51年前の12月26日、京阪の5000系電車が営業運転を開始しました。

すし詰め電車の乗降をスムーズに


京阪5000系電車(画像:京阪)。

 1970(昭和45)年の12月26日。京阪の5000系電車が営業運転を開始しました。この車両で京阪では初めてアルミ車体が採用されました。

 この車両の最大の特徴は、日本初であり唯一の「可変5扉車」であること。ラッシュ時の乗降をスムーズにして遅延を防止するための試みでした。ラッシュ時以外は5扉のうちの2つは閉鎖され、座席が設置されています。しかし扉使用時は座席がドアの上まで昇っていくという、唯一無二の仕掛けになっていました。

 ラッシュ対策に1車両あたりのドアを増やすという試みは、東京メトロ日比谷線の03系や、JR山手線の205系などでも採用されました。しかしいずれも「一部の車両のみ多ドア」であり、ましてや座席が昇降するギミックは京阪以外の車両にはありませんでした。

 ちなみに、小田急1000形や東京メトロ東西線05系などは「ドアの幅を広くする」という発想を用いています。

 一世を風靡した5000系でしたが、ホームドア設置にネックとなっていたため、デビューから半世紀が過ぎた2021年1月29日に5扉の運用が終了。「椅子が昇り降りする」風景は見納めとなりました。

 そしてこの運用終了を見届け、京阪は駅へのホームドア設置に本格着手していきます。最初の運用開始は2022年1月30日、京橋駅1番ホームとなる予定です。