生活の心配をなくします
震災により保護者の生活基盤が破壊されたことは、進学の断念、生活の困窮によるネグレクトなど子どもに深刻な影響をあたえています。復興の大原則として生活基盤復活を求めるとともに、被災者への返済不要の「給付型奨学金」(程度に応じて月数万円から10万円)を創設、被災者への私立高校、専修学校・各種学校、大学等の授業料減免の拡充、被災地の給食費、教材費等を復興まで不徴収とするための国庫補助、保護者の生活を支援するスクールソーシャルワーカーを中学校区に最低一名以上配置など教育の面から子どもの教育費や生活の心配をなくす手立てをとるようにします。震災によって親を失い、孤児となった子どもへの支援の体制を拡充します。

社会民主党
・貧困の防止

・生存権を保障する生活保護制度の縮小を許しません。行政の対応を点検、改善するとともに、ケースワーカーの育成、増員、資質の向上に取り組みます。

・「健康で文化的な最低限度の生活」の底上げ、社会的セーフティネットの構築、ひとり親家庭への支援を強化し、貧困の連鎖を防止します。

■ワークライフバランス

自由民主党
・女性研究者・技術者が出産・子育て・介護等と仕事の両立ができるような働きやすい環境づくりを進めるとともに、研究機関等における女性研究者等の採用・登用等の活躍を促進します。

・「女性のチャレンジ応援プラン」を策定し、家事・子育て等の経験を活かした再就職の支援等を行うとともに、「働く女性の処遇改善プラン」を策定し、非正規社員の処遇改善や正社員化を支援します。

・地域の実情に応じた、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目のない支援」を推進するため、自治体による取組みを応援します。結婚や子育てを後押しするための新たな経済的支援制度を創設します。

・安心して子育てに取り組めるよう、自治体によるワンストップの子育て支援拠点(日本版ネウボラ)の導入を支援します。

・子育て家庭、働く母親の負担軽減のため、ベビーシッター費用や家事費用の支援策の導入を図ります。

・仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組む企業に対し、育児休業者の代替要員確保のための助成等のインセンティブを与え、企業風土の改革を目指します。

・女性アスリートを育成・支援するプロジェクトを推進します。女性アスリートの海外派遣や資格取得、妊娠・出産・育児をサポートします。

・子供が健やかに育つよう、また、若い世代が孤立しないで安心して妊娠・出産・子育てができるように、切れ目のない支援を行います。

・大学等における保育環境の整備、研究と出産・育児・介護等との両立や研究力の向上に向けた女性研究者の支援を図ります。

民主党
・子育て支援策の抜本的拡充、若い世代に対する結婚・出産支援策の強化により、「希望する人が安心して結婚、出産できる社会」をつくります。

・結婚、出産後の就業の継続・復帰を支援します。妊婦健診の公的助成を含め、出産費用を助成し、自己負担がほぼないようにします。不妊治療支援を拡充します。

・ひとり親家庭への支援、仕事と育児・介護の両立支援、「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)が実現できる環境整備を行います。女性の健康向上の支援、男性の育児参加の促進を図ります。

維新の党
・子育てサービスの成長産業化
・ワークライフバラランスの社会基盤をつくる。子育てと両立できる在宅ワークを推進する。
・出産・育児期に就労率の下がる日本独自の女性のいわゆる「M字カーブ」を解消。高齢者雇用率、女性雇用率を設定し、ペナルティよりも減税等のインセンティブで誘導する。
・地域の権限で多様な子育て支援サービスが提供できるよう規制改革を進め、女性が職場で働き続けられる環境と制度を構築する。
・子育てしながら働けるよう、駅ナカや駅チカで保育所オフィスを複合した「準・在宅ワーク」の拠点を整備する。 日本共産党
・子どもの成長を喜びあえる、だれもが安心して子育てできる社会をつくります
これから子どもを持つために必要な条件として一番多くの人があげているのは、「働きながら子育てができる職場環境」です。また理想の子ども数がもてない理由のトップは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」です(国立社会保障・人口問題研究所調査)。お金の心配なく、だれでも安心して子育てできる社会への願いは切実です。ところが安倍政権は、この願いに逆行する政治をおしすすめています。

・増えない給料、不安定な雇用、加えて安倍政権の2年間で、児童手当(旧子ども手当)の減額、高校授業料無償化への所得制限導入、生活保護の削減・制度改悪、そしてこの4月からの消費税8%への増税と、子育て世代を直撃する負担増・増税がつぎつぎに強行されました。働きたくても、保育所に入れない待機児童問題も解決されず、生活の困難、貧困と格差がいっそう拡大しました。子どもの貧困、児童虐待も増加しています。ますます日本は、子育てしにくい国、子どもを産みたくても産めない社会になっています。

・日本共産党は、子育て世代と子どもたちを苦しめる安倍政権の暴走をストップさせ、だれもが安心して子育てでき、子どもたちの健やかな成長を保障できる社会をめざします。安定した雇用と子育てしながら働きつづけられる条件整備、子育ての経済的負担の軽減など、社会全体で子育てを支える総合的な子育て支援をつよめます。最も困っている子どもと家族への支援を充実させ、子どもの貧困の改善をすすめます。

・子どもを安心して育てられる働き方、社会的条件をつくります

・長時間労働の改善、正社員化など子育てしやすい働き方のルールをつくります

・子育て世代の家庭にとって、働き方の改善は切実な願いです。異常な長時間労働が子育ての困難をひろげており、30代の男性で週60時間以上働く人は5人に1人、女性の長時間労働も増加しています。

・違法なサービス残業を根絶し、残業時間の上限を年360時間に法律で規制します。子育て期の労働者の時間外労働の免除、短時間勤務制度は小学校入学前まで、深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。安倍政権がすすめようとしている “残業代ゼロ”のホワイトカラー・エグゼンプションの導入や裁量労働制は、いっそうの長時間労働をおしつけるものであり、子育てしながら働きつづけることを困難にします。労働法制の大改悪を許しません。

・低賃金と不安定な働き方が結婚も子育ても困難にしています。青年と女性の半数以上がパートや派遣などの非正規雇用です。非正規雇用から正社員への流れをつくり、「期間の定めのない働き方」が当たり前の子育てしやすい社会をつくります。労働者派遣法を抜本的に改正して、派遣労働は一時的臨時的なものに限定し、均等待遇の原則にもとづき、労働条件の改善をすすめます。パート労働法を改正し、パート労働者への差別禁止、均等待遇を明記します。時給1000円以上への最低賃金の引き上げと全国一律最低賃金制の確立で賃金を底上げします。

・育児休業制度を改善し、非正規雇用労働者、男性の取得促進などをすすめます
育児休業制度を利用している女性は76%、男性は2%です。女性も男性も利用できるように、所得保障を父母それぞれに3カ月間は100%にする、保育所入所ができない場合には育児休業の1年以内の延長を可能にするなど制度の拡充をすすめます。代替要員確保の助成金の増額や助成期間の延長など中小企業への支援を充実します。

・非正規雇用の父母は、子どもが2歳になるまで雇用が続いていることが条件とされています。有期雇用をふくめ6カ月以上勤続している労働者すべてに対象を拡大します。

・子どもが病気のときの「子どもの看護休暇」は、学校行事への参加などにも使える「家族休暇」制度に拡充し、労働者1人10日に増やします。

・妊娠・出産や産休、育休制度を利用したことに対する解雇、嫌がらせなど。違法なマタニティ・ハラスメントをなくします。育休制度の利用による不利益取り扱いを許さず、原職復帰原則の確立、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。

・安心して妊娠・出産できるように経済的支援をつよめます

・妊婦健診は国の補助事業にし、どこでも同じように安心して受けられるようにします。高い出産費用は、若い夫婦にとって重すぎる負担です。現在42万円の出産育児一時金を大幅に増額します。風疹予防ワクチン接種費用への国による補助をすすめます。国保の出産手当金制度を「強制給付」にするなど休業中の所得保障、社会保険料免除などをすすめ、非正規雇用や業者、農業などを問わず、安心して産前産後休暇がとれるようにします。不妊治療への助成にたいする夫婦で730万円の所得制限の緩和、健康保険適用の拡大などをすすめます。

次世代の党
4. 世代間格差を是正する社会保障制度の抜本改革、徹底的な少子化対策
⑥ 扶養する子供の数が多いほど所得課税が少なくなるフランス型の世帯所得課税制度の導入、税制・年金制度において非婚化・晩婚化対策を実施、3人目以降の子供に特化した子育て制度改革

■放課後

自由民主党
・就学後の子供の預け先が見つからず、離職を余儀なくされる「小1の壁」打破のための「放課後子ども総合プラン」(平成31年度末までに約30万人分の受け皿拡大等)を着実に実施します。

・「子ども・子育て支援新制度」について来年4月に施行し、保育所・放課後児童クラブの待機児童の解消や保育等の質の改善に取り組みます。

・一体型の放課後児童クラブと放課後子供教室を1万ヶ所整備する等、「放課後子ども総合プラン」を着実に実施します。

・子ども・子育て支援の予算を増額し、新児童手当等により子育てを直接支援するとともに、待機児童の解消、仕事と育児の両立支援の充実のため、保育所・認定こども園・放課後児童クラブなどを拡充します。

民主党
・質の高い幼児教育・保育等を実現するため、保護者や地域の実情に応じて計画を立て、保育所定員の増員、放課後児童クラブなどの整備、職員の処遇や配置基準の改善等を進めます。病後・病児保育など多様な保育の提供に取り組みます。

公明党
・幼稚園と保育園の良さを併せ持つ「認定子ども園」の普及とともに、子どもを一時的に預かってもらう場(一時預かり)や放課後児童クラブの充実に取り組みます。あわせて、保育士・幼稚園教諭の処遇改善を図り、働き続けられる環境整備に取り組みます。

・学童保育の拡充、環境整備と指導員の待遇改善をすすめます

・子どもたちが放課後を安全に安心して過ごせる学童保育の拡充はいっそう切実な願いとなっています。学童保育数は、この5年間で1・2倍加し、2万2096カ所になり、93万人以上の児童が利用しています。しかし、なお「潜在的な待機児童」が約40万人と推測されており、必要数に遠く及びません。

・公的責任で学童保育を抜本的に拡充します。国の予算を大幅に増やし、学童保育の増設、大規模化の解消、施設・設備の改善、指導員の正規化・労働条件の改善、複数配置、利用料の軽減などをすすめます。2012年の児童福祉法の改定で、市町村は国の基準に基づいて設置運営基準を条例で定めることになりました。一歩前進ですが、従うべき基準とされたのは指導員の配置基準のみで、面積基準などは参酌基準です。専任で常勤の指導員の複数以上の配置、面積基準の確立をすすめるなど基準を引き上げ、地域格差の改善をすすめます。営利企業の参入促進は反対です。

日本共産党
・すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」などを拡充します。学童保育と一体化させるのでなく、それぞれ充実させつつ、連携強化をはかります。

■地域と学校、コミュニティスクール

自由民主党
・教員と多様な専門性を持つ地域のスタッフが一体となって学校改革を進める「チーム学校」づくりを進めるため、教育現場の体制の充実を図り、開かれた学校を核として地域力を強化します。

・自治体との連携強化等による土曜日の教育活動の充実・推進を図り、小中高あわせて1万2千校での実施を目指します。

民主党
・保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画するコミュニティスクール(学校理事会)の導入を促進します。

維新の党 ・公設民営学校の設置等、地方の発意で多様な教育のあり方を可能にする。

公明党 ・双方向型・課題解決型授業の導入など、子どもたちの創造性や主体性を伸ばす授業への転換を図るほか、チーム学校やコミュニティ・スクールなどの導入を積極的に進めます。

・また、少人数学級および少人数教育の一層の定着化や長期的な視点に立った教職員定数の計画的な改善に取り組むとともに、教員と学校現場の質の向上を図ります。

日本共産党
・子どもの豊かな成長を保障する地域づくりをすすめます。

・学校の一方的統廃合に反対します。政府は、教育予算削減のために学校統廃合の推進を打ちだしました。しかし、小規模な学校は子ども一人ひとりに目が行き届くなどの優れた面があります。そうした条件をこわし、子どもの通学を困難にし、地域の教育力を弱める、子どもの集中でマンモス化するなど子どもの学習権を後退させ、地域の文化、コミュニティの拠点を奪う、学校の一方的統廃合に反対します。安倍政権のすすめる「小中一貫校」構想は、学校統廃合をすすめ教育予算を抑制することがねらいです。しかも小学校高学年の自覚などこれまであった子どもの成長に有益なものが失われる、学校がマンモス化する、中学の管理・テストのしくみが小学校に拡大するなど多くの問題をかかえています。まともな教育効果の見通しのもないまま、経済効率のための「小中一貫校」に反対します。

社会民主党
・地域のことは地域で決める、分権・自治の推進
大企業優先のアベノミクスによる「地方創生」は、格差拡大と中山間地、小規模町村の切り捨てを加速させかねません。地域における安定雇用の創出とそれを支える自立的な地域循環型産業の構築、子育て支援や医療の充実など地域で安心して暮らすための生活インフラ拡充などを進め、地域から元気・安心・やさしさを再構築します。

■子どもの権利・尊厳

自由民主党
・虐待を受けた子供など保護を必要とする子供の早期発見や増加への対応、家庭的な環境で養育できる体制づくりを進めます。

民主党
・いじめ防止対策推進法の厳正な運用、「体罰等防止法」の制定を図ります。
・子ども虐待防止のため、さらなる支援を検討します。通学の安全

公明党
②いじめ・不登校対策
いじめ防止対策推進法等を踏まえ、いじめの未然防止や早期発見・対応等の一層の体制整備に取り組むとともに、インターネット上で行われるいじめへの対応や「いじめは悪」「いじめる側が悪い」という概念を学校現場で徹底する、いじめ防止教育を推進します。

・また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、養護教諭、児童支援専任教諭等の配置拡充を図り、いじめなどで悩む子どもたちが相談しやすい環境を整えるとともに、不登校支援施設・機関等への支援を拡充し、不登校の子どもたちが学びを安心して再開できる環境づくりに取り組みます。

日本共産党
▼いじめも体罰もない学校を
・いじめのない学校と社会を
私たちは、一昨年11月28日に、「『いじめ』のない学校と社会を――日本共産党の提案」を発表し、各地で懇談・対話を重ね、いじめや体罰問題のシンポジウムを開いてきました。被害者や関係者の声を正面から受け止め、①目の前のいじめからかけがえのない子どもの命と心身を守りきるとりくみ、②根本的な対策として、いじめの深刻化を教育や社会の問題ととらえ、その改革をすすめるとりくみを進めます。

・学校から体罰をなくします
肉体的な苦痛や恐怖で子どもを服従させることは、成長途上の子どもたちの体だけでなく、心に複雑で深い傷を残します。法律で明確に禁じられているにもかかわらず、少なくない学校で教員による体罰・暴力がいまだにあることは、日本の教育の重大な欠陥です。ところが自民党など政界の一部には、体罰・暴力を容認する潮流があります。自民党の国会議員は文部科学大臣政務官として、体罰による自殺事件があった大阪にわざわざ出かけ、「ありうる体罰とそうじゃない体罰の線引きが必要」と発言し、大きな問題となりました。日本共産党はこうした風潮を許さず、なぜ体罰がいけないのか、多くの人々と根本から考えあい、学校から体罰・暴力をなくすために全力をつくします。

▼不登校の子どもの学びと自立を温かく支援します
・不登校が11万人を超えているのは、日本の学校がいぜんとして息苦しい場となっていることを示しています。競争主義や管理的な社会や教育制度にこそ問題があるわけで、不登校を本人や家庭の責任ととらえることはまちがいです。むしろ子どもが安心して過ごせる代替え的(オルタナティブ)な場が必要になっています。安心できる応答的な人間関係、創造的に学べる教育が保障されることが大切です。そうした場は、学校教育にもよい影響を与えます。

・「不登校ゼロ作戦」など学校復帰を前提とした、子どもや親をおいつめる施策をやめさせ、学校以外の学びの場をきちんと認めます。相談しやすい窓口を拡充するとともに、親の会、フリースクールなどの支援団体や家庭への公的支援をつよめます。子どもの「最善の利益」の立場から、学校復帰より一人ひとりの子どもの学びと人間的自立を優先させ、そのための様々な場での教育にたいし、学校と同等の公的支援をめざします。

▼上からのしめつけをやめ、子どもの権利と教育の自由と自主性を保障します
・先生が子どもの声に耳を傾け、保護者ともコミュニケーションをとりながら、創意工夫しながら教育をすすめる――このことは人間的な教育にとって不可欠な条件です。ところが、長年の自民党型の「教育政策」は、こうした教育の自主性を敵視し、教育を政治の言いなりになるように、上意下達の学校運営を押し付けてきました。しかも東京や大阪では、教育への政治的介入が露骨なかたちですすめられ、「君が代」の口元チェックなど人間性を疑うようなことまでおきています。私たちは、こうした教育への統制をやめ、子どもの権利と教育の自由と自主性を大切にします。

・子どもをしめつけず人間として大切にする学校を
学校は何よりも子どもたちの成長・発達のためにあるものです。ところが行き過ぎた決まりごとや校則、「許容度ゼロ」の容赦ない生徒管理で、子どもをしめつける学校がひろがっています。そうした傾向を克服し、子どもの権利の保障を学校運営の中心にすえます。

・学校の安全対策をすすめます。「学校災害給付」件数は年間200万件に増加し、学校での事故や犯罪から子ども、教職員らの生命を守る仕事は急務です。ところが国の施策は、通達を出すだけの「通達行政」「手引き行政」の枠をでず、学校安全対策はきわめて不十分で「指導死」などの悲しい事件がつづいています。「安全配慮義務」を明記するなど、子どもの「安全に教育を受ける権利」を保障する「学校安全法」「学校安全条例」の制定を支持するとともに、不審者対応を含めた安全対策のための専門職員配置や施設の改善をすすめ、住民の自主的なとりくみを支援します。

・学習指導要領の強制性のない「大綱的基準」とします。現在の指導要領は国の強い関与のもとで一部の考えだけでつくられ、過密カリキュラムで「落ちこぼし」をふやす、内容的にも科学性や系統性に欠けるなど多くの問題をかかえています。にもかかわらず「法的強制力」があるとされ、スピード授業、創造性のない画一的な授業をしいる原因となっています。学習指導要領の内容を、研究者や教職員、保護者など国民参加で抜本的に見直すとともに、その強制性をあらため、戦後直後のように「試案」と明示し、子どもの状況や学校・地域の実情に即した教育課程を自主的につくれるようにします。子どもをふるいわけ、人間として傷つける危険のつよい習熟度別学習の強制に反対します。

・性教育への介入に反対します。性教育は、子どもを人間として大切にしようと、専門家や保護者らの努力ですすめられてきました。ところが、自民党や民主党などの国会・地方議員が、性教育の実践をゆがめて描き、一方的な攻撃をおこない、行政が教材を奪う、不当な処分をするなどの事態がひきおこされました。これらの政治介入は、違法な「教育への不当な支配」だと判決が下りましたが、政治勢力による、マスメディアも動員した性教育バッシングを行うなかで、現場の柔軟なとりくみが萎縮させられています。こうした政治的介入をゆるさず、子どもたちに科学と人権をベースに、体や心の仕組みや発達、性のちがいや多様性などを伝え、自己肯定感情をはぐくむ、自主的な性教育を尊重します。

・子どもを傷つける教員には、子どもの成長する権利を保障する立場から毅然と対処するとともに、問題をかかえる教員の人間的な立ち直りを促す支援を重視し、そのための人員配置などの支援策をとります。「不適格教員」のレッテル貼りや「草むしり」「密室に座らせ続ける」などの「指導力改善研修」は、教員を追いつめるものであり、改善をもとめます。

・教育委員会を住民自治の教育機関として改革します
教育委員会はほんらい教育の自主性を保障するため、一般行政から独立した権限をもち、その意思決定は官僚でなく住民の代表である教育委員の手に委ねられているものです。しかしその制度は形骸化し、国の言いなりに学校をしめつけたり、大津市のいじめ自殺の隠ぺいなど「組織防衛」に走るなど、子ども不在の実態がひろがっています。(1)教育委員たちが保護者、子ども、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし、改善する、(2)会議の公開、教育委員の待遇改善や支援、教育への見識や専門性をもつ人物の確保など、教育委員会の役割が実際に果たせる体制をつくる、(3)政治的介入から教育の自由と自主性を守る、(4)憲法と子どもの権利条約の立場にたって行政を行う、(5)教育委員の公選制などの抜本的な改革を国民的合意の下ですすめるという五つの方向で改革をすすめます。

・児童虐待の防止対策を強化します
・格差と貧困のひろがりを背景に、2013年度に全国207か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は73,765件(速報値)で、過去最高を更新しています。児童虐待の防止、早期発見、子どもと親への専門的な支援などの独自の施策をつよめます。早期発見で子どもを守るために、保育所や学校、病院、児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関の連携をはかるとともに、職員の専門的な研修をつよめます。相談支援体制を充実させるために、児童相談所の増設、職員の抜本的な増員と専門性向上のための研修の充実、一時保護施設や児童福祉施設の整備増設、設備や職員配置の改善をはかります。虐待を受けた子どもへの専門的なケア、親にたいする経済的、心理・医療的、福祉的な支援をつよめます。

・児童養護施設、里親制度などの整備・拡充すすめます

・経済的、社会的事情をもった親が子育てできない状況におちいったり、予期せぬ妊娠に悩んだ時に、身近に相談できる体制を整備します。

・児童福祉行政の中核的役割を担う児童相談所は全国で207カ所、乳児院は130カ所しかありません。児童相談所や児童福祉施設、小児病院や保健所、子育て支援センターなどが連携して、親が育てられるための支援をつよめるとともに、困難な場合の受け入れ施設の拡充をすすめます。

・児童養護施設などの国の最低基準を旧民主党政権が廃止し、自治体まかせにしてしまいました。国の責任で職員配置や施設整備の改善、小規模化、家庭的養護の推進を急ぎます。施設に暮らす子どもたちの教育、進学への支援をつよめます。里親制度は子どもたちを家庭的環境で育てるために重要な制度です。いっそうの拡充をはかり、里親への支援や研修の充実、制度の周知をすすめます。

6、子どもの権利条約の立場を政治と社会につらぬきます
・今年で日本が子どもの権利条約を批准して25年です。日本政府は、子どもの権利条約を批准国しているにもかかわらず、子どもたちの権利を守る立場にたった施策があまりにも不十分です。過度の競争をあおり、管理をつよめる教育をただちに改善するとともに、子どもたちの声に耳を傾け、子どもの権利を守る社会、人間らしい安定した雇用、社会保障や福祉の充実など、社会全体のあり方を変えて、子どもたちがストレスを抱えて自己肯定感も将来への希望も持てないような事態をなくしていかなければなりません。

・いまほど、子どもの命と健康をまもりぬき、一人ひとりの子どもが真に大切にされる社会、将来に希望がもて、安心して子育てできる社会へ、子どもの権利条約の立場で、子どもと子育てをめぐる問題を見直すことが求められているときはありません。政府と社会が「子どもの最善の利益」のために、福祉、教育、文化、子育て支援の充実を最優先にはかることは、国際的には当たり前のことになっています。子どもの権利条約を社会のすみずみに実現するための国民の共同をひろげます。

社会民主党
・地域に子どもの相談・救済など、子どもの人権擁護の仕組みを。「子どもの権利基本法」を制定。

・虐待による子どもの死亡、居所不明児童・乳幼児の問題なとの深刻化に対応するため、早急に児童相談所の職員配置を拡充し機能強化。

・いじめを許さず、共に学び共に生きる、ゆとりある学校を実現。教育予算のGDP5%水準を実現。子どもの貧困の実態を調査し包括的な取り組みを計画的に強化。さまざまな困難を抱える家庭に対する支援体制を整備。自立支援ホームに対する公的支援を強化。就学援助の保障、給付型奨学金を創設。

担当: 林 寛平(信州大学教育学部)
学生: 飯島香純、大木健晴、森下結衣、加地里帆子、山田真由美

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