強制保険の「自賠責」があるのにナゼ? クルマで「任意保険」が必要な理由を「わかりやすく」解説!
この記事をまとめると
■日本の公道を走る乗り物には自賠責保険への加入が義務付けられている
■任意保険は自賠責保険でカバーできない部分を補償する設計となっている
■自賠責保険には対人以外の補償はなく、対物は任意保険でカバーする必要がある
自賠責保険の対人補償は最大3000万円まで
原付バイクから大型バスまで、日本の公道で人力以外を用いて走る車両は、すべて自賠責保険に加入する義務がある。その一方で、多くのユーザーは任意保険にも加入している。自賠責があるなら二重に保険に入らなくてもよさそうなものだが、任意保険への加入が推奨される理由とはどんなものなのだろうか。
その疑問は、自賠責保険の補償内容を知れば氷塊する。
シンプルに記すと、自賠責保険というのは対人事故における相手方への補償だけの保険であり、基本的には被害者救済の意味合いが強い。
具体的には、以下にあげる3つの補償内容しかない。
傷害による損害補償(治療費など):限度額120万円
後遺障害による損害補償:限度額4000万円
死亡による損害補償:限度額3000万円
とはいえ、被害者への補償が自賠責保険の限度額内で収まるとは限らない。後遺障害や死亡についての補償が裁判の末に億単位となってしまうこともある。そうなると、自賠責保険でカバーできない分は自己負担となってしまう。
そこで任意保険に加入しておく必要があるという話につながる。
任意保険の対人補償というのは、あくまでも「自賠責保険の支払額を超える部分」についてカバーするという仕組みになっている。任意保険に入っているから自賠責保険に加入しなくてもいいというわけにはいかないのだ。
たとえば、死亡事故を起こしてしまい被害者遺族に1億円の補償をするとして、3000万円は自賠責保険から、残り7000万円が任意保険から支払われるということになる。逆にいえば3000万円以下の補償金で適切と判断された場合は、任意保険からの支払いは不要だ。
それでも、それなりの交通事故を起こした場合は、任意保険からは他の補償が支払われていることが大半だろう。
万が一の事故で自分を守るためにも任意保険に加入すべき
ここまで記してきたように自賠責保険は対人の補償のみである。自分を含めた搭乗者や車両、またぶつけてしまった相手の車両や各種設備など対物賠償といった補償は任意保険でカバーするほかない。
たとえば自損事故でガードレールに接触してしまったようなケース。ガードレールの修理は、ぶつけてしまったドライバーの責任であって、10万円以上の修理代が請求される。まして電柱や信号機などを倒してしまうと100万円単位での請求がやってくる。
もし任意保険に入っていないとすれば、全額自己負担となってしまう。そんな高額な補償をいきなり言われても現実的に払えないというドライバーも少なくないだろう。
さらに店舗などにぶつけてしまった場合には休業補償も請求される。そうなると億単位になるケースも考えられる。そのために任意保険の対物賠償というのは無制限に設定しておくのが吉だ。
もちろん、いわゆる自爆事故では愛車の修理も必要で、そのお金も用意しなくてはならない。そうした時にも任意保険で車両保険に入っておけば、設定額まではカバーされる。
そのほか、自分自身を含めた搭乗者への補償も任意保険ではつけることもできる。
ただし、任意保険というのは自分で補償内容を設定しなくてはならない仕組みだ。補償内容を抑えれば保険料は安くできるが、いざという時に役に立たないのでは保険に入る意味がない。
事故の相手と揉めたときのことを考えると弁護士特約をつけておきたいし、また無保険車との事故をカバーする特約なども設定することができる。そのあたりのベストな設定がわからないという人は、しっかりとした保険代理店でスタッフと相談しながら決めていけばいいし、どんな補償が必要なのか熟知しているベテランであればオンラインで申し込めるタイプの自動車保険で納得いく補償内容にするというのもいいだろう。
いずれにしても、自賠責保険が義務だから任意保険に入らなくても大丈夫というのは、間違った認識だ。万が一の事故に際して、自分を守るためにも、適切な内容の任意保険に加入すべきである。