19歳で州電力局に就職した結合双生児の2人(画像は『The Daily Star 2021年12月25日付「Conjoined twins abandoned by their parents get their first job - with two salaries」(Image: Tangy Tales/YouTube)』のスクリーンショット)

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2歳で両親に捨てられた結合双生児の兄弟がインド、パンジャーブ州の電力局に就職した。19歳の2人にはそれぞれに給与が支給されるそうで、『NDTV』などが喜びの声を伝えた。

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インドのパンジャーブ州に住むソナさん(Sohna)とモナ・シングさん(Mohna Singh)は2003年6月、ニューデリーで誕生した。2人はそれぞれに心臓、腕、腎臓、脊髄を持ち、肝臓、胆嚢、脾臓と2本の脚を共有する結合双生児だった。

医師は当時、「双子を分離すると1人が亡くなってしまう可能性が高い」と分離手術をすることを拒否、2人は生後2か月の時に両親に捨てられ、アムリトサルにある「ピンガルワラ慈善団体(Pingalwara Charitable Society)」が運営する貧困家庭の子供たちのためのシェルターで育った。

そんな2人が19歳になり、アムリトサルの「パンジャーブ州電力公社(Punjab State Power Corporation Ltd、PSPCL)」で電気技師として働き始めた。電子工学のコースを修了した2人は、それぞれが月1万インド・ルピー(約15300円)の給料を手にすることになり、「夢の仕事を得た。州政府が自分たちの才能を認めてくれたことに非常に感謝している」と話している。ちなみにインドの大卒の初任給は約4〜5万円だという。

PSPCLの首席事務次官ベヌ・ プラサド氏(Venu Parsad)は、双子の採用には障害者雇用枠を使ったことを明かし、「2人がトレーニング施設を訪れた際の、技師としての技量は目を見張るものがあった」と称えている。

また2人の雇用を受け、慈善団体のある教師は「2人は幼い頃から電気器具に興味を示し、施設の電気製品などに関わる小さな問題を修理しようと常に努力してくれた」と語った。また印ピンガルワラ慈善団体の会長インドラジット・カウル氏(Inderjit Kaur)は「ソナとモナが政府機関に就職できたことは私たちみんなの誇りである」と述べ、喜びを露わにした。

一方でモナさんは「自分たちを育ててくれた施設と、独立できるよう手を差し伸べ、教育してくれた恩師には心から感謝している」と笑顔を見せ、ソナさんは「僕たちは誠心誠意、一生懸命働くよ」と心意気を語った。

なお2人の職場までの交通費は地区の赤十字社が負担することを公表しており、このニュースには「2人を支えてくれている人々に感謝!」「こういうニュースは本当に嬉しい」「彼らのひたむきで前向きな姿勢は見習うべきものがある」「よくやった!」といった温かいコメントが寄せられている。

ちなみにタイで、祖父母と一緒に暮らす12歳のピンちゃん(Pin)とパンちゃん(Pan)姉妹も「分離しない」決断をした結合双生児だ。最近のメディアのインタビューで2人は「一生懸命勉強して仕事を見つけたい」と語っており、ソナさんとモナさんの嬉しいニュースにきっとインスパイアされていることだろう。

画像は『The Daily Star 2021年12月25日付「Conjoined twins abandoned by their parents get their first job - with two salaries」(Image: Tangy Tales/YouTube)』『NDTV 2021年12月23日付Twitter「Conjoined twins, Sohna and Mohna, bag a job in the Punjab State Power Corporation Limited.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)