英字新聞こそ最強の英語学習メディア。その活用方法とは?(写真:emi-chiki/PIXTA)

翻訳およびインターネットマーケティングの会社を運営する傍ら、メールマガジン「毎日1分!英字新聞」を発行している石田健さん。2000年9月に発行を開始し、今年でなんと22年目になります。平日毎日発行していて、購読者数は7万人を超えています。

世界最大級のメールマガジンポータルサイト「まぐまぐ!」によると、英字新聞を題材にしたメールマガジンとしては日本最大、英語カテゴリでも全体の2位。

石田さんは一貫して、英字新聞こそ最強の英語学習メディアといいます。その活用法や勉強のコツを、最新刊『1日1分!英字新聞 2022年版』からご紹介しましょう。

英字新聞は最強の英語学習メディア

英字新聞は政治、スポーツ、芸能などなど、さまざまなニュースを扱います。読んでいて飽きることがありません。英語学習は継続することが大事ですから、飽きないというのはとても大事です。しかも、そこで使われているのは最新の時事英語・英単語ですから、使える英語力が自然に身につきます。

読んでいるととてもためになる情報を見かけます。これは保存しておきたい記事だ、と思うことがあります。昔は新聞や雑誌記事のスクラップ帳なるものがありました。今でも探せばあるのでしょうけれど。英字新聞を切り抜いてノートなどに貼りつける作業は、このテクノロジーが進化した時代、考えただけでも面倒です。

そんなときは、スマホで気になる記事を撮影しましょう。片面1ページをすべて撮影しても、親指と人差し指で簡単に拡大して読むことができるのです。

こうやって英字新聞から気になる記事を撮影し、スマホの「写真」の中に「英字新聞」という自分だけのフォルダを作れば、自分だけの英語学習ツールができ上がります。

これを手元に英字新聞がないときに開いて読み返すのです。1年続ければ、英文読解力は飛躍的に向上しているはずです。ぜひお試しください。

最新刊『1日1分!英字新聞 2022年版』は、いわば、私のスマホに保存している写真フォルダ「英字新聞」を紙に再現したものです。

2021年1月から12月までの記事の中から、「英語学習に役立つ」「バラエティーに富んでいる」という2つの視点から厳選しました。今回は、本文から3本の記事をご紹介します。

話題になったあのニュースが、英語だとこういう表現になるのか、と楽しんでください。

話題になったあのニュースが英語だと…

実際にお読みいただく前に、記事の構成をご説明しましょう。まず、英文。そこに「単語CHECK!」「訳出のポイント」「和訳」「今日のポイント」を加えています。

「訳出のポイント」では、押さえておきたい文法事項や和訳のヒントを、わかりやすく解説しています。「今日のポイント」では、英字新聞頻出の時事英単語やちょっとわかりにくい文法事項など、英語学習の視点から特に大事なところを解説しています。

1本の記事を読むのに、最初は5分以上かかるかもしれません。それでいいんです。

少しずつでいいので、最後まで読み進めてください。さあ、目くるめくイングリッシュ・ワールドを私と一緒に冒険しましょう!

Facebookのニュースから

Facebook Announces New Audio Features
Facebook announced it will roll out a series of audio features including Live Audio Rooms
that allow users to listen and participate in live conversations.
Apr21, 2021

単語CHECK!
audio feature(s) 音声機能
roll out 〜の提供を開始する
a series of 一連の〜
including 〜を含めて
allow 〜 to V 〜に…することを許す
participate 〜に参加する
live conversation 生の会話、目の前の会話

訳出のポイント
● feature はもともと目立つような「特徴」「特色」を意味する名詞。ここから、装置などの特色となる「機能」「性能」を指す単語としてもよく使われます。今日の場合は audio features で「音声機能」ということですね。

● allow 〜 to V は「〜に…することを許す」→「〜が…できる(ようにする)」という意味なので、allow users to listen and participate in live conversations の部分は「ユーザーに生の会話を聴いたり、参加したりすることを許す」→「ユーザーが生の会話を聴いたり、参加したりできる」となるわけです。

対訳
「フェイスブック、新たな音声機能を発表」
フェイスブックが、一連の音声機能の提供を開始することを発表した。それらには、ユーザーが生の会話を聴いたり、参加したりできる Live Audio Rooms(ライブ・オーディオ・ルームズ)も含まれるという。
2021年4月21日

今日のポイント:英字新聞でよく見る表現roll out

roll out 〜は直訳すると「〜を転がして出す」。ここから、英字新聞では新製品、新サービスなどを「発表する」あるいは「(提供を)開始する」という意味でしばしば使われる表現となっています。そこで、roll out a series of audio featuresの部分は「一連の音声機能の提供を開始する」ということですね。そして、続く including 以下ではその“一連の音声機能”に“含まれる”ものが説明されています。

対訳では、この部分を独立させて「(それらの音声機能には)ユーザーが生の会話を聴いたり、参加したりできるLive Audio Rooms『ライブ・オーディオ・ルームズ』も含まれる」としています。

コペンハーゲンは世界一……?

Copenhagen Named World’s Safest City for 2021
Denmark’s Copenhagen has been named the world’s safest city for the first time, according
to the Safe Cities Index 2021. Tokyo, which had stayed on the top of the list for the last three
times, dropped down to fifth place.
Sep28, 2021

単語CHECK!
be named 〜に選ばれる
stay on the top トップの座を維持する
for the last _ times 過去_回にわたって
drop down to _th place _位に落ちる

訳出のポイント
● stay on the top of 〜は「〜のトップにい続ける」「〜のトップの座を維持する」という意味。そこで、本文第 2 文の文頭、Tokyo, which had stayed on the top of the list for the lastthree times の部分は「過去 3 回にわたってリスト(=ランキング)のトップにい続けた東京」→「過去 3 回にわたってランキングトップの座を維持していた東京」。

● list は ranking list「ランキングリスト」「ランキング表」の意味、つまり日本語の「ランキング」「ランク」に当たる英語表現としてよく使われます。

● drop down は「下へ落ちる」という句動詞。drop down to _th place で「_位に落ちる」「_位にダウンする」「_位に後退する」という表現になっています。

対 訳
「2021年版、世界一安全な都市はコペンハーゲン」
2021 年の Safe Cities Index(セイフ・シティズ・インデックス)によると、デンマークのコペンハーゲンが初めて世界で一番安全な都市に選ばれた。過去3回にわたってランキングトップの座を維持していた東京は5位に後退した。
2021年9月28日

今日のポイント:動詞としてのname

「名前」「姓名」を意味する名詞としておなじみの基本単語name。英字新聞では動詞としてもしばしば使われるので、押さえておきましょう。

動詞 name は本来「〜に名前をつける」「〜を命名する」の意です。ここから、「〜の名前をあげる」→「〜を指名する」→「〜を選ぶ」という意味でも使われるわけです。

この場合、受動態で用いられる場合も多く、be named 〜で「〜に選ばれる」となっています。今日の記事でも has been named the worldʼs safest cityで「世界で一番安全な都市に選ばれた」ということですね。

大谷翔平選手のニュースでは……

Angels Shohei Ohtani Is Unanimously AL MVP; First Two-way Player to Win
Los Angeles Angels’ two-way superstar, Shohei Ohtani, who came off a sensational, almost
unprecedented 2021 season, was unanimously named the American League’s Most Valuable
Player on Thursday.
Nov19, 2021

単語CHECK!
unanimously 満場一致で→満票(選出)で
two-way player 二刀流選手
come off  〜を達成する
sensational  素晴らしい
almost unprecedented  ほぼ前代未聞の、前例のない

訳出のポイント
● MVPは日本語にもそのまま浸透していますが、most valuable player「最優秀選手」の略ですね。

● unanimously は意見、票、決定、合意などにおいて「満場一致で」「全員一致で」という副詞。今日の場合は、MVP を決める投票で「満票で」という意味になっています。

● two-way はもともと「2方向の」「両方の」「両用の」「双方向の」などという意味の形容詞。two-way player は投手としてもバッターとしても優れた野球選手や、攻守双方に優れたバスケットボール選手などいわゆる「二刀流選手」に当たる表現になっています。大谷選手はまさに two-way superstar「二刀流の大スター(選手)」ですね。

対 訳
「エンゼルス大谷翔平が満票選出でア・リーグ MVP、二刀流選手としては初」
ロサンゼルス・エンゼルスの二刀流大スターで、ほぼ前代未聞の素晴らしい成績で 2021年シーズンを終えた大谷翔平選手が木曜日、アメリカン・リーグの MVP(最優秀選手)に満票で選出された。
2021年11月19日

今日のポイント:さまざまな意味を持つcome off


come off はさまざまな意味で使われる成句。今日の場合は、「〜を達成する」「〜(という結果)で終える」という意味合いで用いられています。

そこで、[,]ではさまれた who came off a sensational, almost unprecedented 2021 season の部分は「素晴らしくて、ほぼ前代未聞の 2021年シーズンを達成した(エンゼルス大スターの大谷翔平選手)→「ほぼ前代未聞の素晴らしい成績で 2021年シーズンを終えた(エンゼルス大スターの大谷翔平選手)」というわけですね。