※この記事は2014年08月15日にBLOGOSで公開されたものです

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全国戦没者追悼式では遺族を代表して、牧野笑子さん(愛知県豊橋市、88歳)が追悼の言葉を述べた。夫、義逸さんは昭和19年7月、マリアナ諸島サイパンで戦死している。

追悼の言葉

本日ここに、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、各界の代表をはじめ、全国各地から遺族代表が集い、全国戦没者追悼式が挙行されるにあたり、戦没者の遺族を代表して、謹んで追悼の言葉を申し上げます。

本日8月15日、私たち遺族にとりまして忘れることのできない日、今年も迎えました。
先の大戦において、祖国の平和と発展、家族安泰を念じながら、戦場に散り、戦火に倒れ、あるいは戦後、異郷の地において還らぬ人となられたご英霊のご無念、苦しみを思うとき、尽きることのない悲痛な思いが胸にこみ上げてまいります。

いま、ご英霊の皆様と過ごしてきた日々の一コマ一コマが走馬灯のように思い起こされ、往時の姿が瞼に浮かびます。
喜びを分かち合い、美しく、悲しむとも涙を流して過ごした、あの時、この時が思い出され、胸がいっぱいでございます。
最愛の肉親を失った私たち遺族の悲しみは、言葉では語り尽くせないほど、深く切ないものでございます。
残された私たちは、深い悲しみに耐え、励まし合い、助け合いながら、遺族としての誇りを持ち、幾多の苦難を乗り越えて懸命に生き抜いてまいりました。

戦後、わが国は国民の皆さんの叡智とたゆまぬ努力により、荒廃の中から立ち上がり、平和で豊かな社会を築き上げて参りました。 しかし、現在私たちが享受しております平和と繁栄は、戦争によって図らずも命を落とされた方々の尊い犠牲に築かれていることを忘れてはなりません。

政府が8月15日を「戦没者を追悼し平和を祈念する日」と制定されましたことはまことに意義の深いものと思います。
本日は多くのご来賓をお迎えし、厳粛に追悼式を挙行していただき、御霊に捧げて下さいまして、お心のまことに有難く、また私たち遺族にとりましても無上の慰めでございます。遺族一同に代わりまして、心よりお礼を申し上げます。

ここに、新たに、過去の悲惨な戦争から学んだ教訓と平和の尊さを次の世代にしっかり伝え、この悲しい歴史を二度と繰り返さないことをお誓い申し上げます。

終わりに、ご英霊のご冥福と祖国日本の平和を祈念しまして、追悼の言葉と致します。

平成26年8月15日

全国戦没者遺族代表・牧野笑子

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