男を見る目がない女性が「ダメンズ呪縛」から抜け出す方法
こんばんは。イラストレーターのトモマツユキです。
「次こそやさしくてすてきな男性に出会う!」と思っていたはずなのに、なぜか付き合う男性はダメンズばかり……なんて、人いますよね?
ダメンズにもいろいろ種類はありますが、中でも毎回浮気されるとか、既婚者ばかり好きになってしまうなんてお悩みは多いのではないでしょうか?
今回は、そんな男を見る目がない女性に見てほしい映画『アパートの鍵貸します』をご紹介します。
■白黒であることを忘れる面白さ
『アパートの鍵貸します』は、1960年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。
この映画を手がけるビリー・ワイルダー監督の作品の中でも『アパートの鍵貸します』は、名作中の名作なのでご存知の方も多いと思いますが、もしかしたら白黒映画に苦手意識を感じて、観たことがない方もいるかもしれません。
しかし、コントみたいな大袈裟な動作がクスッと笑えて、ウィットに富んだ会話や演出はいつ見ても色褪せない面白さ。気づけば白黒であることを忘れてしまう作品です。
■憧れの女性の恋のお相手は……
さて、映画のストーリーをご紹介します。
主人公は、大手保険会社に勤める平社員のバクスター(ジャック・レモン)。
彼は、自宅のアパートを4人の上司に時間単位で貸すという不思議な行動を取っています。
そんな行動を取る理由、それは上司が不倫相手と逢引きする場所を提供するためだったのです……!
バクスターは3万人以上の従業員がいる超大手会社で働いていて、出世するのは至難の業。上司に部屋を貸す見返りに昇進の話を持ちかけられ、ついつい部屋を貸してしまいます。
そのせいで、本人は自宅のアパートになかなか帰れず、近隣からも女を取っ替え引っ替え連れ込んでいると勘違いされて困っているものの、昇格のためにこのような行動を取ってしまうのでした。
そんなバクスターですが、会社での唯一の楽しみは、恋い焦がれるエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)と話すこと。社内でも人気の彼女は高嶺の花でした。
そんなある日、妻子持ちの人事部長・シェルドレイク(フレッド・マクマレイ)もバクスターの部屋を貸してほしいと言い出します。
その見返りとしてバクスターはスピード出世で課長補佐に昇進!
その勢いで憧れのフランをデートに誘います。
最初は「約束がある」と誘いを断るフランですが、バクスターの熱弁に負けて、「約束している人に会った後に行く」とOKするのですが、実はフランが約束している相手は、バクスターのアパートを借りたシェルドレイク部長で……⁉︎
■自分を客観的に見るために
自宅をラブホ代わりに人に貸すという、今の日本では考えられない設定のコメディ映画なのですが、お偉いさんが会社の女性に手を出していたり、いつか振り向いてもらえると信じて不倫から抜け出せない……という話は、残念ながら60年以上経った今も変わらず聞く話ですよね。
私が今回この映画を選んだ理由は、ダメンズに引っかかってしまう人は、ダメな恋愛を繰り返してしまう理由を客観的に見る必要があると思ったからです。
主人公のバクスターは明るくていいやつではあるのですが、ラクして出世しようとしているし、上司に良いように使われている男。人によってはダメンズと思う人もいるでしょう。
一方、シェルドレイク部長は権力を振りかざして人事を自由に動かせるし、妻子持ちなのに会社の女の子に手を出している明らかなダメンズ。しかし、権力と妻子持ちの余裕からか、言い寄られたら魅力を感じてしまう人もいるのかもしれません。
対照的な二人のダメンズと三角関係になるのが、エレベーターガールのフラン。頭ではシェルドレイク部長と別れた方が良いとわかっているのですが、「妻と離婚する」という話をチラつかせられると真に受けてしまいます。
ダメンズの毒牙にかかってしまったフランは、バクスターの行動が、これ以上フランが傷つかないためのやさしさということに、なかなか気づけません……。
私は不倫から抜け出せない人や、何度も浮気されてしまう人って、真面目で純粋だからこそ相手の言葉を真に受けてしまうのではないかと思います。
でも、世の中的にダメなことや、相手の悪い部分を見ないフリしていると、自ら相手をダメンズに育ててしまうこともあるんですよね。
そして、ダメンズを好きな間は、自分のことを大切にしてくれる存在がいたとしても、その人に気づけないかもしれません。
好きになってしまうと周りの声が聞こえなくなってしまうものですが、映画の登場人物に自分を置き換えてみると、少し客観視できて、現状から抜け出す方法が見つかるかもしれませんね。
■思い切っていつもと違う選択を
この映画はダメダメな登場人物たちの物語で、思い詰めるシーンもあるのですが、主演のジャック・レモンの演技が憎めなくてとても面白いコメディです。あれこれ考え込んでしまう時の気分転換にぴったりな作品です!
途中、カードゲームで遊ぶシーンがあるのですが、恋愛も引いてみるまで何が出るかわからない、カードゲームのようなものですよね。
いらないカードは捨てて、新しいカードを取る。同じ失敗を繰り返さないためにはいつもと違うところからカードを取ってみるのも良いかもしれませんね。
(文・イラスト:トモマツユキ)