2021年は東京五輪の交通対策として、期間中の首都高で一律1000円値上げが実施されました。他方、外環道など周辺道路では同期間中、交通規制も相まって激しい渋滞に。さらに2022年は、首都高で上限料金の引き上げが実施されます。

2021年はロードプライシング元年だった

 2021年は、高速道路における変動料金制、いわゆる「ロードプライシング」が“値上げ”の方向で初めて行われました。夏の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中、交通対策として首都高料金の一律1000円値上げが実施されたのは、記憶に新しいところです。

 昼間(6〜22時)に首都高の主に都内区間を利用するマイカーなどへ、一律1000円を加算。普通車の下限である300円区間の利用でも、1300円が徴収されました。反対に夜間(0〜4時)は、首都高全線で料金が5割引になりました(ETC車限定)。


外環道 川口JCT〜草加IC間(画像:NEXCO東日本)。

 オリパラが無観客で開催されたこともあり、交通対策として料金上乗せを実施する意義を疑問視する声もありましたが、ふたを開けてみれば、首都高はガラガラに。期間中に開催された国土交通省の委員会で、「平日昼間の首都高が渋滞しないなんて、普段は考えられない」と話していたのが印象的でした。

 この効果には全国の知事も驚いたのか、8月20日の知事会では、新型コロナの流行下で、人流の抑制策として高速道路の料金上乗せの検討が提言されたほどでした。

 一方、そのしわ寄せは外環道をはじめ首都高の周辺の道路に。料金上乗せ初日の7月19日には、ツイッターで「外環の渋滞エグい」などといった投稿が相次ぎました。首都高の利用を控えたクルマが外環道へ移行したためとも見られていますが、これには、都心方面への流入抑制を目的に実施された車線規制などの影響も大きかったようです。

2022年に再来か 首都高の上限料金引き上げ

 2022年は、もしかすると、この「首都高ガラガラ/周辺道路は混雑」に近い状況が再来しないとも限りません。というのも、4月から首都高の上限料金の引き上げが実施されるからです。

 現行で普通車1320円(東名と横浜北西線を連続利用した場合を除く)に設定されている上限料金が、普通車で1950円まで引き上げられます。これまでは1320円分以上走っても、それを上回る金額にならなかったのが、1950円分まで加算されるように。なお、現金利用の場合は区間によらず1950円が適用されるので、実質的な値上げになります。

 ふだん1320円以上走らない人には関係ないものの、長距離を走る人には影響が小さくありません。軽・二輪は上限1590円ですが、特大車に至っては5080円となるなど、車種ごとの上限料金の差も大きくなります。

 一方で、20%の深夜割引(0〜4時)が新設されるほか、業務車向けの割引も拡充されます。首都高速道路としては、上限料金の引き上げ分と、割引の拡充とでトントンになる計算だそうです。


首都高で新たに深夜割引も導入される。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 国としては、長距離を走ると割安だった首都高の上限料金を引き上げることで、NEXCOの料金体系に近づけ、公平な料金を実現する狙いがあります。そのうえで視野にあるのが、混雑状況などに応じて機動的に変動する料金、つまり本格的な「ロードプライシング」の実施です。

 首都高の上限料金を引き上げることで、周辺道路へはどのような影響が出るのか、4月1日からの推移が注目されます。